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低出生体重児、早産児の予防接種と定期健診のQ&A【医師監修】

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GeorgeRudy/gettyimages

低出生体重児、早産児は感染によって体調が悪化しやすいため、修正月齢ではなく実際の月齢をもとに接種時期に達したら、速やかに予防接種を受けます。また、NICUのあるフォローアップ外来以外で定期健診を受けることは、かかりつけ医にお子さんのことを知ってもらう機会にもなります。ここでは、予防接種はいつから受けたらいいのか? また自治体の定期健診はどう受けたらいいのか・・・など、小さい赤ちゃんならではのママやパパの疑問に答えていきます。

低出生体重児、早産児の予防接種の気がかりQ&A

naumoid/gettyimages

どんな予防接種をいつごろどう受けたらいいのかなどの気がかりについて、先生に聞きました。

Q 予防接種を受けても大丈夫でしょうか?

A 小さく生まれた赤ちゃんの親御さんが大変気にするのが予防接種です。早めに受けたほうがいいといわれるけれど、こんなに小さくて大丈夫なの?という不安もあるでしょう。しかし、小さく生まれた子はいったん感染すると重症化しやすいこともありますので、修正月齢ではなく実際の月齢をもとに接種時期が来たら必要なワクチンを接種することが重要です。体が小さくても遅らせる必要はありません。
ヒブや小児用肺炎球菌は、重篤な状態となる細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)を引き起こし、百日せきは小さな赤ちゃんがかかると重症になりやすいもの。ヒブも小児用肺炎球菌ワクチンも、四種混合(DPT-IPV)ワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチンも実際の月齢で接種してください。1才になったらMRワクチン、水痘ワクチン、ムンプス(おたふくかぜ)ワクチンも受けましょう。

Q いつ受けたらいいかわかりません。

A 予防接種を受ける年齢は、修正月齢ではなく、暦年齢(生まれた日から数えた月齢)です。1000g未満で生まれた子どもも2カ月になったら受けられ、体重が少なくても大丈夫です。フォローアップを受けている病院でよく相談してください。

Q どんな種類を受けるのでしょうか?

A ★定期接種(原則無料)
<2カ月に接種するもの>
・ヒブ:インフルエンザ菌b型による細菌性髄膜炎などを防ぐ
・小児用肺炎球菌(PCV13):肺炎球菌による細菌性髄膜炎などを防ぐ
・B型肝炎:B型肝炎を防ぐ
・ロタウイルス:ロタウイルスによる胃腸炎を防ぐ
・四種混合Ⅰ期(DPT-IPV):百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ(小児まひ)を防ぐ
<5カ月以降に接種するもの>
・BCG:乳児結核を防ぐ
<1才以降に接種するもの>
・MRⅠ期:麻疹(はしか)、風疹を防ぐ
・水痘:水ぼうそうを防ぐ
・日本脳炎Ⅰ期:日本脳炎を防ぐ

★任意接種(有料のことが多い)
<1才以降に接種するもの>
・おたふくかぜ(ムンプスウイルス):おたふくかぜを防ぐ
<流行時期に接種するもの>
・インフルエンザ:インフルエンザ感染症を防ぐ。6カ月以降から接種可能。
人工呼吸器をつけていた赤ちゃんの場合は、肺の機能が未発達なことがあり、インフルエンザにかかると大変心配です。必ず予防接種を受けましょう。
・シナジス:RSウイルス感染症に対する抵抗力を高める
早産児(在胎35週以下)や心疾患・慢性肺疾患を持つ赤ちゃんは、保険適用となります。注射の時期や保険適用となるかどうかはフォローアップを担当している医師やかかりつけ医に確認しましょう。

低出生体重児、早産児の定期健診の気がかりQ&A

低出生体重児や早産児は、定期的に成長・発達を確認しておきたいもの。フォローアップ担当医の診察以外にかかりつけ小児科医による自治体の定期健診や、自治体の育児支援者からのアドバイスを、どう参考にしていけばいいかなどについて先生に聞きました。

Q 保健師さんの訪問で、病院の指導と違うことを言われました。

A 低出生体重児や早産児の場合、退院したあとの家庭での育児のサポートを考え、地域の保健センターが赤ちゃんの様子を見に来てくれます。多くの場合、生まれた病院から、保健所に連絡票が送られます。
訪問するのは保健師が多く、助産師や看護師のこともあります。地域では、病院と保健所の両方で勉強会を開いていますが、残念ながら病院での指導と訪問の保健師との指導が少し異なり、ママが混乱することもあるかもしれません。まれには「小さいね」、「発育が遅い」、「体重の増えが悪いからミルクをたすように」などという言葉が出たり、ママが聞きたいことに答えてくれなかったりで、ママたちが傷つくこともあるようです。不安なときには、かかりつけ医やフォローアップ担当医に相談してアドバイスを受けるといいでしょう。

Q 健診はどのように受けたらいいですか?

