ミルク授乳「飲ませる量と回数、タイミングが難しい…」赤ちゃんのサイン、見逃さないで【産婦人科医】
月齢別のミルクの量や回数の目安は、ミルク缶に書かれていますが、赤ちゃんが目安量を飲んでくれない、目安量以上に欲しがるなどうまくいかず、量・回数に迷ってしまう人も多いようです。
産婦人科医の上原萌美先生によると「ミルクを飲ませる量や回数に目安はありますが、赤ちゃんによって必要な量や1回に飲める量は異なります。赤ちゃんの様子を見ながら、調節してあげることが大切です」とのこと。0~3カ月ごろのミルクの量と回数について、基本的な考え方を教えてもらいました。
【量の考え方】ミルク缶の目安量をもとに、赤ちゃんに合わせて加減を
1日に飲ませるミルクの量が、ミルク缶の1日の目安量を超えないように飲ませることが基本です。授乳中は、赤ちゃんの様子をよく見て、途中で“休憩したいサイン”を見せたら、哺乳びんをはずし、げっぷをさせて休憩します。
「“休憩したいサイン”の例としては“手や足の指を広げる”“ミルクを口からこぼす”“哺乳びんから口を離す”などがあります。休憩したあと、それ以上飲みたがらなければ、目安量を飲みきっていなくても、おしまいにして大丈夫です。
必要なミルクの量は個人差が大きいので、ミルク缶の1日の目安量に達していなくても、赤ちゃんが元気で体重が発育曲線に沿って増えていれば問題ありません」(上原先生)
1日の目安量以上にミルクを欲しがるとき、見直すポイント
[見直しポイント1]哺乳びんの乳首を見直す
哺乳びんの乳首からミルクが出る勢いが強すぎて、早飲みになっている可能性が。乳首の素材・穴の形によってミルクの出方は変わるため、1回量を10~20分くらいで飲めるような乳首に替えてみて。
[見直しポイント2](0~2カ月ごろなら)飲ませ方を見直す
0~2カ月ごろは、吸啜反射(きゅうてつはんしゃ/口に入ったものを吸う反射)により、飲み始めると疲れるまで飲み続けます。休憩したいサインなどを参考に、飲ませる側が量を調節してあげましょう。
【ミルクの回数・タイミングの考え方】3時間間隔が基本ですが、欲しがるタイミングで飲ませてOK
ミルクは3時間間隔で飲ませるのが基本ですが、前回の授乳から3時間たつ前にミルクを欲しがることも。その際は、飲ませて問題ないと上原先生は言います。
「短い間隔でちょこちょこと少量ずつ飲むタイプの子もいます。そのため、前回から3時間空いていなくても、赤ちゃんが欲しがるタイミングで飲ませて問題ありません。ただし、そのときはミルク缶記載の1日の目安量を超えないよう、1日の中で調節しましょう」(上原先生)
赤ちゃんが泣くたびにミルクを飲ませるのはNG!
赤ちゃんが泣く理由は、さまざまです。泣くたびに毎回ミルクを飲ませて落ち着かせていると、飲ませすぎになりやすいことがあります。
「赤ちゃんの様子を見て“おなかがすいているサイン”が出ていたらミルクを飲ませるなど、赤ちゃんの様子を見て判断しましょう。おなかがすいているサインの例としては、“指をくわえる”、“口をチュパチュパ動かす”などがあります」(上原先生)
監修/上原萌美先生 イラスト/徳丸ゆう 取材・文/ひよこクラブ編集部
好きなときに好きなだけ飲ませていい母乳と違い、ミルクは飲ませる量やタイミングなどがわかりにくいもの。目安をもとに赤ちゃんの様子を見ながら判断することに慣れていきましょう。
参考/『初めてのひよこクラブ』2023年夏号特集「母乳 ミルク“こうすればうまくいく!”をALLガイド」
●記事の内容は2023年9月の情報で、現在と異なる場合があります。
『初めてのひよこクラブ』2023年冬号には、冬生まれの赤ちゃんの授乳が軌道に乗るまでの産後3カ月ごろまでを、夫婦で共有して乗りきりための基本と実践をまとめた「冬の母乳・ミルクのツライ…をラクに乗りきる!“夫婦のチーム授乳”のススメ」特集があります。