育児中の体の不調、腸内環境の乱れが原因かも?! 今すぐできるおすすめの「腸活」【専門家】
腸内環境を整える「腸活」は、おなかの具合そのものに直結するだけでなく、免疫力アップや、アレルギー症状の緩和などにもかかわると言われています。
しかし、育児に追われていると、疲労やストレスから腸内細菌のバランスが崩れ、不調に陥ってしまうことも。そこで今回は、忙しいママでも取り入れやすい、簡単にできる腸活をご紹介します。
腸内細菌ってなんだ?
腸内細菌とは、その名のとおり腸の中にいる細菌のことです。そのなかでも大腸には、約1,000種類、100兆〜1,000兆個、総重量が1.0〜1.5kgのさまざまな腸内細菌がいるといわれています。
ビフィズス菌1個の大きさが1マイクロメートルほどなので、腸内細菌の総重量が1.0〜1.5kgになるのはすごいことですよね。
また、腸内細菌が菌種ごとにかたまりとなって、腸壁にびっしり張り付いている状態が叢(くさむら)やお花畑(flora)に見えることから「腸内細菌叢(そう)」「腸内フローラ」と呼ばれています。
20%の善玉菌、10%の悪玉菌、70%の日和見菌
腸内細菌は、20%の善玉菌、10%の悪玉菌、70%の日和見菌に分類されます。
善玉菌は、腸の運動を促して消化吸収を助けたり、腸内環境を整えて免疫力を高めたりする役割があります。逆に、悪玉菌は、腸内で有害物質を作りだし、からだに悪影響を与える菌です。
日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢なほうに味方をする優柔不断な菌なので、腸内環境をよくするには、日和見菌を善玉菌の味方につけることが重要なポイントです。
腸内環境を整える良習慣
以下では、忙しいママにもおすすめの手軽にできる腸活をご紹介します。
生活習慣
腸のぜんどう運動が低下していると、腸の中で長い間、便が留まって便秘を引き起こしてしまいます。便秘によって腸内環境を悪化させないためにも、腸のぜんどう運動を促す生活習慣を取り入れるのがおすすめです。
料理中や洗濯物を干すときなどにおなかに力を入れるだけでも、腹筋を刺激して腸のぜんどう運動を促すことができます。また、腰に手を添えて後ろにからだを伸ばすストレッチもおすすめです。
さらに、腸の動きは自律神経に支配されていますので、自律神経を整えることも、腸活には効果的です。
自律神経の整え方はYouTube等をチェックしてみてくださいね。
食事
食事で善玉菌を増やすには、善玉菌を含むもの(プロバイオティクス)と、善玉菌の餌になるもの(プレバイオティクス)の摂取が必要です。
プロバイオティクスは、乳酸菌やビフィズス菌を含んだ納豆やキムチ、ヨーグルトなどの発酵食品が該当し、プレバイオティクスは食物繊維やオリゴ糖を含んだ野菜(かぼちゃ・にんじん)や海藻類(ひじき・わかめ)、きのこ類(しいたけ・えのき)が当てはまります。
悪玉菌を増やす悪習慣
次に、悪玉菌を増やしてしまう悪習慣をご紹介します。
生活習慣
悪玉菌を増やす生活習慣は下記のようなものです。
● 朝食を抜くことが多い
● 野菜をあまり食べない
● アルコール摂取量が多い
● 運動不足である
● 睡眠時間が短い
● 喫煙している
当てはまる項目が多いほど悪玉菌が増えやすくなります。3個以上当てはまった人は注意しましょう。
食事
悪玉菌は、肉類に含まれるたんぱく質やアミノ酸などを餌にして、有害物質を作りだします。たんぱく質はからだに欠かせない栄養素ですが、 動物性たんぱく質を過剰に摂取すると、悪玉菌が増える原因になります。
便秘はからだからのSOSサイン
便秘は、腸内細菌のバランスが乱れているサインです。以下では、便秘の原因や便秘体質の改善方法について解説します。
うんちの状態と便秘のメカニズム
便秘の原因は、便が腸内に留まる時間が長くなることで、水分が吸収されすぎて固くなり、排出されにくくなることです。
また、ストレスも便秘の原因になります。小腸では腸内細菌との共生に作用する因子を分泌する細胞がありますが、過度なストレスによって、その作用因子が減少するということが最近の研究でわかってきました。このようなことから、ストレスは腸内細菌のバランスを崩し、便秘を引き起こす可能性があると考えられています。(※1)
うんちの状態は腸内環境をあらわす大切なバロメーターです。うさぎの糞のようにコロコロした形や、色が黒や赤に近いとき、においが強い場合などは、腸内環境が悪くなっているサインなので注意しましょう。
便秘体質を解消して腸内環境を整える
便秘体質を解消するには、ストレスをため込まないほかにも、腸のセルフマッサージでぜんどう運動を促すことも効果的です。
やり方は、朝起きてすぐのタイミングで、腸をなぞるように時計回りにマッサージします。その後コップ一杯の水を飲むことで、便が排出されやすくなります。
薬剤師イチオシの整腸剤~着目すべき成分とは?
特定非営利活動法人「日本トイレ研究所」が2020年に行った3,000名を対象としたアンケートでは「自分は便秘だと思う」と回答している人が53.6%いるなか、便秘薬を服用している人は38.2%に留まりました。(※2)
また、同アンケートでは「便秘薬はクセになると思う」と82.6%の人が回答しており、便秘薬に不安を感じている人がとても多いことがわかります。
しかし、便秘薬のなかには、自然に近いお通じを促しクセになりにくい「酸化マグネシウム」という成分が使われているものがあります。便秘で腸内環境を悪化させないためにも、便秘薬を上手に活用しましょう。
また、お腹のハリが気になる人は、「消化酵素」が含まれている整腸剤もおすすめです。消化酵素が食物繊維を分解し、ガスの発生を抑えます。
酸化マグネシウムや消化酵素を配合している市販薬や腸活をサポートする市販薬を詳しく知りたい人は、YouTubeを等を参考にしてみてくださいね。
簡単な腸活から始めよう
腸活は、生活習慣や食事などから気軽に始められます。善玉菌を増やして、腸内細菌の70%を占める日和見菌を味方につけましょう。
また、腸内環境を悪化させる原因である便秘には、クセになりにくい「酸化マグネシウム」の便秘薬を活用するのもおすすめです。
簡単な腸活で、からだの内側から元気になりましょう!
<参考文献>
※1 https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/05/post-837.html
※2 https://www.toilet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%8E%92%E4%BE%BF%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BB.pdf
PROFILE
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010005
●Medical Health CH:https://www.youtube.com/channel/UC7XLi90xVGs_NnKhowC0G2w