【医師監修】おなかの赤ちゃんが「さかご」になったらどうする?さかごは予防できる?
「さかご」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。そもそもさかごとはどういうことで、どんな影響があるのか、予防法はあるのか、産婦人科医の北島米夫先生に伺いました。
さかごの状態と妊娠への影響
妊婦健診で「赤ちゃんがさかごだね」と言われると気になるもの。でも実は、おなかの赤ちゃんは活発に動いているので、妊娠中期まではさかごの状態になっていることは珍しくありません。では、さかごとはどういう状態なのでしょう?
「さかご」は、赤ちゃんの頭が子宮口に向いていない状態
「おなかの赤ちゃんは、通常、頭を子宮口(下)に向けていて、この状態を『頭位(とうい)』といいます。それに対し、おしりや足を子宮口に向けた状態を『さかご(骨盤位)』といいます。赤ちゃんが横向き(横位)や斜め(斜位)の場合もあります。妊娠中期くらいまでは、赤ちゃんは子宮内を自由に動き回ることができるので、さかごになったり、頭位になったりすることがあります」
妊娠後期でさかごが戻らない場合、帝王切開も検討
「医師がおなかの赤ちゃんがさかごかどうかを意識するのは、妊娠27週以降が多いようです。ですから、健診でさかごといわれるのもそれ以降になります。
さかごであることが、妊娠経過や赤ちゃんの成長に直接影響することはありません。ただし、出産予定日が近づいてもさかごのままの場合は、出産方法に影響が出てきます。
産院の方針や赤ちゃんの姿勢によっては経腟分娩ができるケースもありますが、ほとんどの場合、帝王切開での出産になります」
さかごにならないための予防法ってあるの?
「どうしてさかごになるのか、原因がわかっていないため、予防する方法はありません。ですが、子宮の筋肉が緊張してかたくなると、赤ちゃんが動きにくくなることは考えられます。赤ちゃんが動きやすく、さかごになってもまた頭位になるように、子宮の筋肉をやわらかく保つことが大切です。それは、おなかが張らないようにすることと同じ。体を冷やさないようにしたり、無理をしないようにしたり、赤ちゃんがおなかのなかで動きやすい生活を心がけましょう」
できること①体を冷やさない
冷えや寒さを感じないように、下着やはおるもので工夫を。おふろでゆっくり湯船につかるのも、冷え予防に効果的。
できること②ストレスをためない
ストレスがたまっていると、心も体もリラックスできず、緊張状態に。好きなことをする時間を持つのも大切です。
できること③十分に休息をとる
十分な睡眠と体を休める時間を持つことを心がけましょう。夜眠れない場合でも、日中、横になって休む工夫を。
さかごになったら直る?直らなかったらどうなる?
「さかごが直ることもあれば、直らないまま出産を迎える場合もあります。なかには、帝王切開の手術日の検査でさかごが直っていた!という妊婦さんも。でも、さかごを直すためにできることがあるならトライしてみたいという人は、産院の先生に相談してみてください。さかご体操や、赤ちゃんの背中が床に対して上になるような寝方を教えてくれる場合もあります。それでも、さかごが直らないままの場合は、帝王切開が検討されます」
さかごを直すためにできること
・さかご体操
・外回転術
・赤ちゃんの背中が床に対して上になるように横向きに寝る
・おきゅう
※妊娠経過や施設によってはできない場合もあるので、必ず医師に相談し、産院の指導のもと、行うようにしましょう。
妊娠33~36週でさかごの場合
「赤ちゃんが頭位に戻る可能性はありますが、この時期にさかごの場合、帝王切開を検討します。赤ちゃんの体勢と産院の方針によっては、経腟分娩ができる場合もあります。妊娠37~38週の間で手術日を設定。手術日までは、健診でさかごが直っていないかをチェックします」
臨月でさかごのママは破水に注意
「頭位の場合でも、子宮口が全開大になる前に破水が起こると赤ちゃんへの影響が心配ですが、さかごの場合は、よりリスクが高まります。さかごで前期破水が起こると、一気に羊水(ようすい)が流れ出て、へその緒が先に出てしまう臍帯脱出の危険が。『破水かな?』と思ったらすぐに産院に連絡してください」
赤ちゃんがさかごになると、妊娠生活やお産はどうなるのか心配になりますよね。さかごを経験したママ、さかごが戻らず帝王切開で出産したママの妊娠生活について、先輩ママの話をいろいろ聞いておくといいですよ。
(文/たまごクラブ編集部)
初回公開日 2018/1/17
■参考:「たまごクラブ」2018年2月号「さかごが直った私、直らなかった私、出産story」
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