産後のセックスがどうしても苦痛…夫に理解してもらうまで。スヤスヤ子さんにインタビュー
インスタグラムのフォロワー8万人のすやすや子さんは夫・すや夫と息子・すや太くん(小1)と3人暮らし。日々のできごとを漫画にしてインスタに投稿しているすや子さんですが、自身の妊活や産後うつ、産後のセックスレスの体験を赤裸々に語った漫画に、「わかる……」「私もそうだった」と共感の声がたくさん寄せられました。
今回はすやすや子さんが漫画を書くようになったきっかけや、妊活や産後うつ、産後のセックスレスの体験についてお話を聞きました。
「お姉ちゃんみたいにならない…」妹からの言葉が嬉しかった
――漫画を描き始めたきっかけはなんですか?
すやすや子「私が産後うつのような症状が出ていたときに救ってくれたのは、私と同じように産後・育児が辛いと思っている人の体験談でした。なので私もいつか産後の辛かった話を書いてみたいとずっと思っていました。
また、産後うつや産後夫婦で揉めた話を描くことで、それを見た方たちがどうやったら辛くない産後を送れるか、良い夫婦生活を送るヒントになるのではないかと思いました。(実際に妹が出産した時に私の産後の漫画を見て『お姉ちゃんみたいな産後にならないように頼れるものには頼りまくることにした』と言っているのを聞いて嬉しかったです)
漫画は、子どもが小さい頃は子どもが寝ているとき、今は小学校1年生なので学校に行っているときや、寝かしつけのあとに描いています」
妊活をするも…多忙な夫とタイミングが取れない日々
――すや太くんができるまで妊活をしていたそうですが、妊活中を振り返っていかがですか?
すやすや子「結婚して1年くらいで妊娠しましたが、すぐに初期の流産になってしまいました。本当に初期だったのですが、それでもとてもショックでした。
そのときはそんなに頑張らずに妊娠できたので、2度目もすぐに妊娠できるんだろうなと思っていました。しかし、私は生理周期が乱れがちだったり、夫はED気味だったり、タイミングをとろうと思っても夫の出張などでタイミングをとろうにもとれなかったりと、なかなか妊娠できず……。
『このままではいかん!』とクリニックに通うことにしました。最初、夫は『そのうちできるよ〜』とそこまで焦ってはいなかったのですが、途中からスクワットをしたり、妊活に良いと言われている食べ物を食べたり、EDの薬を飲んだりしていました」
妊活中のできごと
当時のすや子さんは排卵日を気にしたり病院に通ったりして「1人で妊活を頑張っている気がしていた」とのこと。すや子さんが気持ちをぶつけてからは夫も妊活に積極的になり、精液検査をしたり、仕事で疲れていてもタイミングを取るようになり、妊活の情報収集もしてくれるようになったんだとか。妊活は夫の協力も重要です!
「私のせいだ!」産後育児は何もかもが怖くて不安だった
――産後うつになりしんどい時期があったというすや子さん。当時のメンタルについて教えてください。
すやすや子「産後は不安感がとても強かったです。
例えば、産後入院していた産院で裂けた会陰の痛み止めの薬をもらったのですが、それすら『この薬を飲んだら母乳を通じて子どもに害を与えてしまうかもしれない』と怖くて飲めず、痛みに耐えていました。産院がだしているものだから安全なもののはずなのに飲むのが怖かったんです。
子どもになにかあったら私のせいだ、私が選択を間違ったらこの子の一生を台無しにしてしまうかもしれないという不安感が強くて、かわいいよりも怖い・不安な気持ちが強かったです」
産後育児中、神経質に
すやすや子「発達もとても気にしていて、子どもが少し変わった動作をしただけでも『発達に問題があるのでは?』『私のせいだ!』と不安でたまりませんでした」
すや太の発達を気にしている自分に嫌気がさし…
すや太くんの発達を気にしすぎて、検索魔になってしまい、今だったら信じないような情報にも振り回されてしまったそう。嫌悪感を持っていた“無責任な親”に自分がなってしまうのではという不安に苛まれていたそうです。
――産後うつはいつ頃から落ち着いてきましたか?また、産後うつの時は周りからどのように接してもらいたかったなどはありますか?
すやすや子「完全に、ではないですがだいたい産後半年位から落ち着いてきました。産後はもっと周りに頼れたらよかったし、育児を少しでも楽にするためにもっとお金を使ってもよかったなと思います。
あのときは『母親の私が頑張らなければ!』『母親とは!』『子どものために!』と意気込みすぎて自分を追い詰めすぎていました。
産後は義両親が泊まりでお手伝いに来てくれたのですが、狭いマンションで義両親と同居はどうしても気を遣ってしまい(例えば眠たいときに眠たいと言えない・トイレに行きづらい・起きる時間が違うなど)、思っていたよりゆっくり休めなかったです。
でも1人じゃないという安心感はありました。もしまたあのときをやり直せるならもう少し遠慮せずに頼りたいです」
産後1カ月手伝いに来てくれた義両親
産後は義両親が手伝いに来てくれるも、気をつかってうまく頼れなかったというすや子さん。ふだんは夫が出張に行き、すや子さんが1人で育児をしている時間も多かったそうです。「頼れない」状況に追い詰められてしまうと心がパンクしてしまうので、1人で頑張りすぎないことが大事です。
「なんで夫はわかってくれないの?」苦痛だった産後のセックス
――産後1年半までは夫との夫婦生活がしんどかったというすや子さん。当時は夫に対してどんな感情でしたか?
