忙しい朝に起きた想定外のハプニングとは?【御手洗直子のコマダム日記】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#106
今回は予定通りにスケジュールが進まない…。思わぬハプニングにまつわるお話です。
1分1秒を争う時には3時間つぶれることが起こる
予定外の用事によって綿密に組まれたスケジュールが儚くも瓦解してしまうことはよくある。子どもの急病による外来受診はその緊急必須から筆頭にあるが、他にも靴がきついとか明日折り紙がいるだとか電球が急に切れたとかで外出せざるを得ない状況に陥ることはままある。たかがそれごときという内容ばかりであるが、ひきこもりはいかに外出しないでいられるかに心血を注いで生きているため急な外出を要すると死ぬのである。(心が)
1時間でコレをやって、30分でコレをやって、というギリギリの綱渡りの中でスケジュールをこなしているというのに、『病院へ行く』が入ったとたん3~4時間吹き飛ぶのである。おそろしい。しかしそんな、想定の範囲に収まる出来事の他にも日常に罠は潜んでいるのである。
先週末我々は海へ旅行に行った。海辺を眺めたり、貝を拾ったり、水族館へ行ったりしたが私は本来そんな身分ではなかった。原稿がヤバいのである。原稿がヤバいとはつまり〆切がヤバいのである。ヤバヤバの実である。ヤバヤバのヤバだ。もう言語にできないくらいヤバい。筆舌に尽くし難い。言語に絶する。目を覆うばかりに。ヤバい。
そんな状況であったが、無事旅行から帰ってきてハアよかった事故無く帰ってこられた。今日こそ早めに原稿を始めようと、慌ただしく朝の支度を済ませて『じゃあお母さんはお仕事してくるね』と自室へ向かおうとしたとき2号(次女)の悲鳴が部屋へ響き渡った。
『なんかいる!』
なんかいる!とは…?何かがいるのである。何がいるのだ。どうしたのだと2号のところへ行くと、なんかいるのである。貝の中に。
中身(ヤドカリ)いるんか~~い;;;;;完全に留守だと思って拾ってきたらしいが、昨日拾ってきた貝を愛でようとしたら穴からハサミがチラリと見えるのである。ヤバい。
何がヤバいって、こいつを拾ってきてみすみす死なせてしまうということに対しての恐怖である。まずは水に漬けねばならないと思ったが海水出身のこいつを水道水に漬けるとおそらく死すため、『海水 塩分 濃度』で検索することを余儀無くされた。検索結果にならい応急措置用の食塩水を作り、大き目のタッパーに入れ、小皿で島を作り、滑らないようにキッチンペーパーを入れてヤドカリを入れてやった。ここまでですでに30分くらいロスしている。
急遽ペットショップへ行き人工海水の素などを買うという使命が唐突に課されたのである。子どもの病院までは想定できていても、急に家族が増えるところまでは想像できていない。愚かな。ここは戦場だぞ。何が起こってもおかしくは無いんだ。ここは戦場ではない。
ヤバヤバの実なのにペットショップへ行き買い物をするのである。もう無意味にミルワーム(動物のエサの虫)とか眺めちゃう。ついでに電球買ったり牛乳買ったりしてると3時間くらい消費しているのである。死ぬ。(原稿が)
予定なんてただの理想なのである。その通りに進まなくても当然なのだ。ゆえに私も未だヤバヤバを卒業できてはいない。ので、ヤバい。ままこれを書いている。(おわり)
※海水環境で生育したヤドカリであっても淡水で飼育可能です。ですが、正常な生育を妨げるおそれがありますので、詳しくはペットショップなどにお問い合わせください。
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko