YouTuber・関根りさ、皮膚の難病と闘った長男は2年7カ月でお空に。「息子と会ったからこそ、始まりがある」【接合部型表皮水疱症】
人気YouTuber・関根りささんは、夫で元YouTuberのジョージさんとの長男が、指定難病の接合部型表皮水疱症で亡くなったことを自身のYouTubeチャンネルで2024年12月に報告しました。長男が空へ旅立つ前には家族でテーマパークへ遊びに行くこともできたのだとか。長男との思い出やこれからのことについて、りささんに話を聞きました。全3回のインタビューの最終回です。
キラキラが好きな息子にパレードを見せたかった
――家族でディズニーランドへ遊びに行った様子をYouTubeで配信していました。どんな準備をしましたか?
りささん(以下敬称略) あるとき、息子とディズニーに行こう!と思い立って2週間くらいかけて、チケットやホテルの予約など外泊の準備をしました。ジョージと一緒に事前に下見に行って、どこにAEDがあるか、おむつを替えるときにどんなスペースがあるかなどチェックしました。息子はキラキラしたものが好きだったので、エレクトリカルパレードを見せてあげたい、というのがいちばんの目的でした。
――息子さんはどんな様子でしたか?
りさ 喜んでいるっていうより、興味津々って感じでした。パレードのフロートなどをじっと見つめて「なにこのでっかいの!」ってびっくりしたような表情でした。息子の瞳にキラキラなフロートが映っていたのが、いちばん記憶に残っている光景です。いつか子どもとディズニーに行くのは私の夢でもあったので、夢がかないました。
息子の病院の主治医や看護師さんたちも一緒に来てくれてサポートしてくださり、とてもいい経験になりました。
――ディズニーランドへ行った少し後、息子さんが空へ旅立たれました。お別れのときのことを教えていただけますか。
りさ ある日突然、ということでもなかったんです。ずっとよくない状態が続いて、いつどうなってもおかしくはないということはわかっていたことでした。「また明日来るね」と病室を後にした数時間後、息子は2年7カ月で人生を終えました。
おそらく敗血症だったのでしょう。息子の体は全身に傷があったので、そこから感染して血管内に菌が入り、全身に炎症が広がってしまう、ということだったんだと思います。息子の皮膚は少しの刺激で水疱ができたりただれてしまうので、皮膚のバリア機能がなかなか戻らないんです。抗生剤を投与しても、皮膚のバリアがないところからまた別の菌に感染して、という繰り返し。薬もだんだん効かなくなって、使える薬も減っていきました。主治医は、ありとあらゆる薬を使ってくれたと思います。いろんな薬を取り寄せてくれたり、投与のしかたを変えてくれたり、子どもに使うのは初めてのものも試してくれたりしました。
息子の病気を通して、人間の皮膚はこんなにも私たちの体を守る役割をしてくれていたんだ、と初めて強く実感しました。
息子との日々は終わってしまったけれど・・・
――息子さんが亡くなったことを「終わりと始まり。」というタイトルの動画で公表しました。タイトルにこめた思いを教えてください。
りさ 私たち3人家族が一緒に過ごした日々の終わり、です。毎日息子の病院で3〜4時間を過ごしていたスケジュールもなくなりました。いったん終わったんだなという、区切りのような感じです。
そして、息子がいない生活が始まった、ということと、これから表皮水疱症の認知のための活動を始めるという意味もこめました。息子との日々がただ終わるだけじゃなくて、息子がいてくれたからこそ、これから始まることもあると思ったので、あのタイトルになりました。
――表皮水疱症の認知や治療のために、どんなことが必要だと考えますか?
りさ たくさんの人に関心を持ってもらうことももちろんなんですけど、研究って圧倒的にお金が必要です。1つの薬を生み出すまでに、とてつもないお金がかかるんですよね。どんなに有意義なものだとしても、研究を続けるお金がなかったら新薬は作れないんです。とくに表皮水疱症のような希少疾患は患者数が少なく、市場が小さいからなかなか開発が進まない現状があると知りました。
だから、研究を続けてくれる人たちに寄付をして、研究がストップしないようにしたいと思っているんです。いろいろ調べていたら海外では希少疾患の治療薬開発にセレブリティの方々からの寄付などがとっても多いと知りました。日本でもセレブリティじゃなくてももっと寄付の文化が広がるといいのにな、とも感じています。
ハワイでアクセサリーショップをオープン
――ハワイで始めたアクセサリーのお店の売り上げを寄付することにしているそうです。
りさ 私たち夫婦がハワイで事業を始めたきっかけは、息子に先進医療を受けさせたかったからです。日本だと新薬の承認プロセスにすごく時間がかかります。息子の病状が一刻を争う中で、それを待っていられませんでした。アメリカなら先進医療を受けさせる手段があるんじゃないかと考えたんです。
ビザがないと3カ月しか滞在できませんが、アメリカで息子の治療をするなら3カ月以上の滞在が必要になるはず。それならアメリカで会社を経営してビザを取得すれば、息子にすぐ治療を受けさせてあげられると考えたんです。
2024年の初めごろに店を買い取って、改装して、と準備を進めました。そして2025年3月、体験型アクセサリーショップをオープンしました。お客さまには大切な想いや願いを込めて、自分だけの特別なアクセサリーを作る体験を楽しんでほしいと思っています。
そのお店の売り上げの一部を表皮水疱症の研究費用に寄付し、開発を支援していくつもりです。
――りささん自身の発信を通して、多くの人にどんなことを知ってほしいですか。
りさ 息子は見た目にわかりやすい病気だったけど、普通に暮らしているように見える人でも、実は家族に難病のある人がいたり、見た目には判断できないけれど大変な病気や障害を持っている人もいます。みなさんそれぞれ事情をもって生きている、そのことを理解し合える社会になったらいいな、と思っています。
【ジョージさんより】ハワイでのビジネスを始めたきっかけは息子
2025年3月10日にハワイ・ワイキキで「Leona and Company」をオープンしました。きっかけは表皮水疱症がある息子に先進医療を受けさせたいということでしたが、僕自身アメリカに住んでいたこともあり、大好きなハワイでビジネスに挑戦したい思いもありました。売り上げの一部は希少疾患、とくに表皮水疱症の研究機関に寄付しています。
息子のような希少疾患がある人、遺伝子異常の病気がある人が治療を受け、生きていくためには、やはり治療できるようになることが必要だと思うので、僕たちはまずは研究機関に寄付をして新薬などの開発支援をしていきたいと考えています。
お話・写真提供/関根りささん、ジョージさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
息子さんの闘病を通し、たくさんの論文や医療的な文献を読んで「かなり遺伝子には詳しくなった」というりささんとジョージさん。息子さんと過ごした日々で得た経験を次につなげるため、寄付という形で治療薬の開発支援をしたい、と話しています。
「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。
関根りささん
PROFILE
1989年生まれ、神奈川県出身。看護師として働きながらYouTubeチャンネルを開設。その後専業YouTuberとして活躍。チャンネル登録者数は約127万人。2020年10月に元YouTuberのジョージとの結婚を発表。2022年3月長男を出産。YouTubeでは自身のチャンネル「SekineRisa」のほか、「軍曹と歩兵」では家族の様子も発信している。
Leona and Company
2025年3月オープン。好みの天然石やチャームを選び、日本語OKのスタッフと一緒に、約1時間で自分だけのブレスレットやストラップを作れるアクセサリーショップ。
住所:307 Lewers St.ワツムルビル2階
営業時間:12時~15時(完全予約制)・日曜定休
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。