「頭痛、胃もたれ、倦怠感…」冬の体調不良はかくれ脱水に要注意!
脱水症状と聞くと暑い夏を想像しがちですが、じつは冬も脱水症になりやすい季節です。風邪ではないけれどなんとなく体調が悪い日が続いているのは、かくれ脱水が原因かもしれません。今回は、かくれ脱水の症状や対策を解説します。
かくれ脱水とは?
かくれ脱水とは、無自覚のうちに起こる脱水症状のことを指します。おもな症状には、頭痛、胃もたれ、倦怠感、足のつり、むくみなどがあります。
人間のからだは約60%が水分でできていますが、呼吸、発汗、排尿などにより、毎日約2~2.5Lの水分が体外へ排出されます。さらに、皮膚からの水分蒸発も水分不足を招く要因のひとつです。冬は空気が乾燥しているため、皮膚からの水分蒸発が起きやすくなります。
また、夏は暑さにより発汗やのどの渇きを感じやすいため、こまめに水分補給を心がけている人は多いでしょう。一方、冬は夏に比べてのどの渇きなどを感じにくく、水分補給の頻度が減りがちです。加えて、暖房機器によりさらに空気が乾燥し、水分不足に陥りやすい状態が整っています。
そのため、気づかぬうちに体内の水分が少なくなり、脱水症状になってしまうのです。(※1)
かくれ脱水のサイン
かくれ脱水は、その名の通り気づかないうちに進行します。深刻化する前に、早めに対処しておきたいですよね。
以下の自覚症状がある人は、かくれ脱水に陥っている可能性があります。(※2)
・のど・口が乾く
・短期間で体重が減る
・尿の色が濃い
・風邪ではないのに37℃前後の微熱が続く
上記のサインに当てはまる場合は、かくれ脱水を疑い、できるだけ早めに水分補給などの対策をしましょう。
かくれ脱水の対策方法
かくれ脱水の対策は水分補給と乾燥対策です。具体的な対策方法を紹介するので、意識的に生活に取り入れましょう。
こまめに水分補給をする
かくれ脱水対策の基本は水分補給です。一般的に、1日あたり2.5Lの水分を摂取することが望ましいとされています。(※3)このうち、食材に含まれる水分や汁物料理など、食事から摂取できる水分量は約1L、体内で栄養素が代謝される際につくられる代謝水が約0.3Lです。残りの約1.2Lをこまめに水を飲むことで補給しましょう。(※3)
とくに、寒い季節はのどが乾きにくく、水分補給を忘れがちのため、1日のなかで水を飲むタイミングを決めておくのがおすすめです。朝起きてすぐ、仕事や家事の合間、運動などの前後、入浴前後、寝る前など、のどが渇く前の水分補給を意識しましょう。(※1)
室内を加湿する
乾燥対策もかくれ脱水に有効な対策です。部屋を乾燥させないよう、加湿器を入れて適切な湿度を保ちましょう。部屋の湿度は50~60%になるようにしてください。加湿器がない場合は、洗濯物や濡れたタオルを干すことでも代用できます。(※2)
また、エアコンの代わりに石油ストーブやガスストーブを使うのもおすすめです。石油ストーブやガスストーブは、燃焼によって空気を温めるときに水蒸気を出すため、部屋の水分量をあげることができます。
なお、石油ストーブやガスストーブは長時間使用すると一酸化炭素中毒を起こすおそれがあるため、定期的な換気が必要です。ストーブの周りに燃えやすいものを置かないなどの火災対策も行いましょう。
からだに十分な水分を
かくれ脱水は、寒い季節に起こりやすい無自覚の脱水症状です。冬は乾燥によってからだの水分が失われやすいだけではなく、季節がら水分補給の頻度が減ってしまうことから、気づかないうちに水分不足に陥りがちです。最近体調が優れないという人は、かくれ脱水のサインがでていないか確認し、今日から水分補給と乾燥対策を実践しましょう。
<参考文献>
※1 甲南女子大学「水分補給、秋・冬こそ注意! ~その不調、「かくれ脱水」かも!?~ 」
※2 就実大学薬学部附属薬局「夏場だけとは限らない!冬の水分補給に気をつけよう」
※3 厚生労働省「健康のため水を飲もう講座」
PROFILE
医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。