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「あのままだったらパンクしていたかも。東京を離れて“母親”になれた」元モーニング娘。中澤裕子さんインタビュー

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2014年から夫の仕事の関係で福岡県に移住した中澤裕子さん。前回は母となってからの心境の変化やはじめての育児での出来事、子育てのモットーについてお話を伺いました。そして今回は、当時1歳2カ月の娘さんと共に新天地での暮らしを選んだ中澤さんに、移住を決断したときの気持ちと福岡での現在の暮らしについて聞きました。

移住を決断!慣れない地でリスタート

――2014年に福岡県に移住されましたが不安はありませんでしたか?

夫がもともと福岡での仕事を中心にしていきたいと言っていたんですが、私が東京から離れたくなくて……ずっと東京にいるものだと思っていたんです。けれど、妊娠・出産を経て、ある日急にそういえば、夫も以前、福岡で仕事がしたいと言っていたなと思い出し、「福岡に行こう!」と思い立ち(笑)。改めて聞いてみるとまだその気持ちがあると言うので、ならば「今行こう!」といった感じで決断から移住までは早かったです。

福岡に知っている人はいないし、仕事がなくなるかもしれない。だけど、私には家族がいる。福岡で仕事がしたいと言っている夫がいるのなら行こう、そう思えたので不安はまったくありませんでした。それに、移住したのが40歳だったんですが、40にして新しい環境に行けることや自分の人生をリセットできること、ゼロの状態から生活と子育てを始められるなんてそうあることではないので、すべてをポジティブに考えていました。

東京を離れて“母親”になれた私

――東京から移住して良かったことは?

東京は私の中で「仕事をする場所」であって生活する場所ではなかったんです。仕事を中心にすべてが動いていて、独身時代は朝も夜もないという生活を送っていました。

東京で出産してすぐの頃は、そこまで仕事をしていたわけではなかったんですが、ずっと仕事モードが抜けなかったんです。“モーニング娘。”として生きていたそれまでの環境に、母親になった自分がうまく対応できなくて、アイドル“中澤裕子”に邪魔されているようなジレンマがありました。

でも、福岡では全部がリセットされて、子どもを軸に人間らしい生活を送っています(笑)。生きる世界が本当にガラッと変わったんです。大げさに聞こえるかもしれませんが、海外と日本ぐらい違う。あのまま東京にいたらパンクしていたかもしれないと、本当に福岡に来て良かったと思います。

――移住後の中澤さんの変化をご家族はどう感じていますか?

「あのまま東京にいたらしんどかっただろうね。リラックスできるようになって良かったね」と言ってくれたことがあって……。私はあまり自分のことを話さないのですが、夫はちゃんと気づいてくれていたんだなと感じました。

東京ではモーニング娘。として一生懸命頑張ってみなさんに認めていただいたけれど、気持ちがついていかなかったことを夫はわかっていたんですね。だから、「相当しんどかったと思うよ」と言ってくれています。

移住のススメ~人生の転換期の見極め~

――移住先になじむコツはありますか?

私はとにかくいっぱい散歩しました。娘をベビーカーに乗せてたくさん歩いて、スーパーへ行ってその地域のものを見て、お店を見ながら地元のことを知ったり、こちらから地域の人に声をかけたりしました。

ご主人の転勤で知らない土地に行くママさんもいると思いますが、体調が悪くなければどんどん外に出たほうがいい。体調が優れないとポジティブに考えることは難しいですが、外に目を向け行動することで、いずれちゃんと楽しくなる日が訪れると思います。

だから、とにかくいっぱい歩く。夫よりもその街に詳しくなろうと思い、「このお店はこれがおいしいよ」「この道いいよ」と言えるように、私はそういった発見も楽しみました。

――移住を検討している方へアドバイスをお願いします

変わりたい、もっと良くなりたいと求める人には人生の転換期は訪れるものです。でも、転機は自分が望むカタチでやって来るとは限らないので、例え急に転機が訪れたとしても、私はチャンスだと思って行動するんです。「また新しいことを発見できる場所に行けるんだ」って。

もちろん、不安がないわけではありません。けれど、不安は絶えずあるものなので、私はいつも「行った先で考えよう」と決めています。だから、もし望まない転機に不安を感じている方がいるなら、「もう悩まないで」と伝えあげたい。悩むより変化できることを楽しもう、そう考えると気持ちがラクになるはずです。

――今後のライフプランはありますか?
私は夫と一緒に福岡に永住します。東京には戻りません(笑)
東京は行こうと思えば行けるところだし、お仕事がいただけるのであれば伺いたいです。一方、福岡は夫と子どもたちと生活する場所。いずれ子どもたちが大きくなりどこかで自立することになっても、「行っておいで。帰ってくる場所はここにあるからね」と言ってあげられる、私と家族にとってとても大切な場所です。


転機はチャンス。新しい街を訪れたら、とにかくいっぱい散歩をする。そんなポジティブな中澤さんの移住生活の楽しみ方は、現在、移住先で馴染めない方や、これから移住を検討する方への大きなエールになったのではないでしょうか。

取材・文/佐藤 文子

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