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「あかちゃんの挙動のすべてが最高」4万いいね!で話題の“こどもが産まれて自分がちょっと変わった話”

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「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」斎藤充博さんインタビュー

妻と娘・のんちゃん(7カ月)と3人暮らしをしているマンガ家兼ライター斎藤充博さん。普段の夫婦や育児での出来事をマンガにしている斎藤さんですが、娘・のんちゃんが生まれた時のパパの素直な気持ちを綴った“こどもが産まれて自分がちょっと変わった話”にママだけでなくパパからも共感が集まり、Twitterで4万いいねがつきました。
この漫画を描いた斎藤充博さんに、漫画を描くようになったきっかけや、娘さんが生まれた時の心情を聞きました。

不安と期待でいっぱい。3年間の不妊治療の末に授かったわが子

斎藤充博さん

――育児漫画を描くようになったきっかけはなんですか?

斎藤充博さん(以下:斎藤)「以前から妻のちょっとした挙動などをコミックエッセイにしてTwitterなどにあげていました。現在はその延長として育児コミックエッセイを描いています」

――奥様の妊娠がわかったときどんな気持ちでしたか?

斎藤「僕たちは妊娠を希望して、3年間も不妊治療に行っていました。それなのに、妊娠を告げられて『ヤッター!』のような単純でハッピーな感情にはなりませんでしたね。一瞬で期待と不安が大きくなりすぎて、身体中の力が抜けていったのをよく覚えています。

その時に僕は晩ごはんを作っていたのですが、あまりにも力が入らなくなったので、包丁でナスが切れなくなってしまいました。ナスなんて野菜の中でもかなりやわらかい方だと思うんですが……」

出産を怖がる妻にかけ続けた声は……

――出産を控えた妻の気持ちが不安定に。斎藤さんはどのように対応することを心がけましたか?

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」1/9

<出産2日前、予定日が早まりおびえる妻>

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」2/9

<出産当日、妻は意気込んで出かけて行った>

斎藤「妻は妊娠中期くらいに『出産は怖いことのはずなのに、不思議と怖く感じない』と言っていました。僕は『なるほど、当事者になるとこんなにも腹が据わるんだ、すごいな……』と思っていました。逆に僕の方が怖がっていたくらいです。

そんな妻でも出産予定日の前々日くらいから(妻は計画出産で分娩日が決まっていました)出産を怖がるようになりました。

どれだけ怖がっていても出産を止めるという選択肢はありません。妻の恐怖心を取り除くしかないんです。でも、『出産を怖がるな』というのも難しいですよね。理屈で考えると怖がるのが自然だし、そもそも僕も怖い。

ただひたすら『大丈夫』って言っていたんですが、あれが果たして役に立ったのかはよくわかりません。恐怖心が解消したというより、“諦めがついた”みたいな感情だったのかも」

静かな赤ちゃんとぐったりとした妻に呆然

――出産は緊急帝王切開や新生児仮死など過酷なものだったようですが、妻が出産中の斎藤さんの気持ちを教えてください。

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」3/9

<緊急帝王切開に…急いで病院に向かう斎藤さん>

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」4/9

<しんどそうな赤ちゃんを目の当たりにして不安に…>

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」5/9

<出産を終えた妻は見るからにやつれていた>

斎藤「コロナ禍ということで、出産には立ち会えず、家で赤ちゃんが生まれるのを待っていたんです。そして昼飯でも食べようかなと思っていたところ、突然『緊急で帝王切開になるからいますぐ病院に来てくれ』と緊迫した電話がかかってきました。

わけもわからず、大急ぎで病院に行ったら、すでに子どもは産まれていました。子どもは静かで元気がないし、妻はひと目で分かるくらい消耗しています。そして、コロナ禍なので早々に面会はできなくなりました。

このときは“子どもが生まれた喜び”のようなものはまだ感じられず、ひたすら不安でしたね。医師は『大丈夫ですよ』って言ってくれるんですが、あまりロジカルな説明じゃなくて、励ましてくれるような雰囲気でした。そういう対応をされると逆に『本当に大丈夫なのか?』って疑ってしまいました」


――赤ちゃんが生まれる前と後の斎藤さんの心境の変化を教えてください。

斎藤「産まれる前は、子どもがいる環境に対して漠然とした不安と期待がありました。

生まれた後は、ひたすら具体的な問題に対処する日々ですね。例えば『あかちゃんがミルクを吐いたときどうしよう?』という問題があります。

吐くのは防げないので、カーペットをどう掃除しよう? リンサーというカーペットを掃除する機械を買うか、それともカーペット自体を手洗いしやすい物に買い変えるか? 買うならアマゾンがいいのか、楽天がいいのか、それとも実店舗に行った方がいいのか……。そんな大量のどうでもいい細かい問題をいつも考えています。大変です!」

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」6/9

<「大丈夫なのか?」赤ちゃんも妻も心配なまま帰宅>

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」7/9

<「ぎゃわいい」!赤ちゃんの動画を見た瞬間、何かが変わった>

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」8/9

<「斎藤充博」→「のんちゃんのパパ」に大変身!>

「こどもが産まれて自分がちょっと変わった話」9/9

<おれの人生……最高じゃないか…>

休みがなくて大変だけど…「あかちゃんの挙動のすべてが最高」

――今、実際に育児を経験してみて、大変なこと、楽しいことを教えてください。

斎藤「育児で一番大変なのは“休みがないこと”だと思います。授乳もおむつ替えも見守りも、それ自体はそこまで大変ではありません。ただ、ずっと続くのが大変ですよね。

楽しいことはそれ以外のすべてですね。あかちゃんの挙動のすべてが最高です。また、妻もこれまでになかった母親としての一面を見せるようになり、ありがたいと同時にとても興味深いです。ひょっとしたら僕もなにか変わったところがあるのかもしれません。自分ではよくわかりませんが……」

――娘・のんちゃんの現在の成長について教えてください。

斎藤「のんちゃんは現在7カ月です。ズリ這いで移動できるようになったので、家の中の模様替えに頭を悩ませています。新生児の頃と違って、日に日に運動能力があがっているのがわかります。

最近では感情のようなものが芽生えているように見えます。『拗ねる』とか『ボーッとする』のような複雑な表情がどんどん増えていき、目が離せません。こういう微妙な表情って、写真に収めるのが難しいんですよね。カメラを向けると、カメラを注視する表情になってしまうので……」

――最後にたまひよの読者のみなさんと、これから出産・育児を経験するパパ・ママたちにひと言お願いします。

斎藤「出産も育児も本当に不安ですよね。『本当に自分なんかにできるのだろうか』と思っている人も多いんじゃないでしょうか。

でも、子どもが産まれるとやっぱり自分自身が変わっていく部分もあるので、なんとか対応できます。育児って大変なのですが、どうも親が耐えられるギリギリのところに設計されているような気がしていて、なんとか耐えられます(笑)。そうやって人間がここまで繁殖してきたのでしょうね。そして、本当にヤバいと思ったときは、知り合いや自治体の力を借りるなどしてみてください。みんな意外と優しいです」

実は3年にわたって不妊治療をしてきたという斎藤さん夫婦、いざ子どもができると不安と期待でいっぱいになったと素直な気持ちを語ってくれました。そして緊急帝王切開や新生児仮死などさまざまな苦難を乗り越えて娘・のんちゃんが無事に生まれ、初めての子育てに戸惑いながらも「あかちゃんのすべての挙動が最高」と立派なパパの姿になっていました。

斎藤充博さんの育児マンガは、子育てをはじめた新米パパが率直に感じたことをわかりやすく描いているので、夫婦で読んでみると新たな発見があるかもしれません。(文・清川優美)

プロフィール /斎藤充博

妻と子どもの3人暮らし。マンガ制作とライターをしてくらしているフリーランス。主にTwitter(@3216)に育児マンガをアップしている。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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