「保育園に持っていくおむつは毎日30枚!」共働きをしながらの3つ子育児。苦労は3倍だけど、それ以上の幸せも【多胎の育児体験談】
佳奈さんは2022年の2月に3卵性の3つ子(長女・なぎちゃん、長男・りくくん、ニ男・あおくん)を出産したママ。現在は会社員として勤めながら、子どもたちとパパの5人+愛犬1匹で都内暮らしをしています。子どもたちの誕生後、2歳になるまで育休を取得し、今年の春に仕事復帰を果たした佳奈さん。育児と家事と仕事で毎日バタバタの日を送っているそうで…。全2回のインタビューの後編では、3つ子の誕生直後から保活、現在の両立生活に至るまでのお話を詳しくお聞きしました。
生まれてから2カ月間、NICUとGCUで入院
――インタビュー前編では佳奈さんに3つ子ちゃんを妊娠してから出産までのお話を詳しく聞きました。今回は産後の育児について教えてください。
佳奈さん(以下敬称略) 3つ子の誕生後は、新生児期をNICU、途中からGCUに移動して過ごしました。そのため、数時間おきに搾乳した母乳を冷凍して、毎日の面会時に届けるのが日課でしたね。退院を迎えたのは、2カ月後。3人同時に退院できたのですが、私と母と夫のお義母さんとが、1人ずつ抱っこして、病院をゾロゾロと並んで歩く姿は、通常と異なる、不思議な光景だったと思います(笑)。
退院後は、2週間ほど母が手伝いに来てくれて、家事と育児のサポートをしてくれました。母は夕食後、近くに取ったホテルに戻るのですが、そこから夫が仕事から帰宅するまで1〜3時間、私1人になったときはとても心細くて…。3つ子たちが同時に泣くと、毎回すごく焦っていました。
夜は夫と協力して夫婦で対応していましたね。当時は寝不足が本当にきつかった!3つ子を2〜3時間おきに授乳するのはとにかく大変で、ふらふらになりながらもなんとかしていました。
産後ドゥーラや多胎児用のベビーシッターサービスを利用!
――当時、ご実家以外でサポートをお願いすることはありましたか?
佳奈 実母が帰ってからは、義理の母も週1、沐浴(もくよく)のサポートとおかずを持って来てくれていました。ほかにも産後ドゥーラ※さんにお世話になりましたよ。ドゥーラさんは固定の方が週に2回来てくださり、掃除・洗濯や食材などの買い出し、料理などの家事や、育児のサポートなど、かなりお世話になりました。ほかにも多胎児家庭専用のベビーシッターさんがいて。お願いしていましたね。
※産後ドゥーラ:家事や育児など産後のママに寄り添ってサポートしてくれる専門家
――多胎児家庭専用のシッターさんがいらっしゃるんですね。
佳奈 はい。通常のシッターさんだと1人あたり1人しか見られません。だから、3つ子を見てもらおうとすると、シッターさんも3人必要になります。私と3つ子以外に大人が3人もいると、部屋がパンクしてしまいます。多胎児家庭専用のシッターさんだと、私との共同保育であれば、全員見てくださるので、とても助かりました。
――そういった手の数の多さが3つ子育児にはやはり必要ですよね。
佳奈 そうですね。当時、平日の昼間は夫が仕事に出ているので、私1人で見ることが多かったんですね。そうしたときに産後ドゥーラさんやシッターさんがいると、家事や育児のサポートもしてもらえるし、話も聞いてもらえるしで、とてもありがたい存在でした。もちろん、お金はかかるのですが、自治体の支援でだいぶカバーができたので、助かりました。
2歳から保育園に。保活は0歳からスタート!
――佳奈さんは現在、仕事復帰されているとのことですが、保活のお話を聞かせてください。
佳奈さん 保育園に入ったのは2歳からですが、保活自体は0歳から始めました。役所に相談に行って、事情を話したのですが「結局は点数なので、3つ子だからといって、特別扱いはできません。兄弟加点はありますけど、3つ子加点はないので」と担当者に説明されたのです。
そもそも2歳から入るので、空いている枠がかなり限られていました。そのため、第1希望としては3人同時に入れるところをと考え、3人以上の枠が空いているところを片っ端から見学していましたが、最悪バラバラでも園同士が近ければいいかと思っていましたね。見学は最終的に10カ所くらい訪ねました。
ただ、実は3つ子の入園した2024年度4月から、住んでいる自治体の多胎加点ができたんです。これは本当にラッキーでした!おかげで3人同時に同じ園に通うことができました。
――それはよかったですね!
