フリーアナ吉田明世 子どもたちと離れて久しぶりの一人暮らしを満喫しようと思ったのに、現実は…
現在、4才の女の子と2才の男の子のきょうだい育児に奮闘中のフリーアナウンサーの吉田明世さん。
今回は帰省に伴い、東京で仕事があり、子どもたちと数日別々で過ごした際のお話です。吉田明世さんの育児エッセイ第38回は「家族を持った吉田さんが向き合った“生きる意味”」についてです。
たとえ数日でも今生の別れ?! 母・娘の場合
少し前になりますが、夫の実家のある岡山へ家族4人で帰省しました。コロナ禍でなかなか気軽に帰ることができず、これまで写真や動画、テレビ電話などを通して子どもたちの成長を優しく見守ってくれた義父母と義祖父母に会えるのを、私も子どもたちもとっても楽しみにしていました。
ただ、岡山行きが決まってから、とある懸念事項が発生。
それは、私は平日にラジオの仕事があるため、夫と子どもを置いて先に帰らなければならず、初めは納得していた娘が突然『ママだけ先に帰っちゃうの嫌だ』『私も一緒に帰る』と言い始めたことでした。
ママはお仕事をお休みできないこと、もしも一緒に帰っても、パパがいないため、朝私が仕事に出かけた後ひとりぼっちになってしまうことを伝えても、なかなか納得してくれない様子。とにかく、岡山に帰るときはママも一緒なんだし、帰ったら楽しくなって、ママがいなくても平気になっちゃうと思うよ!と説得し、なんとか誤魔化した形にはなってしまいましたが、岡山に向かったのでありました。
実際、いざ岡山に帰ると、久しぶりにみんなでいられることに娘もとっても嬉しそうで、岡山の自然にたくさん触れたりととても楽しい時間を過ごすことができました。
そうしてやってきた、私だけが東京に帰る日。
娘はなんだか朝からそわそわしており、搭乗手続きの時間が近づくと、私の腕にしがみつき離れようとしません。
締め切り時間が迫り、泣き喚く娘を背に、後ろめたい気持ちでロビーへ。
私と離れた後もガラス越しに大号泣する娘。展望デッキでも大粒の涙を流していることに気づき、高校生の頃、ホームステイでアメリカへ渡り、母と離れた後に涙を流したぶりに、私も飛行機の中で泣いたのでありました。笑
久しぶりの一人暮らしを満喫しようと思ったら、まさかまさかの…
実はここだけの話、一人東京へ帰ったあとの久しぶりの一人暮らしに、ちょっぴりワクワクしていたんです。
だって、仕事の後、慌てて保育園にお迎えに行くこともなく、慌てて晩ご飯を作ることもなく、湯船にもゆっくり浸かれて、誰にも蹴られず起こされずに仕事の時間まで寝られるなんて、、、こんな機会そうないんだから、せっかくなら満喫するっきゃない!と思っていたんですよ。
ところがどっこいです。あんなにも泣き喚く娘を見て、楽しめるはずがありません。
どこに食べに行っちゃおうかなぁ〜とワクワクしていた晩ご飯。もちろん、外に出る気にもなれず、かといってご飯を作る気にもなれず、冷蔵庫にあった納豆ご飯で腹を満たす。
なんの入浴剤をいれようかなぁ〜と楽しみにしていたお風呂。子どもたちのいない湯船では何をしたらいいか分からず、お風呂に浮かぶおもちゃをぼーっと眺めながら、ものの数分であがる。
めちゃめちゃ安眠できちゃうじゃん〜!と待ち侘びていた睡眠。早い時間にベッドに入るものの、子どもたちはちゃんと寝たかな、夜中に起きてしまわないかな、なんて考えたらザワザワして全く眠れず、結果いつも以上に睡眠不足。
なんだか活力が湧いてこず、思ってた一人暮らしと全然違うではありませんか。
今回、子どもたちと離れた数日間で、私はやっと気付いたのです。子どもたちの存在は、私が生きる意味そのものだということに。
家事も仕事も全部、子どもたちがいてくれるから頑張れているのだということに。
家族と離れて過ごした数日間。私にとって人生とは、生きる意味とは、という大事なことに気づく良いきっかけになったのでした。
そんな思いを抱えながら、一人暮らしがスタートして数日後、夜寝る前に、娘が泣いてしまうだろうからとそれまで控えていたテレビ電話をした時に、娘に言われた一言。
『ママとお電話より、YouTube見たい。』
ちーーーーーーん。
うん。子どもって親が思う以上に、たくましいんですよね。
その晩、とっても久しぶりに一人で居酒屋に行き、一人晩酌を楽しんだ母だったのでした。
文・写真/吉田明世 構成/たまひよONLINE編集部
●記事の内容は2023年4月の情報で、現在と異なる場合があります。
吉田明世さん(よしだあきよ)
PROFILE
1988年生まれ。2018年5月に女の子を、2020年12月に男の子を出産した。TBSのアナウンサーを経て、19年にフリーとなり、東京FM「ONE MORNING」(月~金6時~9時)「THE TRAD」(月・火15時~16時55分)レギュラー。ほかにTV、イベント、コラム連載など幅広く活躍中。保育士資格のほか、絵本専門士の資格も取得。2022年、初の絵本「はやくちよこれいと」(インプレス)を出版。