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今や、奨学金利用者は半数以上の現実。「奨学金の返済がなければ貯金に回せるのに…」「妊娠出産で収入がなくなり心配…」お金のプロがアドバイス

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アジアの母と娘のリビング ルームでリラックス
itakayuki/gettyimages

今回のテーマは子どもの学費についてです。みなさんは学生時代、奨学金制度を利用したことがありますか?
「たまひよ」アプリユーザーに聞いた実態とともに、子育て世帯のお金に強いファイナンシャルプランナーの近藤賢一さんにアドバイスをいただきました。

奨学金はありがたかったという声もあれば、使ってまで学校へ行かなくてよかったという声も…

日本学生支援機構の「学生生活調査」(2022年度)によると、奨学金受給者率は大学昼間部で55%。1990年代半ばまでの20%程度から、この30年で倍以上に増えたことに。
奨学金の返済は大学を卒業してからおよそ15~20年程度が多いといわれているので、その影響は受給者本人だけでなく、その後の結婚生活や子育て期間にも及ぶことも。そのため、シビアな問題と言えますね。
まずは、みんなの声から紹介しましょう。

Q:あなたは現在、奨学金の返済をしていますか?返済をしている場合、その金額と今の生活や今後の家族計画への影響を教えてください。

「夫のみ奨学金返済中。幸い無利子なので焦らずゆっくり返していこうと思っています」(さき)

「奨学金は借りていたが使わずに貯めていたため、一括返済した」(ぴーこ)

「出産・子育てに向けて、貯金から一括返済した」(なか)

「20代の頃に私は返済済み。独身の妹がまだ奨学金を払っているのが心配で可哀想だと思う。宝くじでも当たったら返済代わってあげたいけど…」(かなえ)

「月1万円ほど返済中。月々の負担は少ないので家計への影響はありません」(りんご)

「無事完済しました。社会人になる際、実家の父が半分を返済してくれました。残りの金額は生活を圧迫するほどのものではなかったので粛々と返済し、気づいたら完済していました。父には感謝しかないです」(まる)

「育休中に返済するのは大変」(はぴ)

「返済している。特に影響はないが、返済額分が浮くならちょっとした外食や美容関係に充てたいと思うこともある」(はるまま)

「40歳で返済完了予定。影響はない」(しろうさぎ)

「高校、専門学校のを合わせて月13000円。かなり大きな出費なので、これがなければもっとゆとりあるのに…と考えることもしばしば」(まい)

「約9000円ほど。借りたときは親の言うがままにって感じで全然わかってなかったけど、こうやって負担になるなら学校も行きたくなかったし借りたくなかったのが本音」(asa)

「月2万円弱返済しています。出産前は生活に影響はなかったのですが、これから養育費などで支出が増えたり、他に毎月支払っているものがあったりと、返済が少々ネックになるだろうと思います」(あや)

「返済しているけど、家族に負担がない程度ですんでいる。無利子の奨学金を借りていたのは本当に大きい」(かまぼこ大好きの妻)

「まだまだ返済中です。妊娠出産で収入がなくなったので、減額しながら返済を続けていますが、完済までの日がのびてしまって、なんだか悔しいです。もちろん最後まで返済しますが、奨学金の返済がなければ貯金に回せるのに…とは思います」(えり)

「昨年やっと完済したのですが、大学卒業してから約15年ほどかかりました。家計に響くので、できれば独身のうちに一括返済しておけばよかったと思いますが、在学中は本当に助かりました。
母子家庭で2つ下の妹も同じ大学に通っていたので、その頃が一番苦しかったと母は言っていましたが、学歴で苦労した母が『大学だけは使える制度がある限り絶対卒業しなさい』と背中を押してくれたので、経済的理由で進学を諦めずにすみました。
自分の子にはなるべく奨学金制度は使わずにすむようにしたいですが、経済的理由で進学を諦めさせるくらいなら、選択肢としてはありだと思います」(可憐)

奨学金の利用については親だけで考えずに子どもと一緒に

奨学金の影響については、月に返す額にもよるようですね。後から悔やむことのないように、ファイナンシャルプランナーの近藤賢一さんに、奨学金の基本や返済スタンス、我が子に奨学金制度を使うかなどについてお聞きしました。

日本の奨学金制度の特徴

「まず日本の奨学金制度は海外の奨学金とは違い、簡単に言えば金利の安い借金と考えなければなりません。
海外の奨学金は、返済不要のものがほとんど。優秀な学生への投資という考え方が強いんです。

奨学金の制度に課題があるとしたら、借りる時にその仕組みや返済のゴールまでを考えて借りるケースが少ないことだと思います。実際に返済がスタートしてから、初めてその重たさに気がつく人もたくさんいます。

