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「たまひよ1円募金」あなたの買った1冊が病気をもつ子どもとその家族の支援活動に役立っています

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妊娠・出産・育児情報誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」を1冊購入すると1円の募金につながる「たまひよ1円募金」。募金は、公益財団法人ベネッセこども基金を通じて、未来ある子どもたちへの支援活動に役立てられています。2022年度の「たまひよ1円募金」の寄付先の一つである団体の活動リポートをお届けします。

たまひよ1円募金とは?

「たまごクラブ」「ひよこクラブ」が行っている募金活動で、創刊20周年より、赤ちゃんの未来のためにスタートしました。1冊ご購入いただくたびに「1円」が、公益財団法人ベネッセこども基金を通じて、子どもを取り巻く社会課題の解決や被災地支援活動に取り組む団体への助成金として使われています(2022年度の「たまひよ1円募金」は、ベネッセこども基金の報告額の中に含まれます)。

ベネッセこども基金とは?

「未来ある子どもたちが安心して自らの可能性を広げられる社会の実現」を目指して、設立された公益財団法人です。自主事業と助成事業を通して「子どもの安心・安全を守る活動」「病気・障がいを抱える子どもの学び支援」「経済的困難を抱える子どもの学び支援」「よりよい社会づくりにつながる学び支援」の4つのテーマに、災害発生時には緊急支援として「被災した子どもの学びや育ちの支援」を加えた5つのテーマを軸として、子ども支援に取り組んでいます。2022年度は、25団体に総額6280万3399円の助成を行いました。

【公式サイト】公益財団法人ベネッセこども基金

2022年度の寄付先の中から「認定特定非営利活動法人ラ・ファミリエ(愛媛県)」をリポートします!

愛媛県を拠点とする「認定特定非営利活動法人ラ・ファミリエ」は、難病の子どもとその家族を支援するために2002年に設立された団体です。難病の子どもや家族が利用できる滞在施設の運営や相談事業などを行うほか、2022年度にはベネッセこども基金の助成事業として、病気のある子どもの創作表現ワークショップや作品展示会を実施しました。同法人理事・地域子どものくらし保健室ディレクター・自立支援員の西朋子さん、自立支援員の越智彩帆さんに、ラ・ファミリエの事業内容や活動に込めた想いについて伺いました。

難病の子どもと家族の滞在施設や相談窓口を運営

ーーラ・ファミリエの事業内容について教えてください。

西朋子さん(以下、敬称略) 主な事業内容としては、難病のお子さんとご家族が入院中・外泊時・外来通院時などに利用できる滞在施設「ファミリーハウスあい(慢性疾患児家族滞在施設)」の運営と、「地域子どものくらし保健室」での相談事業や支援活動の二つが挙げられます。「地域子どものくらし保健室」は、愛媛県と松山市から委託を受けている小児慢性特定疾病児童等自立支援事業も含めて、愛媛県内の病気のあるお子さんとご家族のさまざまな相談の窓口となっています。また、学習支援などのボランティアの養成にも取り組んでいます。

0歳から18歳まで、それぞれの家族の悩みに寄り添う

ーー『地域子どものくらし保健室』には、どのような相談が寄せられているのですか。

西 0歳から18歳までを対象としているので、お子さんのライフステージに合わせて、さまざまなご相談が寄せられています。「病気があっても保育園や幼稚園に入園できるだろうか」「入学の際に学校に伝えておくべきことは?」といった就園・就学に関するご相談や、「就職先についてはどのように考えればよいか」といった就労についてのご相談、利用できる福祉サービスの内容や手続きに関するご相談などが多いです。

このようなご相談に関しては、お子さんやご家族の状況や思いを整理しながら、ラ・ファミリエのスタッフが病院や学校などに同行したり、専門機関を紹介したりすることで、チームとして支援を行っています。病気があっても地域で安心して暮らせる体制を整え、お子さんが自立していくための方法を一緒に考えていきましょうというのが、私たちの基本的な姿勢です。

