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子どもの思いやりの心や共感力はどうやって育つ?神経細胞・ミラーニューロンの働きに関係が【脳医学者】

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大人の人と知識、アイデアを共有する子供の 2 頭のシルエットのベクター
※写真はイメージです
Feodora Chiosea/gettyimages

「子は親の鏡」ともいわれますが、脳にあるミラーニューロンの働きによって、赤ちゃんはまさに鏡のように人の動作や感情を学んでいるのだそうです。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生の短期連載 第6回のテーマは「ミラーニューロン」について。11才の男の子のパパでもある瀧先生に、子どもの脳の発達から見る子育てのヒントと、先生自身の子育ての様子、またママやパパの気になる質問などについて聞きました。

動きだけでなく感情も模倣するミラーニューロン

――ミラーニューロンとはどのような働きをするのですか?

瀧先生(以下敬称略) ミラーニューロンとは、模倣に特化した神経細胞です。親が口角を上げて笑顔を見せると赤ちゃんも笑顔になる、というように、ほかの人の動作を目にしたときに、それを記憶して、鏡のように運動のまねをするシステムです。生後12カ月の赤ちゃんにある動作を見せたら、4週間たったあとでもその動作のまねができた、という研究もあります(※)。
立ったり歩いたり、バイバイをしたり、子ども番組のダンスを踊ったりといったこともミラーニューロンの働きによるものです。

さらに、単なる運動だけではなく、実はその感情も模倣する働きがあるといわれています。相手が喜んでいる、悲しい、などの表情を見ると、その感情を理解して共感する、というところにミラーニューロンの働きが関係しているといわれています。
子どもが、親とのコミュニケーションを通して、楽しい・ワクワク・くやしい・怒っているなど幅広い感情を知ることは、相手の感情を理解して共感力が育つ土台になります。

感情を理解する共感力を育てるには絵本の読み聞かせがおすすめ

――子どもがいろんな感情を知るには、絵本を読み聞かせたり、一緒にテレビや映画を見たりするといいでしょうか?

瀧 そうですね。私たちは、本や映画やドラマなどを見ることで、自分の人生だけでなく、ほかの人の人生も追体験することができます。経験したことがないストーリーだとしても、主人公の感情に共感することがあるでしょう。
子どもにはとくに絵本の読み聞かせがとてもいいと思います。子ども向けの絵本の物語では、オオカミをやっつけるこぶたや、かいじゅうたちの王様になる男の子の、ドキドキする気持ち、ホッとする気持ちに共感することができますよね。絵本を通してさまざまな感情を知ることで、他者の気持ちを理解する、共感する力を身につけることにつながります。

私たち人間が社会の中で生きるために、共感性を育てることはすごく大切です。ほかの人がどういう感情かな、と想像することで、よりコミュニケーションを円滑に取りやすくなり、適切な行動を取れるようになる共感力は、学校生活でも職場でももっとも重要な非認知能力の1つだと思います。

脳医学者パパ・瀧先生の子育て体験を教えて!

――瀧先生の息子さんが小さいときには、どのような絵本を読み聞かせしてあげていましたか?

瀧 はじめはどんなものを選んだらいいかわからなかったので、推薦図書などに選ばれているものを中心に買っていました。子どもの成長にしたがって『100万回生きたねこ』『おじさんのかさ』などメジャーなものを選び、毎晩寝る前に夫婦で代わりばんこに読み聞かせていました。やがて息子が恐竜が好きになると、『恐竜あいうえお』など気に入ったものを何回も何回も「読んで!」とせがまれました。

わが家では息子が幼いころから読書の習慣があり、本屋に行くのが当たり前になっていて、今でも月1回は一緒に本屋に足を運びます。そのような習慣からか、息子は読書が大好きになりました。図書館でももちろんいいですが、本が身近にある環境はとても大きいと実感します。
子どものころの読書量は将来の学業成績を高めるといったさまざまな論文もあります。読書はいいことずくめですから、ぜひ小さいうちから親子で習慣づけることをおすすめします。

【瀧先生に聞く】ママ・パパからの気になるQ&A

子育て中のママやパパの困りごとや悩みに、瀧先生からアドバイスをもらいました。

【Q】夫婦げんかは、子どもがまねするかもしれないから見せないほうがいいのでしょうか?

【瀧先生より】
教科書通りに答えるなら、そのとおりかもしれません。ただ実際の子育ては、幸せと困難が伴うものだとも実感しています。朝から晩まで子どもに笑顔で接してあげることは難しいですよね。わが家もそうです。夫婦げんかなどはあまり見せないほうがいいけれど、現実にはそういうこともあります。

その中でできることとしては、やはり愛着形成をしっかりしておくことだと思います。日常的に子どもに愛情をかけて大切にすること、「あなたのことが大事だよ」と伝えることが大切です。人と人との間では、当然ぶつかることもあります。けんかを通して子どもが人間関係を学ぶ面もあるかもしれません。でも夫婦げんかを見て、子どもが自分のせいだと傷つくことがないよう、夫婦間・親子間の信頼関係を築くことが大事でしょう。

【Q】仕事で疲れすぎて子どもになかなか笑顔で接することができません。作り笑いでも笑顔でいたほうがいいですか?

【瀧先生より】
ママやパパは笑顔でいたほうがいいのかもしれませんが、子どもも親の気持ちを理解しますので、無理をしていることはいずれ子どももわかると思います。親自身が「疲れたな」「悲しいな」という感情があるときには、「こういう理由で今ママは悲しい気持ちなんだ」と伝えてもいいかもしれません。

ママが疲れていることや、パパに嫌なことがあったこと、そういう気持ちに共感して、他者の気持ちが理解できる思いやりが育つこともあるでしょう。

お話・監修/瀧靖之先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

瀧先生は「親自身がワクワクして何かに打ち込む姿を見せることも、子どもの知的好奇心や共感力を育てるために大切なこと」だと言います。たまには親が大好きな絵本を、楽しみながら読んであげてみるのもいいかもしれません。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※Klein P.J. et al.,Developmental Science,2(1):102-113.,1999

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