僕自身も奨学金を借りて大学に通いました。30代後半でようやく完済しましたが、奨学金が返済できずに苦しい思いをしている方も少なくないと聞きます。

今後、子育てに対してどういった手当が出てくるかは不明です。ただ子どもの教育にやさしい世の中になっていくことが望ましいですね。

さて、今後の世の中においては、今までは『大学は出ておきなさい』という学歴の風土が強かったと思いますが、大学に入ることを目的にしてきた子どもが社会で苦しむことも少なくないため、その目的が問われ始めています。

グローバル企業のエントリーシートや履歴書には学歴の欄がなくなり始めました。
そしてAO入試という、テストの点数ではなく、その人自身の経験や考え方を評価する試験も増えています。学費を払ってでも、そこで学ぶ理由をしっかり考えなければいけない時代になってきたということです」

現在、借りている人はどう返すべきか

「借りているものは必ず返さないといけません。
もちろん資金的なゆとりがある方は、なるべく早く繰り上げて返済したほうがいいでしょう。

ただ社会人になって最初は、給与もまだ低く、生活に慣れるのに必死ですよね。
無理にまとめた返済をして貯金がなくなってしまうことは避けたいところです。

今後変わってくるかもしれませんが、ここで少しファイナンシャルプランナー的な視点からアドバイスしましょう。
奨学金の種類には無利息と利息のあるものがあり、利息があるものでも低い基準になっています。
安い金利でお金が借りられるという点は、実はメリットもあるんですね。

最近話題の新NISAなどの資産運用は今では通常の知識になってきました。今ある貯金から奨学金の無理な返済をするのではなく、手元にあるお金を長期的な目線で3%以上の利回りを期待できるもので運用を行い、利息以上にお金を増やすことも1つの考え方としてはアリだと思います。

低い金利でお金を借りられることで、資金的な余裕がなくても学べるというのが奨学金の最大のメリットです。借金というつらい印象だけでなく、『金利が低いから得した』という価値観もあっていいのではないでしょうか」

我が子に奨学金制度を使うか迷った時に考えたいこと

「『自分の子どもに奨学金を使うか?』という問いに対しては、僕の考え方はYESです。理由としては2つあります。
まず親も長生きの時代になっており、自分の老後資金をしっかり確保する必要があります。子どものために学費を頑張りすぎてお金が減ってしまったら、最後は介護などで子どもに大きな負担をかける可能性も…。

仮に奨学金を借りなくてよかったとしても、進学時には奨学金を借りて、手元の貯金を運用し資産を増やしておいて、最後は親が奨学金を返済するという方法も考えられます。もちろん、その時の利息にもよりますが…。

もう1つの理由は、奨学金制度を子どもへのお金の教育の機会にするという考え方です。
先でも述べたように、大学に行けば安心の世の中ではなく、いかに自ら考えて生きる力をつけるかが重要な現代。だからこそ、奨学金を借りてでも、将来のために学ぶべきかの視点を持たせることはメリットです。
小さなころからお金の管理や使い方、どんなものにお金がかかるかなどを家庭で教育することは本当に大切だと思います。

僕が子どもの金融教育に力を入れているのも、子どもに生き抜く力を高めてほしいというのが大きな理由です。

今は18歳で成人です。大学に行く段階で、大人としての選択ができるような考え方を教えていきたいですね。そして子どもがお金の知識をしっかり得ていれば、奨学金の返済との向きあい方も変わってくるかもしれません。

もちろん、家計に支障がなく、子どもの学費を払うことに問題のないご家庭については、そのままの考えで大丈夫です。
ただし、子どもに学費がどれくらいかかるのかといった情報は、しっかりと子どもに伝えましょう。

奨学金を借りる・借りないの選択は、それぞれの家庭で異なるでしょうが、その時代にあったお金の使い方で考えることが大切です」

我が子の学費に奨学金を利用することは、子どもに対して申し訳ない気持ちを持ってしまいそうでしたが、お金の専門家から見ると「アリ」という側面もあるのですね。参考になりました!
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2023年6月の情報で、現在と異なる場合があります。

近藤賢一さん

近藤賢一さん

PROFILE)
ファイナンシャルプランナー、子育て世帯専門のファイナンシャルプランナー事務所RAC代表。関わるすべての子育て世帯が、知らないことで損をしないために難しいお金の話をわかりやすくワクワク伝えることがモットー。年間100世帯以上の子育て世帯の家計相談や資産運用、住宅購入など、ありとあらゆるお金の相談に対応。毎日配信される公式LINEは「無料で気軽にお金や制度、経済の情報を得ることができる!」と大好評。大人だけでなく子どもの金銭教育にも力を入れ、お金の大切さやお金の稼ぎ方を伝えるオンラインスクールも開講中。

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