不調の原因は寒暖差?寒暖差疲労の特徴や対策を解説
暑さも落ち着き過ごしやすい季節になりました。せっかくの行楽日和なのに、いつも季節の変わり目に体調を崩してしまう人はいませんか? その不調の原因は寒暖差疲労によるものかもしれません。今回は寒暖差疲労に負けないからだを目指せるよう、寒暖差疲労の特徴や対策方法を紹介します。
寒暖差疲労の原因
寒暖差疲労とは、気温差によって自律神経が乱れることで引き起こされる心身の不調のことです。
自律神経とは、呼吸や血液の循環、内臓の働きなど、生命活動を維持するために自律的に働く神経です。体温調節機能も自律神経の働きのひとつであり、気温にかかわらずからだの体温を一定に保つ働きがあります。気温が低いときは血流を滞らせて毛穴を閉じることでからだの熱を閉じ込め、気温が高いときには血流をよくして毛穴を開くことで発汗を促します。
気温に大きな変化がなければ問題なく対応できても、寒暖差が激しくなると気温の変化にからだが対応しきれなくなり、自律神経に負担がかかることでさまざまな不調を引き起こしてしまうのです。そのため、寒暖差疲労は天候が変わりやすい季節の変わり目や、日中と朝晩の気温差が激しい時期に起こりやすくなります。
寒暖差疲労の症状
寒暖差に対応するために、からだはたくさんのエネルギーを使っています。加えて、秋は朝晩の冷え込みによりからだも冷えやすい状態です。からだの疲れや冷えにより、倦怠感、だるさ、頭痛、肩こりなどの身体的症状が出ることがあります。
また、自律神経の乱れは精神的不調の原因にもなり、イライラ、不安感、気分の落ち込みなどの症状が出ることもあります。
寒暖差疲労の対策
気温差に負けず、心身ともに健康で生活したいですよね。自宅で簡単にできる対策を紹介するので、できるものから取り入れてみてください。
からだを温める
寒暖差疲労によるからだの冷えは、心身の不調を悪化させる原因となります。そのため、寒暖差疲労対策ではからだを温めることが大切です。
首や肩の周りは冷えやすいため、マフラーやカイロなどを使い、冷やさないようにしましょう。お風呂に入る際には、38〜40度のお湯に10〜15分程度を目安につかり、からだを温めるのも効果的です。
また、冷たい食べ物や飲み物はからだを冷やしてしまうためNGです。温かいものか常温のものを選ぶようにしてくださいね。
適度に運動する
適度な運動も寒暖差疲労対策のひとつです。
運動で筋肉を動かすことで熱が生み出されるとともに血行が促進されるため、からだを温める効果が見込めます。また、運動をして筋肉の緊張を緩めることで、副交感神経を優位にする効果も期待できます。
室内でできる軽い筋肉トレーニングやストレッチ、20分程度のウォーキングなど強度の低いものでOKです。続けることが大切なので、無理のない範囲で始めてみましょう。
睡眠の質を高める
自律神経を整えるには、質のよい睡眠をとることも大切です。睡眠の質を高めることで、自律神経を整え、心身の疲労の回復につながります。(※1)
睡眠の質を高めるには、交感神経の刺激は最小限に抑えるのがポイントです。強い光は交感神経を刺激するため、夕方以降は照明の明かりを落とし、就寝前のスマホの使用を控えましょう。
また、副交感神経を優位にしてからだをリラックスさせ、睡眠を促すことも大切です。リラックス状態にするには、入浴やストレッチ、アロマなどが効果的です。
もう寒暖差は怖くない
寒暖差疲労は、気温差により自律神経が乱れることで引き起こされる不調です。規則正しい生活を心がけ、からだを冷やさないようにすることで、予防・緩和・改善が期待できます。寒暖差疲労は、気温の変化に負けないようからだが頑張っている証拠でもあります。この機会に生活習慣を見直し、自分のからだを労わってあげてくださいね。
<参考文献>
PROFILE
医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。