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「夏に体重が増える子は肥満になるって本当?」「筋トレしすぎると背が伸びない?」子どもの発育に関するギモンを専門家に聞く【発育研究専門家】

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壁の近くの小さな女の子の高さを測定する母親
interstid/gettyimages

「スマホやタブレットは、子どもの発育を妨げる?」「身長は遺伝?環境? 両親ともに長身だから、子どもも“絶対に”長身になるよね?」「夏に体重が増える子は肥満になるって本当?」「筋トレしすぎると背が伸びないって聞くけれど・・・」などなど、気になる身長・体重に関するうわさ。生活リズムや生活習慣の乱れが発育に与える影響について、発育研究者の小林正子先生に聞きました。

夏に体重が増えると肥満傾向になる可能性があります

夏到来! 幼稚園や小学校に通う子は、長い夏休みを迎えていることでしょう。保育園に通う子も、親の休暇に合わせて保育園を休むことも。夏休みは普段の通園・通学しているときとは生活リズムが変わりやすく、体重の変動も起きやすいといわれます。夏といえば「夏やせ」という言葉がありますが、最近は、むしろ肥満傾向になる子どもたちが増えているそう。

「日本の子どもの発育は、季節の影響を大きく受けています。基本的に体重は春夏に増えず、秋冬に増えるという『季節変動』があります。それに対して身長は春夏に伸びる子どもが多いという季節変動があったのですが、今は個人差のほうが大きくなっています。

本来、体重が増えにくい夏に体重が増える子が多くなっている原因は生活リズムや生活習慣の乱れが考えられます。夏休みに起床時間が多少遅くなるのはかまいませんが、3時間ぐらいと大幅にずれると朝食を抜いたり、間食が増えたりするなど食生活が不規則になりがちです。

最近は共働きの家庭が多くなり、小学生になると学童に行く子はいるものの、日中子どもだけで過ごす子も結構いるようです。親の目が届かないと、好きなように過ごしてしまい、生活リズム・生活習慣が乱れてしまう子も少なくありません。結局、不健康というのは体本来のリズムが崩れることから始まると知っておきましょう」(小林先生)

ひと夏の間に多少体重が増えても夏休みが終わり、新学期が始まれば、また規則正しい生活に戻る子が大半です。けれども、生活リズムが乱れる夏を1年、2年、3年・・・と毎年のように続けていれば肥満傾向になる可能性が大きくなります。

「夏に増えた分の体重が減ることはなく、秋冬の体重増加によってさらに体重が増えるイメージです。それを何年も続けていたら、肥満が慢性化するのは明らか。夏の過ごし方には注意しましょう。誤解しないでほしいのは決してダイエットをすすめているわけではないということ。夏休みでも、学校があるときと同じように規則正しい生活を送ることが大事です。小さいころから栄養バランスのいい食事や、早起き・早寝の生活習慣の大切さを大人がきちんと教えましょう」(小林先生)

過剰な運動や筋肉トレーニングは発育を阻害する可能性も

「わが子を丈夫で健康に育てたい」「運動が得意な子になってほしい」と子どもに運動をさせているママ・パパはいるでしょう。けれども、過剰だと逆に正常な発育を妨げることがあるそうです。

「運動が発育に与える影響については個人差がありますが、やりすぎはよくありません。運動系の習い事などで、疲れすぎていないか、食欲はあるか、楽しんでやっているか、悩んでいる様子はないかなど、まずは子どもをよく観察しましょう。子どもがへとへとになって食事が食べられないことが続く場合はやりすぎの可能性が大きいです。

おすすめしたいのが、成長曲線をつけることです。実際に描いてみて、もし身長がこれまでのパーセンタイル基準線から外れている、身長があまり伸びていないといったことに気づいたら、練習時間や頻度、メニューなどを見直す必要があると思います。その場合は成長曲線を見せながら指導者と相談するといいでしょう」(小林先生)

また、過剰な筋トレにも注意が必要だと言います。

「子どもの骨の端には『骨端線』と呼ばれる軟骨部分があります。たとえば、『腕立てふせを一度に200回する』というような過剰なトレーニングを行うと、その軟骨部分に負荷がかかって細胞分裂がうまくできず、身長が伸びなくなることがあります。筋トレをすべて否定しているわけではありませんが、問題なのはその加減です。筋肉がいちばんつきやすい時期は、実は身長がしっかり伸びきったあとだということがわかっています。筋トレは身長が十分に伸びきる18歳以降に始めるのでも遅くありません。小さいころからあせって過剰な筋トレをする必要はないんです」(小林先生)

生活習慣の乱れが早熟を促進することも

【思春期早発症の事例】8歳半ころ(小学3年生)から身長がスパートして5年生までは大きく伸びた。しかしその後、伸びが鈍くなり中学生になると完全にストップしてしまい、集団の中では次第に低いほうになっていった。(画像提供:小林先生)

最近は子どもの就寝時にスマホやタブレットで絵本の読み聞かせアプリを使ったり、夜泣きのときあやすために一時的に動画などを見せたりする家庭もあるようです。寝る前に電子機器を使用すると脳が覚醒し、寝つきが悪くなる、熟睡できなくなるといったことも。質のいい睡眠がとれないと成長ホルモンが分泌されず、発育が妨げられることも懸念されるそうです。

「習い事や塾で就寝時間が遅くなる子もいると思いますが、睡眠をおろそかにしないでほしいです。身長を伸ばすには、ぐっすり眠って成長ホルモンをしっかり分泌させることが必要不可欠。小学生なら夜9時には寝かせるのが望ましいです。

子どもの身長を伸ばすには、思春期の爆発的に伸びる時期の開始をできる限り遅くすることが大事と言われています。そのほうが伸びる時期が長く続き、結果として身長も高くなることが多いです。

ところが、生活習慣の乱れから体の早熟が進み、身長が伸びる時期が早期に訪れ、持続しないで早期に終わってしまうこともあります。早熟が進み、思春期が異常に早く訪れることを思春期早発症と呼びます。その思春期早発症の事例を成長曲線で紹介します。小学3~5年生ごろは身長がぐんと伸びていますが、その後は伸びが鈍くなり、次第に集団の中では背が低いほうになっていった例です。また、早熟が早く進む弊害の一つとして女の子は、初潮がくるのも早くなってしまいます。

子どもの身長を決めるのは遺伝3割、環境7割といわれます。子どもがもともと持っている発育する力を間違った生活習慣でつぶしてしまうのは非常にもったいないこと。最近の傾向では、正しい知識を持ち、適切な生活習慣を意識している環境下で育つ子は大きく、そうでない子は小さくなるという二極化が進んでいると思います。良質な睡眠、たんぱく質やカルシウムを含むバランスのとれた食事、適度な運動、早起き・早寝の生活を心がけることで、子どもの『伸びる力』を最大限引き出してあげてほしいと思います」(小林先生)

監修/小林正子先生 取材・文/永井篤美、たまひよONLINE編集部

「『身長は高いほうがいい』と言っているわけではありません。子ども自身が持っている『伸びる力』を存分に発揮できるよう、生活リズム・生活習慣を整えてほしいのです」と小林先生。「子どもの発育は自然に任せている」という家庭でも、間違った生活習慣が原因で、子どもの発育が妨げられると知れば正したいと思うのではないでしょうか。子どもの健やかな発育には正しい生活習慣を送ることが欠かせません。これは子どもの健やかな発育を促すだけにとどまらず、一生通じて子どもの健康を守ることにもつながります。

小林正子先生(こばやしまさこ)

PROFILE
発育研究者。東京大学助手、国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)室長を経て2007年より女子栄養大学教授、2020年より同大学客員教授。発育の基礎研究のほか、「発育グラフソフト」を開発し、成長曲線の活用を推進している。著書は『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)など。

子どもの異変は「成長曲線」でわかる

成長曲線を描くことが、身長・体重の異変にいち早く気づき、子どもの健康を守ることにつながると訴える。小林正子著/990円(小学館新書)

●記事の内容は2023年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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