エシャロットとか一生買える気がしない、主婦のつぶやき【御手洗直子のコマダム日記】
今回は直子と定番商品のお話。大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#67
単位は基本キロから
日々の生活に疲れ思考を停止してしまう心境はよくわかる。新しい選択をすることを避け、ひたすら過去の轍をなぞり、変化を厭い生きていくしか無いのである。簡単に言うと新しい商品を選ぶのがめんどくさくて定番商品しか買わなくなるのである。
洗剤も大容量4kgパック×4とか鈍器のようなサイズの物が段ボールに入って届くようになったし、トイレットペーパーも下着もスリッパも服すら冬服夏服と同じ物を4着ずつ買ってそれ以外をローテーションの外へ追いやってしまった。新商品を試してみよう~~とか新しい服が欲しいな♪というステージからは滑落したのである。無念。
さてそんな状態で生きているので、『これを己の定番にしよう』と思った時の商品への執着が酷い。基本5セット買いである。完全にのび太くんのクローゼットでござる。大企業の定番商品でない限り今季出会えたからと言って数か月後まったく同じ物が手に入るとは限らないからである。
どういう仕組みになっているのかわからないが、このシャツがよかったなと販売元の会社名をググッても会社HPはおろか商品すらヒットしないことがある。売っているお店から問い合わせをしてもらえばよいのかもしれないがそこまでしてもらったことはまだない。売る気があるのか?!この商品が良いんだよ!店舗に無いから通販したいんだ…!しかしネット上に何も情報が存在しないのである。本当に存在する会社なのであろうか…?(しかし商品は良い)
食べ物も決まった商品、食材しか買わなくなってきているので己の思考の劣化に恐怖を感じる。パプリカときゅうりしか買ってない気がする。さすがに嘘。しかしエシャロットとか一生買える気がしない。昔誰かの結婚式で食べた気がする。食べたことのある高級食材との邂逅の場は大抵誰かの結婚式である。
そういう思考なので、まとめ買いをしてしまう人間の思考はよくわかる。よくわかるが母は私よりさらに極端なのでマジかよ…と思うことがままある。
業務用粉寒天400袋(段ボール2箱)を通販してきたのである。
フロ桶一杯敷きつめて寒天飲み飲み泳ぎたいのだろうか。
『ババロア寒天の素』『飲む寒天』『サラダ寒天』『寒天ゼリーの素』、バリエーション豊かである。あの家はかんてんぱぱ(会社名)の仲買中継店舗なのだろうか。そんじょそこらの大型スーパーでも量質共にこんなに寒天を揃えてはいないであろう。身内ながら極端が過ぎる。寒天だけで2万円かあ…と思うが私も食洗機用洗剤だけで1万円つかったことがあるので人の事は言えない。
日々を少ないメモリで生きているとアレコレ考えて買い物に行くのがもう面倒なのだ。シャンプーを10㎏買ったっていいじゃないか。(商品が劣化することを忘れている)(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko