「保育園に預けるのは可哀想?」「夫との教育方針のズレがある」人には言えない子育ての悩みに専門家がアドバイス
今回のテーマは「人になかなか言えない子育ての悩み」についてです。
「たまひよ」アプリユーザーの悩みに、家庭教育協会「子育ち親育ち」代表の田宮由美さんからアドバイスをいただきました。
子どもの成長とともに子育ての悩みは変わる
■悩み その1
「来月から保育園に子どもを預けて仕事復帰をするのですが、保育園に預けることを可哀想と感じてしまっています。
保育園自体には不安はありません。お金も大事、でも、子どもとの時間を増やしたいしとぐるぐる考えてしまいます」(ぷよ)
田宮 「仕事復帰されるのですね。保育園自体には不安はないとのこと、良かったです。
確かに幼い頃から親と離れ、保育園に通わせるのは、なんとなく『可哀想』という気持ちもあるかと思います。
特に、朝送って行ったとき、親と別れ際に、泣き叫ぶ子もおり、親としては辛く感じることもあるでしょう。ですが、親の姿が見えなくなると、案外ケロッとして、遊び始める子がほとんどです。
相談者もおっしゃっているように、お金はこれからの生活や教育資金など考えたうえで、大切なものです。経済的に不安定で、心にも余裕がなくなり、親がイライラしたり、憂慮や心労を抱えて生活するのは、子どもにネガティブな影響を与えることでしょう。
子育ては『時間』より『質』です。短い時間でも、濃い関わりを子どもと過ごすよう心掛けください。例えば、『毎日就寝前は必ず絵本の読み聞かせをする』『1日15分は家事の手を留め、子どもの話しをゆっくり聴く』など可能な範囲で子どもとの時間を決めて取るとよいでしょう。
保育園に通っていると、集団生活の中で、他者とのコミュニケーションの取り方を覚えたり、家庭ではできない体験ができたりと、メリットも多くあります。
『可哀想』と感じる気持ちがある親御さんは、大丈夫です。何故なら、子どもとの時間の大切さを意識されているからです。自信を持って、子どもさんを保育園に送り出してあげてください」
■悩み その2
「夫との教育方針のズレに悩んでいます。子どもの夜の間食、おやつの中身(ジュースやポテトチップスなど)、動画の見せ方などがズレますが、どう擦り合わせるのが良いのかわかりません」(あきばまま)
田宮 「夫婦間において、子育てに対しての意見の相違や、教育方針のズレはどこのご家庭でも多少は生じる問題です。
夫婦と言えど、それまで育ってきた環境も違えば、もともとの性格や好みも異なるでしょう。
子育てへの考え方も相違があって当然です。
ですので、全ての意見を一致させることは難しいでしょう。『何故、相手はそのように考えるのか』という視点を持って、ある程度のところで、お互いに譲り合うことも必要です。
大切なことは、子どもにとっての『最善』をしっかり話し合うことです。
問題が起きているその時点での話し合いは、お互い感情もぶつかり合うことが多いので、平時に話し合うことをおススメします。
その時、とりあえず、相手の話しに耳を傾けてください。『なるほど、あなたはそう思って、(夜の間食、おやつの中身、動画の見せ方)をそのようにするのね』と考えを一旦は受け入れましょう。
そのうえで、自分の考えが違う理由を説明したり、他の方法を提案したり、何故その方法を提案するのかなど、具体的なことも話し合われるとよいでしょう。
相手の意見に耳を傾けながら、話し合う姿は、子どもにとっては学びとなるでしょう。
最もいけないことは、子どもの前で、お互いを頭から否定しあったり、ケンカをすることです。
社会に出れば、多様な価値観に出遭います。お互いの違いを受けとめ、その場合、どのように対応していくか、子どもが家庭の中で考えるきっかけになるとよいですね」
子育ては時間より質。夫婦の話し合いは、ズレを感じたときではなく、平時に行うのがポイントなのですね。
(取材・文/メディア・ビュー 橋本真理子)
田宮由美さん
PROFILE
家庭教育協会「子育ち親育ち」代表。保育士、幼稚園教諭、小学校教諭の資格を取得後、幼児教室、幼稚園、小学校で勤務。小児病棟への慰問や、子どもの悩みの相談員など、多方面から多くの親や子どもに関わる。現在は、執筆を中心に講演、個別指導等で活動。国内有数の子育てサイトをはじめ、新聞、雑誌、企業への執筆、監修記事は、多くの共感を得ている。テレビ・ラジオにも出演。著書に『比べない子育て』(一万年堂出版)、『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)などがある。

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2023年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。