生後8カ月~1才代は感染症にかかりやすいって本当!?注意したい代表的な感染症を解説【小児科医】
1才前後は感染症にかかりやすい時期といわれています。その理由は?どんな感染症に注意したらいいの?小児科医の黒澤照喜先生に教えていただきました。わが子を守るために、ママやパパは要チェックです!
生後8カ月~1才代は、ママからもらった免疫が切れる時期
生後8カ月~1才代の赤ちゃんは、赤ちゃん自身の行動範囲が増えること、外出の機会が増えること、保育園に通うことなどにより、さまざまなところで菌やウイルスをもらうようになります。また、生後半年を過ぎると、ママらかもらった免疫が少なくなり、人生でいちばん感染症にかかりやすい時期といえます。
生後8カ月~1才代でかかりやすい感染症リストをチェック!
では、生後8カ月~1才代は、どんな感染症にかかりやすいのでしょうか。夏~秋に注意したいもの、通年でかかりやすいものなど、さまざまです。赤ちゃんを守るために、確認しておきましょう。
【突発性発疹】1年を通してかかりやすい感染症
■かかりやすい月齢・年齢/6カ月~3才
■かかりやすい季節/通年
■完治までの目安/約1週間
38度以上の高熱が急に出て、3~4日間続きます。高熱以外には軟便が見られる程度で、せきや鼻水などは出ません。熱が下がるのとほぼ同時に、かゆみのない赤い小さな発疹が出て、全身に広がりますが、薬を塗らなくても2~3日でしだいに消えます。発疹が出るタイミングで不機嫌になることが多いです。
【手足口病】初夏~初秋にかかりやすい感染症
■かかりやすい月齢・年齢/6カ月
■かかりやすい季節/初夏~初秋
■完治までの目安/1~2週間
手のひら、足の裏、おしりを中心に、時には全身に小さな水疱ができます。子どもの場合、水疱はあまり痛がらないことが多く、ひどくなっても1週間程度で自然に消えます。口内粘膜に口内炎のような赤い小さな水疱ができる場合も。
口の中の発疹は痛みがあり、食欲が低下。38度前後の発熱や、下痢、嘔吐を伴うこともあります。なお、手足の水疱内にはウイルスがいないためそこから感染することはありませんが、ウイルスはのどに存在しているため、ほかの鼻かぜなどと同様の感染力になります。
2022年7月現在、流行が見られます。
【RSウイルス感染症】夏~冬にかかりやすい感染症
■かかりやすい月齢・年齢/新生児期~
■かかりやすい季節/夏~冬
■完治までの目安/1~2週間
風邪症候群のウイルスの一つで、とくに呼吸器に感染し、発熱、鼻水、せきなどの症状を起こします。細気管支炎や肺炎を併発することもあります。感染後3~5日が最も重症になります。先天的に呼吸器の弱い子、先天性心疾患のある子は、要注意です。
【新型コロナウイルス感染症】1年を通してかかりやすい感染症(流行には波がある)
■かかりやすい月齢・年齢/新生児期~
■かかりやすい季節/とくになし(流行には波がある)
■完治までの目安/数日間(ただし、周囲へ感染させる恐れがある期間は7日間)
新型コロナウイルスが、鼻・口などから入り起きる。小児では重い気管支炎・肺炎などになることは少ない一方で、風邪症状のほか、クループ症候群(犬が吠えるようなせき・声がすれ・息を吸うときの異常な呼吸音)が見られたり、高熱による熱性けいれんが見られることがあります。6カ月から新型コロナワクチンを接種できます。また、乳幼児の感染の大多数は同居家族からの家庭内感染でもあるため、大人・子どもともにワクチンの接種を検討しましょう。
【ウイルス性胃腸炎】冬~春にかかりやすい感染症
■かかりやすい月齢・年齢/全年齢
■かかりやすい季節/冬~春
■完治までの目安/1~2週間
ノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、などが胃腸に入りこんで起こります。口から入ったウイルスはまず胃に到着するために嘔吐の症状で始まり、その後ウイルスが小腸・大腸に移動して腹痛・下痢などが起こることが多いです。発熱はないか、あっても1~2日程度で治まることが多いです。(アデノウイルスを除く)。脱水症状や、下痢によるおむつかぶれ、けいれんをおこすこともあります。
取材・文/ひよこクラブ編集部
1才前後の赤ちゃんがかかりやすい感染症についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。通年でかかりやすいもの、冬~春・夏、夏~秋・冬にかかりやすいものなど、感染症にはかかりやすい季節があります。ここで紹介したのは一部ですが、赤ちゃんを守るために、知っておいてくださいね。
参考/『後期のひよこクラブ』2023年春号 とじ込み付録「8カ月~1才代 受診の目安・おうちケアがわかる!病気・事故・けがの救急ハンドブック」
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
『後期のひよこクラブ』2023年春号には「8カ月~1才代 受診の目安・おうちケアがわかる!病気・事故・けがの救急ハンドブック」とじ込み付録があります。熱やせき、鼻水が出たとき、吐いた・下痢をしたときなどの受診の目安やおうちケアなどを紹介しています。