「つい強い口調になってしまった夜、『お母さん大好き』と言われて泣いた」子育て中に親が感じる罪悪感。イライラしたら試したい5つのポイント【専門家】
今回のテーマは「子育て中に感じる罪悪感」についてです。毎日の生活の中で子どもを叱りすぎて罪悪感を感じたりすることはありませんか?
「たまひよ」アプリユーザーのみんなの声とともに、産婦人科医として働きながら3人の子どもを育てた木戸道子さんにアドバイスをいただきました。
後悔や反省の声がたくさん
最初に「たまひよ」アプリユーザーへのアンケート結果から紹介します。
約80%もの親が「罪悪感を感じたことがある」と答えました。
どんな時に罪悪感を感じてしまったか聞いてみると…。
「まだ生まれたばかりなのに、泣き止まない息子にイライラしてしまいました。授乳中に子どものリラックスした顔を見て、泣きながら謝りました」(よっしー)
「強く叱ってしまったり、疲れてケータイを見る時間が長くなってしまったり、遊んでるのを放置してしまった時」(ロビン)
「我が子のイヤイヤ期、ワンオペでかなりしんどくて、叱った後でも『ママー』とそばに来てくれると、『ごめんね』となってしまいます」(ちぃ)
「ごはんがうまく食べられずに落としたり投げたりする時や、オムツ替えや着替えを嫌がって逃走した時、『もう!』って怒ってしまう時があります。
でも当たり前だと思うように心がけてます。いろんなことができるようになって、体も思うように動くようになってきて楽しいよねって。
私が怒っても、その後、すぐくっついてきたり笑顔を見せてくれたりするので、『ごめんね』って心の中で謝ります」(こだま)
「時間が経って冷静なった時に、後から言いすぎたって思う。子どもが謝ってきた時に自分は親失格やなって思うことも…」(かほさほママ)
「現在、妊娠中です。上の子を叱ったらふて寝してしまい、その寝顔を見て泣いてしまいました。反省したら謝るようにしています」(ゆうりぃ)
「自分の体調が悪い時は、子どもに抱っこをせがまれたり、『ここに行きたい』と言われても、断ってしまいます。そんな時に罪悪感を感じます」(まいちゃん)
「自分も疲れて、つい強い口調になってしまった夜、『お母さん大好き』と言われて、泣いてしまった」(きな子もち)
多くの人が自己嫌悪に陥ったことがあるようですね。こうした罪悪感に、どう対処すればいいでしょうか。親が抱く罪悪感について解説していただくとともに、子どもにイライラしたり怒ったりした時の上手な切り替え方について、産婦人科医であり、先輩ママである木戸道子先生にアドバイスをいただきました。
自分を責めるより、いたわることが大事
育児中はママ自身に余裕がなくなりがち。いつもニコニコ優しく居続けるのは無理ですよね。
疲れている時、心身にゆとりがない時に、つい辛くあたってしまうことは自然なこと。
子どもはいつでもママが大好きなので、そんなことがあっても、また抱きついてくれます。
「あんなこと言わなければよかった」「しなければよかった」と後でどうしても自己嫌悪になってしまいますよね。
それもそれだけママが子どもを愛している証拠で、優しい気持ちがちゃんとあるからなのです。
子どもが成長して自我が出てきたり、思春期に親子の感情のぶつかり合いがあっても、そのぶつかり合いのやりとりを通じて、親子の絆が深まっていきます。
イライラしたり、カッとしたりした時は、いったん深呼吸して鏡を見てみることをお勧めします。
眉をつり上げて、眉間にシワを寄せ、両肩が上がっていませんか?
鏡をみると、「あらあら、私ってこんな顔してるわ」とふと我にかえることができるかもしれません。
そこでフーッと長く息を吐いて肩の力を抜いてみましょう。
無理して笑顔を作り、イライラを溜め込みすぎるのもNG。うまく発散することも大切です。
育児日記やメモに嬉しかったことや、「こんなこと言って後悔した」など、出来事やその時の気持ちを率直に書き綴ることで、たまっていた感情が表出され整理しやすくなります。
育児中は充電していても、どんどん電池残量が減ってくる状態と似ています。
5分、10分でも自分を癒す時間や、休める時間を作って、こまめにチャージしましょう。
ちょっとしたスキマ時間でエクササイズの動画を見ながら音楽に合わせてからだをほぐしたり、お気に入りの音楽に合わせ声を出して一緒に歌ったりするのも効果的。
特に首や腕の付け根は、育児中は凝りやすいもの。ほぐす動きやマッサージはお勧めです。軽く回して動かす、マッサージするなどでほぐすと気分もリラックスします。
育児でイライラしたり、カッとしたりした時の対策 5つのポイント
1、いったん深呼吸して鏡を見てみる
2、フーッと長く息を吐いて肩の力を抜いてみる
3、育児日記やアルバムなどを見返してみる
4、音楽にあわせて体を動かしてみる
5、首や腕の付け根をほぐしたり、マッサージをする
自己嫌悪になりそうなときは、自分を責めるより自分自身をいたわってみてくださいね。
少しの間でも、ワンクッション置くのがいいのですね。うまく切り替えをして、あまり自分を追い込まないようにしたいですね。
(取材/文・橋本真理子)
木戸道子さん
PROFILE)
日本赤十字社医療センター 第一産婦人科部長。多くの出産を扱う病院に勤務し、母子の健やかな出産を応援している。みずから3人の男の子を育てた経験からも、妊産婦、働く女性に親身なアドバイスを行っている。著書に『働く女性のためのマタニティ・ダイアリー―ママになるまでの10カ月手帳』(梧桐書院)、監修に『マンガ解説 よくわかる! 妊娠と出産』(学研プラス)などがある。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
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