「どこに何から相談したらよいのかわからない」というケースも多いので、その場合はじっくりとお話を伺って状況に応じた支援を行うとともに、サポートが必要となったタイミングですぐに相談していただけるような関係性を築くことを心がけています。また、「同じ病気の人と話したい」というご希望をお持ちのご家族同士の交流のサポートや、病気のあるお子さんのきょうだいの支援にも取り組んでいます。

プロのアーティストと協働してワークショップを実施

ーーベネッセこども基金の助成事業である、病気のある子どもの創作表現ワークショップの取り組みについて教えてください。

西 松山市近郊の病院2か所とラ・ファミリエの事務所にて、愛媛県内で活躍する4人のプロのアーティストと子どもたちが協働してアート活動を実施しました。病院でのワークショップは入院中のお子さんのみを対象としましたが、ラ・ファミリエの事務所でのワークショップは病気のお子さんとそのきょうだいを対象とし、病院とラ・ファミリエの事務所でのワークショップの合計で57個の作品が完成しました。

それらの作品の展示会を2023年2月から3月にかけて愛媛大学医学部附属病院と愛媛県美術館にて実施し、愛媛県美術館では展示期間中に、病気のお子さんとそのきょうだい、一般のお子さんを対象としたアーティストによるワークショップも行いました。また、アート活動に参加した病気のある子どもたちとご家族などを対象に、療養生活中におけるアート活動のニーズなどに関するアンケート調査も実施しました。

動画でレクチャーすることで病棟でのアート活動も可能に

ーーワークショップでは具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか。

西 病院でのワークショップでは、だるま風の置物づくりや布製の人形型のストラップづくりを実施しました。ラ・ファミリエの事務所では、ビニール傘をカラフルなテープやセロファンなどでデコレートしたり、抽象画を描いたりするワークショップを行いました。

病棟では新型コロナウイルス感染症対策として面会制限があったため、アーティストが作品のつくり方などを伝えるレクチャー動画を撮影・編集し、その動画とアートの材料を病棟に届け、入院中のお子さんや保護者の方には動画を見ながら制作に取り組んでもらうという形を取りました。ラ・ファミリエの事務所では、冬休み期間に対面でのワークショップを実施することができました。

コロナ下の入院生活でも自由に自分を表現できる場を

ーー参加したお子さんやご家族からは、どのような感想が寄せられましたか。

越智彩帆さん(以下、敬称略) アンケートでは、お子さんからは「自分で自由に作品を作ることが楽しかった」という声が多く寄せられました。今回のワークショップを非日常の新鮮な体験として受け止めてくれたお子さんが多かったようです。ご家族からは「病気であっても自分を表現する機会は絶対必要」「アートに取り組むことが元気の源になる」といった声が寄せられました。医療関係者の方々も、「コロナ下での入院生活ではできることも限られてしまう中、何か子どもたちを元気づけられるような活動ができればと考えていた。このような創作活動を通じて子どもたちがワクワクしながら自分を表現することができて良かった」と喜んでくださいました。

西 入院中、生命に関わるおそれがあるという病状だったあるお子さんは、ご家族と「退院して家に帰ることができたら、だるまに目を描き入れよう」と話しながら、病棟でだるま風の置物づくりに取り組んでくれたそうです。治療をがんばって無事に退院でき、だるまとともにおうちに帰れたという話をお母さんから伺ったときは、私たちスタッフも胸が熱くなりました。それぞれのご家族が、私たちが想像していた以上に強い思いを込めて作品を作ってくださったように感じます。

多くの人々が難病の子どもたちに思いを馳せた展示会

ーー展示会をご覧になられた方々の反応はいかがでしたか。

西 愛媛県美術館での展示会には340名ほどの方が足を運んでくださったのですが、「このアートを見て、これまで意識したことのなかった病気の子どもたちの存在を知ることができてよかった」といった感想を多くいただきました。