佳奈 はい。最初に行ったときは「点数だから!平等だから!」の一点張りで、ガーンとなりましたが…。自治体も考えてくれたのかな?あるとき、また相談に行ったら「来年度から加点がつきますよ」と教えてくれて!おかげで保活に対してがぜん、やる気が湧きました(笑)。
――枠があるか以外に保活ではどんなところをチェックしましたか?
佳奈 持っていく荷物の多い・少ないは必ず確認しました。3人いると、荷物の量もばかになりません。布団を持って行くのか、コットで寝るからタオルだけなのかでも全然違います。
――最近は園によって紙おむつのサブスクを導入しているケースもありますが、利用していますか?
佳奈 紙おむつは持って行っていますね。毎日1人10枚なので、1日あたり30枚です!
――30枚となると、名前を書いたり、お名前スタンプを押したりするのだけでも大変そう!
佳奈 大変です(笑)。あと、荷物のこと以外にもベビーカーを預けることができるかも聞きましたね。都内で場所が狭いせいか、中には1歳までしか預けられないみたいなところもあったんです。だけど、わが家は3歳までは使うつもり。大きいベビーカーを持って出社するわけにはいきませんから。中には「本当は1歳までだけど、事情があるなら大丈夫ですよ」と言ってくださる園もあって、そういう園は候補対象になりました。
「お母さんはみんな頑張ってる!」と伝えたい
――保育園入園後は3つ子ちゃんの体調不良にも見舞われたのでは?
佳奈 はい。育休の間はありがたいことに3つ子が体調不良になることはほとんどなかったのですが、慣らし保育が始まってすぐに鼻水が出始めて、発熱してお休みしていました。ちゃんと全員で慣らし保育に行けたのはトータルで3日くらい。さらに、仕事復帰日初日にお迎え要請、2日目に早速有休を使いました。結果、そのときは次々とRSウイルスにかかることに。夫、私まで体調不良になってしまいました。今も3つ子が3人そろって感染することはほぼないのですが、1人が感染症にかかると、次々にかかっていくので、看病する期間が長いですね。
――共働きをしながら夫婦2人で3つ子を育てていくのは、本当に大変ですよね。
佳奈 そうですね。たとえば、朝の登園だけでも1人着替えた子が保育園に行く気満々なのに、1人は行きたくないと着替えようともしなくて。行きたくない子はグズグズするし、行きたい子はなんで行けないんだとこれまたグズグズし出して…。毎朝、カオスです(苦笑)。
正直、育児も仕事も時間がたりません。復帰してから育児を含むプライベートと仕事の切り替えはしっかりできるようにはなりましたが、仕事もここまで、 育児もここまでと、やりきれないところが出てきて、モヤモヤすることはどうしてもありますね。
――お話を聞いていると、本当によく頑張っているなと感じます。
佳奈 確かに同じお子さんのいるお母さんから「すごく頑張っているよね」と言葉をかけてもらうことが多いです。その言葉はうれしいし、もちろんとても頑張ってはいるんですが…。同時に私だけが特別頑張っているわけではないなと感じるんです。
だって、世の中のお母さんって、すっごく努力していますよね。それなのに認めてもらう機会がまだまだ少なくありませんか?だから、私をほめてくれたお母さんにも言いたいです。「あなたも十分に頑張っていますよ!」って。
大変さは3倍。だけど、幸せは3倍以上!
――最後に3つ子育児をしていてよかったことを教えてください。
佳奈 3人いることで我慢させることも制限も多いですし、大変さは3倍なんですけど…。やっぱり幸せも3倍、いやそれ以上かもと思うんです。街中で目立つので応援してもらう機会もよくありますしね。あと、3人いるととにかくにぎやか!友だちのように毎日仲良く遊んでいて、みんなそれぞれほかの2人をすごく気にしているんです。
週末に私が2人連れて、夫が1人連れて…みたいなときがあったのですが、合流したときに互いの名前を呼び合いながら、3人で集まってぎゅーっとしていました。そんな姿を見ると、本当にかわいくて、3人でよかったなと思いますね。
お話・写真提供/佳奈さん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
インスタでは3つ子を育てていても疲れをいっさい感じさせず、まるで完璧のように見える佳奈さん。ただ、やはりその裏では苦労も本人の葛藤もたくさんあるのだと感じさせられたインタビューの後編でした。
「私だけじゃない!お母さんはみんな頑張っている!」という佳奈さんの言葉。とても勇気づけられるメッセージですね!
「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。
佳奈さん(かな)
2022年2月生まれの3つ子ちゃん(長女、長男、ニ男)のママ。都内在住。2024年4月、子どもたちが2歳のときに仕事に復帰。3つ子ちゃんは現在、3人同じ保育園に通園している。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2024年9月現在のものです。