偏差値82をとるには?!【御手洗直子のコマダム日記】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#112
今回もテストにまつわるお話です。
変イ長調って…なんだ…?(現在の私)
前回までのあらすじ……偏差値82をとるにはどうすればいいか。
簡単である。教科書に書いてあることを一言一句全部覚えればいいのである。
国語数学理科社会英語の5教科は勉強ができる子が多いが、体育(家庭・技術)音楽美術の4教科はそもそも重要だと思っていないか、初めから捨ててかかっている生徒も多い。ゆえにもともと平均点が低い教科が多く、その中で高得点を取ると高偏差値が取れるのである。
たとえば家庭科のエプロンを作る単元で教科書の内容とは関係ないようなコラムの隅っこの注釈にちいさ~~~い字で『※ヤール幅は72㎝、ダブル幅は144㎝だよ。』と書いてあったらヤール幅がなんなのかわからなくても『ヤール幅は72㎝、ダブル幅は144㎝。』を覚えるのである。関係ないようなコラムでも『テスト範囲は12P~43Pです』と言われたらハシラの注釈も全部覚えるのである。変イ長調の調号がフラット4箇所 (B, E, A, D) であればそれを覚えるのである。当時はただの丸暗記ではなくどの調号がつけば何長調何短調になるかの理屈も覚えていた。和音構成音がどうとかも覚えていた気がする。しかしその音が実際どんな音とかはまっっっったくわからないのである。ただ譜面上の理屈でこの音がこうなれば半音こうなってこう。という理屈のみを覚えている状態あった。
しかしそれでテストは点が取れるのである。その理屈によってどんな音が鳴ってどんな効果があるか、どんな音楽が奏でられるかとかはまったくわからないが理屈だけでテストは点が取れるのである。音を楽しんで『音楽』とは程遠い世界なのである。教育…とは…?
ピアノ弾ける子とかに加点を付けた方がよっぽど有意義な気がするが、いろいろ難しいんだろうなあ…と思いつつ当時中学生だった私でさえ『理不尽な世界だ…』と思っていた。なんとかならんのか。文部科学省。ちなみに今調べたら『ヤール幅』もサイトによって長さが違う。どういうことだってばよ。いい国(1192)作ろう鎌倉幕府(現在の説では1185年)みたいにいつの間にか変わったの…?もう何も信じられない。
のちに先生が教えてくれたのだが、その辺の問題で正解していたのは私だけであった。まあ教科書に載っているとは言え中学生のテストで調の音階構成音まで覚える必要は無いと思うし覚える生徒もいなかったのであろう。先生もなんでテストに出したんだよ。しかし私は当時『テスト範囲とされた内容は全て覚える』というルールで勉強していたため先生はめちゃくちゃびっくりしたらしく、まさか答える奴がいるとは思わなかったと言われ私は勝利の優越感に浸っていた。そう。当時私はほぼ先生と勝負していたのであった。
次回……妖怪なめくさり小僧がド底辺に落ちるまで
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko