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おたふくかぜで耳が聞こえなくなることも!予防はワクチン接種だけ!

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おたふくかぜのワクチン、お子さんに接種しましたか? 日本でのワクチン接種率は、推定で3~4割程度にとどまっているといわれます。中には「実際にかかって免疫をつければいい」と思っているママも多いのでは? でも、その考えはとても危険だと話してくださったのは、「VPDを知って、子どもを守ろうの会」副理事長の藤岡雅司先生です。

実は怖い!おたふくかぜ

「おたふくかぜでよく知られている症状は、耳のつけ根~あごの下にかけての腫れと発熱です。通常は、1週間程度で発熱や腫れの症状は治まりますが、神経系に入り込みやすく、さまざまな合併症を引き起こす、実は怖いウイルスなのです。

合併症の一つである『精巣炎(せいそうえん)』や『卵巣炎(らんそうえん)』などは比較的知られていますが、実はもう一つママたちが知っておきたい合併症があります。それが『ムンプス難聴(なんちょう)』です。

以下は、ムンプス難聴について調査している耳鼻科医の先生に寄せられたメールです」

~5才でムンプス難聴になった男の子のママのメールより~
おたふくかぜで難聴になってしまうなんて、小児科でも予防接種の紙でもまったく知ることがありませんでした。まさか自分の子がそうなってしまうなんて、夢にも思いませんでした。
おたふくかぜの症状が消えて1週間くらいたったころ、子どもが「みみがへん」というので、耳鼻科に連れて行きました。
(中略)
医師には「世界中のどこを探してもこれを治すことはできない」と言われてあきらめました。
(中略)
知っていたら、絶対に予防接種を受けたのに。

1000人に1人が、治らない難聴に

「ムンプス難聴の『ムンプス』とは、おたふくかぜを引き起こす『ムンプスウイルス』のことです。ムンプス難聴になった場合、片耳もしくは両耳がほぼ聞こえなくなり、吐きけをともなう強いめまいを引き起こすこともあります。残念なことに現在のところ、有効な治療法がありません。つまり、かかってしまったらもう治すことができないのです。

ムンプス難聴は、以前は発症率が2万人に1人と、非常に珍しい合併症と考えられていました。小児科の先生の中には、今でもこのデータを信じていて、おたふくかぜによる難聴を『とてもまれなもの』として疑わない先生もいるそうです。しかし、2015~2016年にかけて、日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会による大規模調査が行われた結果、実際には1000人に1人程度の発症率であること、2年間に少なくとも348人がムンプス難聴になっていたことがわかりました。この調査は耳鼻科のみを対象としていること、小さな子どもが発症した場合、就学前や学童期になって初めて耳が聞こえないことに気づくことも多いことから、実際にはもっと多いと考えられています。

さらに、ムンプスウイルスは感染しても症状がわかりにくい『不顕性感染(ふけんせいかんせん)』も3割程度あるため、おたふくかぜの典型的な症状がないのに、急に難聴を引き起こすこともあります。つまり、周囲でムンプスウイルスの感染者がいるかどうかもわかりづらく、ムンプス難聴を防ぐためには、感染する前にワクチンを接種するしかないのです」

自然にかかるのが、いちばん怖い!

「日本では、おたふくかぜのワクチンは、一時期だけMMR(麻疹[ましん]・おたふくかぜ・風疹[ふうしん])ワクチンとして定期接種で受けることができました。ところが、ワクチンの副反応である無菌性髄膜炎(ずいまくえん)の発症率が問題となり、定期接種のワクチンから外れてしまいました。そのため、現在ではおたふくかぜワクチンは任意接種のままとなっています。ちなみに先進国の中で、おたふくかぜワクチンが定期接種化されていないのは、日本だけです。

現在、日本で接種されているおたふくかぜのワクチンの副反応を調べた結果、無菌性髄膜炎の発症率は、自然におたふくかぜに感染した場合(1.24%)に比べて、30分の1~20分の1(0.04~0.06%)と圧倒的に低いことがわかっています。自然に感染することとは、言い換えれば、いちばん危険なワクチンを接種するようなもの。毒性を弱めていない野生のムンプスウイルスを身体に入れることになるからです。ウイルスを弱毒化したワクチンを接種するほうが、ずっと安全であることは言うまでもありません」

ムンプス難聴を防ぐためには、ワクチン接種しか対策がないうえに、ワクチンを接種したほうが自然にかかるよりも合併症の発症も少ないのです。このため、日本耳鼻咽喉科学会や日本小児科学会ではおたふくかぜワクチンの定期接種化を訴えていますが、過去の経緯もあってか、定期接種化まではまだ時間がかかりそうです。

おたふくかぜのワクチンは1才から接種できますが、残念なことに現在の接種率は3~4割程度。赤ちゃんが1才になったら、MRワクチンや水痘(すいとう)ワクチンと同時に、おたふくかぜワクチンの1回目の接種を受けましょう。そして効果をより確実にするためには、2回目の接種も大切です。  
また、中にはわが子から感染して、ムンプス難聴になってしまったママやパパもいます。ムンプス難聴を防ぐには、大人も同じで、ワクチン接種しか方法がありません。
ムンプス難聴は子どもに次いで、子育て世代の発症が多いのが特徴。つまり、ママやパパも注意が必要なので、赤ちゃんと一緒にワクチンを受けるのもひとつの方法です。1人でもムンプス難聴で苦しむ人を減らすためにも、やはり日本においても、一刻も早い定期接種化が望まれます。(取材・文/ひよこクラブ編集部)

■監修:藤岡雅司先生 
大阪府富田林市・ふじおか小児科 院長。VPDを知って、子どもを守ろうの会 副理事長。大阪市立大学大学院医学研究科(小児科学専攻)修了後、宝生会PL病院小児科勤務を経て、1996年にふじおか小児科を開院、日本外来小児科学会副会長、日本小児科医会 学術教育委員員会 業務執行理事、日本小児科学会代議員等を務める。

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●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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