食洗器NGなの!? 普段、包丁のお手入れをしていますか?【正しい包丁の研ぎ方の基本】
調理道具の中でも出番が多いのが包丁です。どれくらいの頻度で包丁の手入れしているか「たまひよ」アプリユーザーにアンケート調査するとともに、正しい包丁の研ぎ方について、東京・合羽橋のかまた刃研社代表取締役・鎌田晴一さんのアドバイスをお届けします。
包丁の手入れの頻度は?その理由を聞いてみたら…
まずみんなのアンケート結果と、包丁のお手入れの実情について聞いてみました。
Q:日頃から包丁のお手入れをしています?
定期的にしている 49%
したことはない 35%
その他 16%
◾️切れ味が悪くならないように
「切れ味が悪いとトマトスライスや千切りキャベツがやりにくいし、危ないので定期的に研いでいます」(かず)
◾️研師は父
「半年に一度くらいですが、実家へ帰省するタイミングで包丁を持ち帰り父に研いでもらっています」(ゆきなな)
◾️刃がかけた
「本当は研いだほうがよいとわかっていますが、百均の包丁研ぎで刃が欠けてしまったことがあるので、それ以上何もできていません」(さのさの)
◾️切れないとモヤモヤする
「飲食店のキッチンで働いていたため、当時の癖で切りにくくなったら、モヤモヤするので定期的に研いでいます」(なーさん)
◾️なかなかできない
「結婚祝いでいただいた包丁が結構いいものなので丁寧に使いたい気持ちはあるものの、小さい娘がいるので砥石を出したりする時間がなかなか持てません」(りんりんらんらん)
◾️1回だけ
「定期的に、と言える程まだ長期間保有しているわけではないので、1回しか研いでもらったことはありません。切れ味が悪くなったら、というイメージなので、今後の手入れについては、定期的というよりは不定期での手入れになりそう」(ひとみん)
◾️どのタイミングで研ぐの?
「大切に扱いたいと思うのですが砥石がなく、どのようにしたらいいか、どのレベルに包丁がなったら研いだらいいのかわかりません」(あっちょ)
荒砥石と中砥石を使うのが、短時間で包丁を研ぐコツです
ここでは、家庭でできる包丁のお手入れの基本をかまた刃研社の鎌田晴一さんに教えてもらいました。
「包丁を研ぐ時は、ご家庭ではシャープナーを使っている人が多いと思います。中には優秀なものもありますが、シャープナーは包丁の刃を鈍角に削るので、かえって刃の部分が厚くなり、切れ味が悪くなる原因になることもがあります。
シャープナーは、砥石で包丁を研ぐ、もしくは包丁専門店に研ぎを出すまでのつなぎとして使うのがおすすめです。上手な専門店で研ぐと長持ちするので、ご家庭で研ぐのが難しい場合は、専門店にお願いするのも一つの方法です。
ご家庭で包丁を研ぐ時は、荒砥石と中砥石を準備しておくといいですね。中砥石だけだと、時間もかかりきちんと削れているかわかりにくいからです。
まず荒砥石で研ぎ始めてバリが出たら、中砥石で整え、仕上げに新聞紙で擦りつけて仕上げます。包丁の状態によりますが、普段からお手入れをしていれば10分ほどで研ぐことができます。
包丁を長持ちさせるために大切なことは、包丁の使用後は、水分を拭き取って乾燥させることです。ステンレス鋼でも塩分や酸が付着したままでは変色や錆の原因になりますので、よく洗い流して乾いたタオルで拭き取ります。
食洗機は高温で乾燥するため包丁の柄の部分が壊れやすくなりますし、食洗機の洗剤に含まれる研磨剤は刃を傷める原因になるので、食洗機は使用しないようにしましょう。
今回、基本的な研ぎ方を紹介しますので挑戦してみてください」(鎌田晴一さん)
<家庭でできる包丁の研ぎ方の基本>
<1>荒砥石と中砥石(写真は荒砥石と中砥石の両面砥石)を準備します。事前に5分以上砥石に水を吸わせておきます。キッチンなどで研ぐ場合は、砥石を安定させるために濡れたタオルやふきんをしきます。
<2>家庭で使用する三徳包丁や小型の牛刀であれば、峰(刃と反対の方)と砥石の間にコインが1、2枚入る程度の角度を維持して刃を削ります。その際に前後に動かす包丁を斜めに構えると、角度がぶれにくく鋭く研げます。
<3>18㎝ほどの長さの包丁であれば、片面4、5ヶ所くらいに研ぐ位置を分けて、1ヶ所10往復を目安に研ぎます。この作業を反対側と交互に行います。削りはじめると、砥石から研ぎ汁が出てきますが、研ぎをサポートするものなので洗い流さないでそのままに。
<4>反対側を持ち替えて同様に研ぐのは、利き手ではないので難しいため、裏返して最初は直角に構えて研ぎ、少しずつ斜めに構えていきましょう。反対側も同様に、研ぐ位置を変えながら研いでいきます。途中、砥石が乾いてきたら少しずつ水をたらして水分を砥石に含ませます。
<5>両面を交互に研ぐうちに、削った面と反対側のエッジにバリが感じられるようになるのですが、これが荒砥石の作業終了のサインです。刃の側面に指で触れると、ザラっとした感触がありますが、これがバリです。刃全体にバリが出ていることを確認します。
<6>次に、水を吸わせた中砥石で、荒砥石の時と同様に、1ヶ所10往復を全体に3セット、反対側を同様に3セット研ぎます。
<7>最後に新聞紙などのざらつきのある紙に、包丁を45〜60度くらいに立てて峰から滑らすように擦り付け、刃の側面のバリを落とします。反対側は、手で新聞紙を押さえて同様に擦り付けて、バリを落として完了です。
取材後、荒砥石を購入し家で実際に研いでみると、中砥石だけでは分からなかったバリを感じられるように。これから荒砥石と中砥石で手入れしてきます!
(取材・文/酒井範子、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年7月の情報で、現在と異なる場合があります。
鎌田晴一さん
PROFILE)
代表取締役。1923年創業の包丁研ぎの老舗。同店では、包丁の研ぎ直しのほか、包丁の販売も行っており、さらに一般向けに包丁研ぎ教室を開催。教室は基礎編と応用編がある。基礎編を学ぶだけで、切れ味が変わる包丁が研ぐことができると評判に。国内だけでなく、海外の観光客も多く訪れる人気の包丁専門店。