すやすや子「当時は『なんでこの気持ちを夫はわかってくれないの? なんでこっちはこんなにきついのにそっちは性的なことを考える余裕があるの? 性的なことなんてこっちは考えたくもないし考えられないのに、夫は余裕あっていいですね!! 夫のアホ!』と思っていました」
子どもが寝たあと
――産後のセックスレスを乗り越えた今だからこそわかることはありますか。
すやすや子「まさか産後に、抱きしめられる・ボディータッチまでがこんなにも嫌になるなんて思わなかったです。夫は夫で『出産前まではお互いボディタッチもよくしていたのになんで……?』と思っていたようです。
産後半年くらいで夫と産後初めてセックスをしたのですが、会陰切開の傷が完全には治っておらず半年経っても痛かったです。育児書やネットでは『産後1カ月からセックスをしても大丈夫』と書かれていますが、多分ほとんどの方は産後1カ月でのセックスは苦痛だと思いますので、夫はネットや育児書の意見を信用しすぎず、ちゃんと妻の気持ちを聞いて欲しいです。
そして産後セックスを拒否される=妻に愛されていないのでは?と思ってしまう方もいるかもしれませんが、産後は好き嫌いに関係なく性欲が行方不明になることがあります。
出産=幸せ、育児=幸せ、というイメージが強いかもしれませんが出産、育児は想像以上に辛かったりします。妻が幸せそうに赤ちゃんを抱いている姿を見たり、なんだかんだ赤ちゃんのお世話のためにてきぱき動いている姿を見ていると、産後でも辛く見えないような錯覚を起こしてしまうかもしれませんが、実は体も心もぼろぼろだったりします。
私がセックスの話を書いたとき、産後性行為を強要されて辛かったというメッセージがたくさん来ました。産後の恨みは一生です。夫側にはセックスすることを考える前に、育児や妻の体調やメンタルについて考えてみて欲しいです。出産前に、産後性欲がなくなってしまう可能性があることなど、夫婦で事前に話し合っておくと良いと思います」
どうしてもセックスができないことを伝えると…
体を触られることが苦痛だと言っても夫になかなか伝わらない、拒否するのにも罪悪感が付きまとう……。すや子さんは「自分の我慢が足りないだけなのか」と性欲が戻ってこない状態を深刻に悩んでいたそうです。
産後の回復期間は人それぞれなのに、「産後●カ月だからセックスをしても大丈夫」と夫に思われてしまうと、妻の身体や心が置いてきぼりになってしまいます。とはいえ夫の気持ちも理解していないと、夫婦間の誤解やズレが生じてしまうことも事実。産前は産後のセックスのことまでは考えられない人も多いと思いますが、お互いに納得するまで夫婦で話し合うことが大切ですね。
出張で夫が1カ月不在のことも…ワンオペ育児のコツは?
――多忙な夫との家事・育児分担や、ワンオペのコツなどがあればお聞かせください。
すやすや子「夫は出張が多く、1カ月家に帰ってこないこともあります。出張がない時も朝早く家を出て行って帰宅は息子が寝たあと。
最初は『夫も大変なんだから私も頑張らなきゃ!』と思っていましたが、私は根がズボラなのもあり、頑張りすぎるとつい『私ばっかり!!』と夫にも子どもにもイライラしてしまうので、今は頑張りすぎないようにしています。
夫が出張中の休日は息子と2人でドライブして3食食べて帰ってきたり、学校がお休みの日の朝は置きパン(寝る前に息子の朝ごはんのパンをテーブルに置いておく)をして、いつもよりゆっくり寝させてもらったり、基本ごはん作りは適当です。夫が出張中は、洗濯物も少ないので2、 3日に1回にしたり……、楽できるところは楽をして、そのぶん息子と絵本を読んだり遊びに行ったりごろごろしています。
夫は家にいないことも多いですが、出張前にごはんの作り置き(ミートソースや豚汁など)を作っていったり、夫の仕事が休みの日や在宅ワークのときは3食作ったり、スーパーの買い出し、裁縫や寝かしつけをしています。掃除は私の担当です」
――最後にたまひよの読者のみなさんとこれから出産・育児を経験するパパ・ママたちにひと言お願いします。
すやすや子「育児は想像以上に大変です。
“気楽に育児”は想像している以上にむずかしいです。
でも想像以上に子どもはかわいいです。宝物です。
頑張りすぎないよう気をつけつつ、楽しく育児できますように」
妊活・産後うつや産後のセックスレス……これらの悩みに直面してもなかなか本音を言えない人も多いのではないでしょうか。ホルモンバランスも整っていないなか、慣れない育児を頑張るママにとって必要なのは家族の理解。産後のセックスはなかなか乗り気になれない人がほとんどだと思うので、納得し合うまで夫婦で話し合いを重ねることが大切だと感じました。
すやすや子さんが思い切って自分の体験を漫画にしたことによって、悩んでいる人が「1人じゃないんだ」と心が救われたらと願います。(文・清川優美)
『毎日全力、たまーにズボラなすや子さんち』
プロフィール /すやすや子
夫(すや夫)と息子(すや太)と3人暮らし。育児のこと、日々のことをインスタグラム(@suyasuyakoo)にアップしています。「すや子のブログ」も更新中。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年6月の情報で、現在と異なる場合があります。