参加したアーティストの方々からも同様の感想が寄せられ、だるま風の置物づくりでは完成した全ての作品の写真を撮影してそれらを1枚につなぎ合わせて、「ひとりじゃないよ。皆が関わり合っているんだよ」というメッセージの発信にもつながっていきました。普段は病気のある子どもたちと接点のない方々が、アート作品を通じて、病気のある子どもたちのことに思いを馳せてくださるようになったことは有り難かったですね。

アートは好きにやることが大切、それが子どもたちの生きる力に

ーー病気のある子どもたちにとって、創作活動に取り組むことはどのような意味を持つとお考えですか。

西 入院中や療養中の子どもたちは日常生活にさまざまな制約がありますが、その中でも創作活動に取り組む機会をもてると、自由に発想してそれを表現することの楽しさを実感できるのではないでしょうか。今回のワークショップのレクチャー動画でアーティストの方々は「アートに失敗はない」「好きにやることが大切」といったメッセージを届けてくださいました。病気と向き合う日々の中でも自分の思うままに想像力や創造力を発揮できる場があって、楽しくて思わず笑ってしまうような瞬間があることは、子どもたちの生きる力にもつながっていくように思います。

越智 アンケートでも、「もっとやりたい」と思う活動として、絵を描くこと・ものづくりを挙げたお子さんやご家族は多くいらっしゃいました。病気をもつお子さんにとって、美術や創作活動はダンスや演劇といった表現活動に比べると取り組みやすく、「日ごろからやっている」という回答も多かったのですが、「もっとやりたい」というニーズも高いことがわかりました。今後もこうしたニーズに応えられるように、私たちにできることを模索していければと思います。

子どもの存在そのものが宝物、子育ては一人で抱え込まないで

ーー難病のお子さんのご家族へのメッセージをお願いします。

西 子どもは存在そのものが宝物であり、地域の人々みんなで育てていくものだと思います。私自身も子育てで困ったときは、「不安なことやわからないことを誰かに聞ける」「自分の話を聞いてもらえる」ということが大きな支えになりました。病気をもつお子さんをサポートするための社会資源はありますから、ご家族の方は一人で抱え込まずに、困ったときはお住まいの地域の相談窓口や支援活動を行っている方々に相談してみることが大切だと思います。

まずは知ることから始めて、社会全体にあたたかい眼差しを

ーー難病のお子さんやそのご家族のために、私たちにできることはあるでしょうか。

越智 まずは一人でも多くの方々に、世の中には病気と闘いながら生きているお子さんがいるということを知っていただければと思います。「たまひよ1円募金」をきっかけに病気をもつお子さんのことを知ってくださった方々が、難病のお子さんやご家族のことに思いを馳せたり、少し調べてみたりしてくださるだけでも、お子さんやご家族、支援活動に携わっている私たちにとっては励みになります。

西 病気をもつお子さんやご家族が困難に直面したときに、「何か手伝えることはありますか?」というあたたかい眼差しを向けてくださる方々が地域の中にいるということは、とても大きな力になります。あたたかい眼差しを社会全体に広げていくためにも、まずは病気をもつお子さんやご家族のことを知ることから始めていただければ幸いです。

団体プロフィール

■認定特定非営利活動法人ラ・ファミリエ
2002年8月に設立、特定非営利活動法人として認証される。
小児科医や看護師などの医療従事者のほか、自立支援員、社会福祉士、相談支援専門員、介護福祉士、管理栄養士、保育士、デザイナーなど、多彩で専門性の高いメンバーによって運営されている。病気のある子どもとその家族のための滞在施設「ファミリーハウスあい」の運営、「地域子どものくらし保健室」における相談事業・ピアカウンセリング・相互交流支援・就職支援・きょうだい支援・学習支援、学習支援ボランティアの養成などを行っている。

【公式サイト】Lafamille 地域子どものくらし保健室

■取材・文/安永美穂

●記事の内容は2023年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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