A 低出生体重児や早産児で生まれた子の成長・発達について定期的に健診を受け、安心して子育てができるように、NICUではフォローアップ外来を設けています。NICU入院中の状況がわかるだけに、きめ細かな対応が可能です。成長や発達以外にお子さん固有の病気のリスクなども説明されることが多いと思います。また、障害があるときは、リハビリ訓練を始める時期なども相談します。
フォローアップ外来は、1500g未満で生まれた赤ちゃんが主体ですが、それ以上の赤ちゃんでもNICUに入院していれば、最低でも一度は受診し、問題点がなければそれ以後はかかりつけ小児科医での健診となることが多いです。出生体重1500g未満、あるいは成長や発達の遅れなどのリスクが高いお子さんは、原則としてNICUのある病院でフォローアップされます。フォロ-アップ外来の受診間隔はお子さんによって異なります。また3~4カ月健診、1才6カ月、3才健診は、多くの自治体では無料で受けられます。これは正期産で生まれた赤ちゃんと同じです。自治体の健診は個別健診となっているところが多いと思いますので、フォローアップ外来の受診に加え、かかりつけ医にお子さんのことを知ってもらういい機会ととらえて、積極的に受診しましょう。

「予防接種や定期健診で心配だったこと」体験談

早産児や低出生体重児の赤ちゃんのママやパパから、予防接種や定期健診を受けさせることの心配や不安、抵抗感についての声をよく聞きます。そこで、実際にそこで、実際に赤ちゃんがNICUの入院を経験したママたちはどうしていたのか、どう感じたのか、コメントをいただきました。

●定期健診は修正月齢で
予防接種は月齢どおり受けていいということだったので、入院中から打ってもらいました。定期健診は月齢どおりに受けに行ってもできないことばかりだったので、修正月齢で受けに行きました。それでもまわりの子より発達がゆっくりだったので、心配になりました。(2才7カ月男の子、出生体重:1085g 在胎週数:27週2日)

●自治体の健診を受けることに疑問
本来の月齢で定期健診へ行ってもクリアできていないことばかりですし、発育発達がゆっくりめなので、心配でした。また定期的に病院で診てもらっているので、自治体の定期健診に行く必要があるのかとも思い、自治体の4カ月健診は修正月齢で受けました。(1才2カ月男の子、出生体重:902g 在胎週数:27週2日)

●保健師さんへの説明が面倒で…
予防接種は月齢どおりで進めていいとのことだったので、そのとおりに受けました。定期健診はお知らせが来るのですが、そのとおりに行くとまわりに比べて、うちの子だけとても成長が遅いのを感じてしまうので、修正月齢のスケジュールで行くようにしました。でも保健師さんにいちいち説明するのが面倒でした。(3才5カ月男の子、出生体重:2018g 在胎週数:32週4日)

●予防接種の副作用が心配でした
2カ月ごろから受ける予防接種があったので、退院後すぐに受けに行きました。副反応などが心配でしたが、とくに問題ありませんでした、1才半健診は修正月齢で受けていいといわれましたが、出生月齢で受けました。まわりの子と比べるとまだできないことが多いかなと感じました。(1才11カ月女の子、出生体重:874g 在胎週数:31週4日)

●里帰り先での接種が大変
入院期間が長かったので、退院後すぐ予防接種の予定を組まなくてはならず大変でした。また、退院後すぐ里帰りする予定だったので、里帰り先で予防接種が受けられるのか、助成を受けられるのかを調べるのも大変でした。(1才11カ月男の子、出生体重:1226g 在胎週数:30週1日)

小さく生まれた赤ちゃんがすこやかに成長するために、しっかり予防接種や定期健診を受けさせて、健康を見守ってあげたいですね。予防接種や定期健診の場では、医師などに相談する機会も多くあるので、上手に活用するといいですね。(取材・文/東 裕美、ひよこクラブ編集部)

監修/板橋家頭夫先生
昭和大学病院病院長。専門は、小児科学、新生児学。極低出生体重児の成長・栄養管理に詳しく、低出生体重児・早産児の生活習慣病リスクを研究。赤ちゃんや家族の幸せをモットーに診療をされています。

※記事の内容を一部修正しました(2023年3月14日)

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