薬が食物アレルギーを引き起こす!?注意すべき薬の種類を薬剤師が解説
食物アレルギーがある人は、普段から食事に気をつけていることでしょう。しかし、実は、薬によっても食物アレルギーが起こることがあると知らないママやパパも多いのではないでしょうか?
今回は、薬が食物アレルギーを起こす理由や、注意すべき食物アレルギーや薬剤、市販薬を購入するときの注意点を薬剤師がご紹介します。
薬が食物アレルギーを引き起こす理由
食物アレルギーは、ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後に、主に食べ物に含まれるタンパク質が原因でアレルギー反応があらわれる疾患です。
食物アレルギーがある場合、普段の食事で摂取しないよう気をつけていると思いますが、実は、気をつけるべきは食事だけではありません。薬の原材料に食物由来のアレルギー原因物質(アレルゲン)が含まれていることがあります。
薬にアレルゲンが含まれていることに気づかず服用してしまうと、食物アレルギーが起こることがあるのです。
注意すべき食物アレルギー
食物アレルギーを引き起こす食物のうち、薬に含まれている可能性がある代表的なものは牛乳、卵、ゼラチンです。これらの食物由来の成分が、薬の原料や添加剤、またはカプセルの原料などに使われていることがあります。(※1)
牛乳、卵、ゼラチンの成分が含まれている薬のなかには、食物アレルギーがある患者に対しては禁忌と明記されている医薬品もあります。食物アレルギーがある人は、病院で処方箋をもらう際には、必ず医師に伝えましょう。
食物アレルギー別の注意すべき薬剤
食物アレルギーの種類によって、注意すべき薬剤が異なります。ここでは、2種類の薬剤について食物アレルギーとの関連を解説します。
インフルエンザワクチン
卵アレルギーの人は、インフルエンザワクチンに注意が必要です。インフルエンザワクチンは、鶏卵で培養して製造されるため、鶏卵の成分が完全に除去されず、とても微量ではありますが含まれています。
ほとんどの場合、卵アレルギーがあってもワクチン接種は問題ないとされていますが、卵によるアナフィラキシーショックの病歴がある場合は注意が必要です。事前に病院で相談することをおすすめします。(※2)
乳糖・カゼインを含む薬
乳糖とは、人間や牛など哺乳類の乳だけに含まれている糖のことです。乳糖は、散剤の調合やカプセル、錠剤などの各種薬剤に添付されていることの多い成分です。
禁忌薬ではないケースもありますが、乳糖不耐症の人は注意しましょう。
カゼインは薬の添加物として使われる成分です。カゼインは牛乳に含まれるタンパク質のため、牛乳アレルギーがある場合は禁忌薬となっています。(※3)
市販薬を買う際の注意点
食物アレルギーがある人が市販薬を買う場合には、アレルゲンが含まれていないか必ず確認しましょう。
自分で判断するのが不安な場合には、薬剤師に相談するのがおすすめです。 アレルゲンの有無だけでなく、ほかに服用している薬があれば、飲み合わせも確認してくれますよ。
薬を服用するときにも食物アレルギーに注意しよう
食物アレルギーの人は、食事だけでなく薬にも注意する必要があります。食物由来の原材料が使用されていることがあり、気づかず服用してしまうとアレルギー症状を起こしてしまう可能性があるためです。
服用する前に、医師や薬剤師に確認するのがおすすめです。安全に薬を服用してくださいね。
<参考文献>
※1 鹿児島市医報第52巻第10号「食物アレルギー患者に対して投与禁忌の薬」
※2 アレルギーポータル「鶏卵アレルギーですが、予防接種は受けてよいですか?」
※3 公益社団法人福岡県薬剤師会「牛乳アレルギー患者に禁忌の薬剤」
PROFILE
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010095