おたくママ、高校生時代の思い出がリアルに寒い【御手洗直子のコマダム日記】
今回は直子の高校時代のお話。大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#74
意外と長い
アイスワールドというマイナス30度の世界が体験できるアトラクションがある。
当時高校生であった私と友人達でそのアトラクションに挑んでみたことがあるのだが、ただ入って出てくるだけではおもしろくないので時間を測ってどれくらい長く中にいられるか挑戦してみようという事になった。もうこのフリだけでおそろしい。
当時夏だったので全員半袖orノースリーブであった。寒いね!と始めはキャーキャー言いながらも余裕で『息が白いよ!』などマイナス30度の世界を満喫していたのだが、しんしんキリキリと襲ってくる寒さに全員が段々と苦しくなってきた。苦しくなってきたがお互いを励まし合い、もう少し…あと少し…(ZARD)と粘って頑張ったのであった。高校の夏休み。もっと頑張るべきことはあったはずだというのに。(ポエム風)
こんな所でムダな友情を消費しつつ、貧乏な高校生が支払った入館料500円の元を取るために粘りまくったのだがマイナス30度の冷気により手足の指先が痛み始め、呼吸で入る冷気のため喉と肺も痛くなってきた。こ…れ以上いるとヤバいかもね…!というところで『じゃあ時計の針が15分を指すまで』と更に自分たちを限界まで追い込み、あと2分、あと1分…あと10秒…3、2、1…ホガァーーー!死ぬーーー!!というイキオイで出口へ向かって走り始めたのであった。が 全く出口が見えてこない。なぜなら私たちは考えもせず入り口付近でガマン大会を始めてしまったためアイスワールドの残りの道のり分を計算に入れていなかったからである。
長い!意外と長い!アイスワールド!
行けども行けども『順路』という看板のみで出口が一向に見えてこない。速足で移動しているため物凄い冷気が顔や体をたたきつけてくる。眼が痛い。全員限界までキているので『ヤバイ』『コレヤバイ』『死ぬ』等と口々に叫んでいる。バカ。出口までガマンできん!非常口を探せ!と壁を探したが無かった。混乱してるので見つからないのだ。まわりにはマイナス30度で生きる動物、白クマやペンギン達の剥製がかわいらしく配置されている。いちいち生態や説明の札が付けてあるのだが読んでいる余裕が無い。白クマやペンギンが嘲笑っている。ような気がする。幻覚が。やばい。が。
真っ白い光の中まぶしい出口にたどり着き、私たちは元の世界へ戻ってきました。
刺すような夏の陽射し。
元いた世界。だと思う。たぶん。
本当に。死ぬかと思ったよね。アトラクションで死んだら、捜索隊とか出されてきっと恥ずかしかったよね…。
とお互いの無事を喜び合い(自嘲)一息つこうとバックの中の缶ジュースを取り出してみると缶ジュースは凍っていたのであった。(…!)
アイスワールドの入り口付近でガマン大会をすると意外と本気で怖い目に遭います。
アイスワールドでガマン大会をするのはやめましょう。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko