世界的に注目を集める「ムードフード」。ストレス緩和やリラックス効果も!アフタヌーンティーで楽しもう【管理栄養士】
子どものお世話、仕事、家事……。日々の忙しさからくるストレス、誰しもが経験しますよね。でも、そのストレスを食べ物や飲み物で解消できる方法があるのです。今回は「ムードフード」を使ったストレス解消法を管理栄養士が解説します。
ムードフードとは
近年、世界的に注目度が高まり、日本でも注目されている「ムードフード」。
ムードフードとは自分のムード、つまり、気持ちを変えたり整えたりできる食べ物や飲み物をさします。明確な基準はまだありませんが、ストレスの緩和やリラックスなど、特定の感情に働きかける食べ物が含まれているのが条件です。
ムードフードの魅力は、薬と違って副作用の心配がない点。特別な時間や費用をかけなくても、身近な食べ物で心身を整えやすくなります。
代表的なムードフード
ストレスを緩和し、リラックス効果が期待できるムードフードをご紹介します。
なお、それぞれの成分は単体では働かず、他の栄養素と組み合わさることで力を発揮します。主食、主菜、副菜を揃えた基本の食事にムードフードを取り入れると効果的です。
<リラックスを促し平常心を保つGABA(ギャバ)>(※1)
GABAは神経伝達物質のひとつで、血圧降下作用や、興奮を鎮めるリラックス効果が期待できます。味噌やぬか漬けなどの発酵食品や発芽玄米、カカオに含まれています。
<緊張を和らげ良眠を促すテアニン>(※2)
テアニンはお茶のうま味成分でとくに玉露や抹茶に多く含まれ、心身のリラックスと血流改善効果による冷えの解消が期待できます。また、脳の興奮を抑える働きがあるため睡眠の質が向上したという報告もあります(※3)。
<幸せホルモン「セロトニン」を支えるトリプトファン>(※4)
トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6などと一緒にセロトニンに合成されます。セロトニンは寝つきをよくし、興奮や不快感を鎮めて精神を安定させるのに欠かせない栄養素です。
トリプトファンは大豆やかつお節、チーズ、ナッツ類に多く含まれています。
<副交感神経を活性化させるハーブ類>(※5)(※6)
ハーブの中にはジャスミンやカモミールなど、副交感神経を活性化させてリラックス効果をもたらすものもあります。そのままハーブティーとして取り入れてもいいですし、デザートやドリンクに添えてもいいでしょう。
アフタヌーンティーで楽しむムードフード
アフタヌーンティーといえば、三段のケーキスタンドのイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。もともとは、イギリスの貴族が夕食までの間、空腹に耐え切れず紅茶と一緒に間食をしたのが始まりといわれています。
伝統的には紅茶と小さなサンドイッチやケーキ、スコーンなどが用意され、色や味が薄いものから食べるのがマナーとされていました。
しかし、現代では飲み物にシャンパン、軽食やお菓子にカナッペ(クラッカーなどにチーズや野菜をのせた料理)やマカロン、和菓子などが取り入れられるなど、自由で気軽に楽しめるスタイルが人気です。
今回はムードフードを取り入れた、おうちでできるストレス解消のアフタヌーンティーレシピをご紹介します。
リラックスティー
飲み物は緑茶とジャスミンティーをブレンドしたリラックスティーがおすすめです。
ホットでもアイスでも楽しめるので、気分に合わせて淹れてみてください。テアニンとハーブのダブルの力でリラックス効果を高めます。
<作り方>
【1】ティーポットに緑茶(小さじ1)とジャスミンティー(小さじ1)、お湯(200~300ml)をいれ3~5分蒸らす
【2】ホットの場合はそのままカップに注ぐ
【3】アイスの場合は保存容器に移し、常温まで冷ましてから冷蔵庫で2時間以上冷やしてから飲む
緑茶は気軽に楽しめる煎茶でもいいですし、よりテアニンが多く含まれる玉露を選んでもいいでしょう。また、大豆から作られる豆乳をくわえるとトリプトファンも摂れ、まろやかで優しい味わいになります。
チーズとナッツのプレート
トリプトファンを豊富に含むチーズとナッツを一皿に盛った簡単プレートです。ビタミンB6が含まれるドライトマトを添えると、セロトニン合成を効率的にサポートできます。
チーズには、キャンディチーズや手でさけるタイプのチーズなど気軽に使えるものから、チェダーチーズやゴーダチーズのような酸味やコクを楽しめる種類もあるので、自分が食べて「おいしい」「癒される」と感じる好みのチーズを選びましょう。
チーズに塩分や油分が含まれているので、ナッツは素焼きや殻付きのものを選ぶと油分と塩分の過剰摂取を避けやすくなるためおすすめです。
番外編~サプリメントや健康食品の活用~
忙しい日常では、ムードフードを毎日取り入れることが難しいこともあります。そんなときに便利なのがサプリメントや健康食品です。手軽にGABAやテアニンなどの成分が摂れ、ストレスの緩和を助けてくれます。
特定保健用食品(トクホ)は国が、機能性表示食品は事業者が、表示されている効果や安全性について審査を行った商品です(※7)。商品を選ぶ際は、こういった一定の基準を満たしたものを選ぶとよいでしょう。
機能性表示食品のなかには、睡眠の質向上を謳った乳酸菌飲料や、ストレスの低減を謳ったチョコレートなどもあります。スーパーやドラッグストアで簡単に手に入るので、自分に合うものを探してみてくださいね。
ムードフードでリラックス
ストレスをナチュラルに緩和するために、ムードフードを取り入れたアフタヌーンティーを楽しんでみませんか。ムードフードのリラックス効果に加え、お茶を味わう時間そのものが疲れの解消をサポートしてくれます。特別なお金をかけなくてもアイディア次第でストレスを緩和できますよ。
<参考文献>
※1 株式会社わかさ生活「わかさの秘密」GABA
※2 株式会社わかさ生活「わかさの秘密」テアニン
※3 日本生理人類学会誌 VoL 9 No.4 2004年11 月 「アクチグラフを用いたL一テア ニ ンの睡眠改善効果の検討」
※4 株式会社わかさ生活「わかさの秘密」トリプトファン
※5 株式会社わかさ生活「わかさの秘密」ジャスミン
※6 北海道大学「カモミール茶摂取による自律神経機能と感情指標の変化 : 青年男性における検討」
※7 厚生労働省「特保(特定保健用食品)とは?」
PROFILE
あんしん漢方 管理栄養士
小原水月(おはらみづき)
管理栄養士・健康食育シニアマスター。社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善/増進の経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれるレシピを発信中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010046