完熟フレッシュ、池田57CRAZYとレイラ。娘の思春期に「生理」や「下着」の会話ができたのは「隠さない」という姿勢を見せたから・・・
「完熟フレッシュ」として活躍中の池田57CRAZYさん。相方は1人娘の池田レイラさん。2016年にコンビ結成後、「M‐1グランプリ」にアマチュアとして出場し、翌年は準々決勝まで進出し、「ベストアマチュア賞」に選ばれ、その後はプロとして活躍しています。レイラさんの保護者でありながら相方である池田57CRAZYさんは、娘の思春期にどんなふうにして接していたのでしょうか。全2回インタビューの後編です。
お笑い芸人になりたくない娘と、相方になって欲しい父の葛藤
――父と娘のお笑いコンビは話題になりました。「完熟フレッシュ」はどういう経緯で誕生したのでしょうか?
池田57CRAZYさん(以下敬称略、57) 妻と離婚してからシングルファザーとしてレイラを育てて生活していくために、お笑い芸人を引退しました。娘を育てるために必死に働いた末に過労で入院することに。そのときにお笑いへ未練があることに気づきました。一度しかない人生、悔いのないよう生きるために再び芸人をめざすことを決め、相方を探しました。
――心の奥底にはお笑いをやりたいという気持ちがくすぶっていたわけですね。
57 もちろん成功したいという思いはありました。でも、中途半端な形で芸人をあきらめていたのでここでM-1に出場し、思いっきりスベって完全に断ち切るためでもありました。そこで僕の中で相方は娘であるレイラしかいないと考えるようになりました。もちろんレイラにもレイラの考えがあるでしょう。でも当時、レイラもバラエティー番組で活躍するタレントにあこがれを抱いていたので、きっと芸人として舞台に立つことはどこかで役に立つかもしれないと思い、「パパと一緒にM-1に出てみない?」と誘ってみました。
――レイラさんの反応はどうでしたか?
57 初めて提案したときははっきり「嫌だ」と言われました(笑)。お笑いは見るものであって自分が出る側ではないという思いがあったようです。でもレイラは、親のひいき目もあるかもしれませんが2、3歳のころからお笑いの才能をもっていました。当時、流行っていた荒川静香さんの“イナバウワー”をアンパンマンの人形を思いっきり反らしながら「バウワー」と叫んで見せたり、僕が好きなプロレスラーのモノまねをしたり、大人を笑わせてくれていました。
「M‐1」出場はまさかのモノで釣る!?
――幼いころからエンターテインメント性があったのですね。
57 外ではおとなしい子でしたが、家の中では明るくてひょうきんでした。想像もつかないことをして、よく笑わせてくれました。
――その後どんな経緯で2016年に「M‐1グランプリ」に出場することになったのでしょうか?
57 じっくり時間をかけて相方になってほしいことを伝えていきました。でもなかなか首をたてに振ってくれませんでした。締め切りが迫っていたので奥の手として「出てくれたらなんでも買ってあげる」と最後はモノで釣っていました(笑)
娘の生理用品を買いに走ることも!?
――レイラさんの思春期はどんなふうに接していましたか?
57 思春期だからとくに気をつけていたこともないですし、レイラも父親に対して態度を変えるようなことはありませんでした。それよりも「生理が始まるよ」、「下着も準備しなきゃいけないからいつでも手伝うよ」と、レイラの体の変化についてまわりのママ友が心配してくれていました。
――娘を持つシングルファザー特有の悩みかもしれませんね。
57 それがジムでインストラクターをやっていたときには、お客さんの生理周期なども管理していました。女性の体の構造について知識があったので、生理の話は恥ずかしいという感情もなく、むしろ成長過程には大切なことなのでレイラとは隠すことなく、そういう話もしていました。
――下着などを買うときはどうしていたのですか?
57 中学生のころ、レイラから「ちょっとついて来てほしいところがある」と言われ、一緒に出かけると下着売り場でした。さすがに中には入れないので、別の階で時間をつぶしていました。また、生理用ナプキンは普通に銘柄を指定されて買わされていました(笑)。それくらいレイラは僕に対して壁がなく、どんなことに対してもフラットでした。
――とはいえ、恋愛関係の話しは言わないでほしいと話しているようですね。
57 そうなんです。僕のほうからレイラに「話さないで」と頼んでいました。レイラが小学4年生のときに「パパ、好きな子ができた」と言われた瞬間、めちゃくちゃショックで数日、食事がのどを通らないほどでした(笑)。僕の変化に気づいたレイラはそこから好きな人の話しをいっさいしなくなりました。高校生になってからも「彼氏ができても言わないで」とくぎを刺していました。
――現在も池田家では恋愛トークは禁止なのでしょうか?
57 今はそんなことはありません。レイラが高校生の3年間で自分の中でも心の準備ができたので普通にいろんな話をします。先日もレイラの友だちの恋愛話しを聞いているときに男性側の意見を求められたので率直な意見を伝えました。
「芸人のくせに」ではなく「芸人なのに」をめざす
――レイラさんは20歳を迎えましたが、父親として今どんな気持ちですか?
57 レイラは20歳を迎え、そこから実家を出て1人暮らしを始めました。大学は辞めてしまいましたが、そのときに「あぁここで子育てもひと段落したな」という気持ちになりました。大学を辞めることに関してもじっくり話しました。レイラが「後悔しない」と言っていたので、僕も前向きにとらえています。
――現在はグラビアでも活動しているレイラさんですが、タレント活動も精力的にこなすレイラさんを見てどんなことを思いますか?
57 大学を辞めてから本当にいろんなことに挑戦しています。「芸人」としての軸がブレないのであればこれから先もさまざまな分野で活躍してもらいたいですね。そして「M-1」で始まったコンビなので、いつかレイラとM-1で頂点を取りたいですね。
――57さん自身の今後の展望も聞かせてください。
57 僕自身もチャンスがあればどんなことにも挑戦してみたいです。ただ、先にも話したとおり、ブレるとまわりからかわいがってもらえないと感じています。「芸人のくせに」と言われてしまうことは嫌です。どうせなら「芸人なのに演技ができる」、「芸人なのに音楽もできる」と「芸人なのに」と表現されるようなマルチの芸人でありたいと思います。
お話・写真提供/池田57CRAZYさん 取材・文/安田ナナ、たまひよONLINE編集部
娘のレイラさんとの関係を昔からしっかり構築してきたため、「話しやすいパパ」として娘から信頼されている池田57CRAZYさん。レイラさんが思春期を迎えるころも父としてブレない姿勢を保ってきたようです。
池田 57CRAZYさん(いけだ ごなくれいじー)
PROFILE
1975年生まれ 山口県出身。親娘お笑いコンビ「完熟フレッシュ」のメンバー。スクールJCA10期生出身。お笑いコンビ「ジャンボジェット」で活動を開始する。解散後は、「ロックンロールコメディーショー」のメンバーとして活動。2016年からは娘の池田レイラと「完熟フレッシュ」を結成し、活躍している。2025年に初のコミックエッセイ『親子漫才!』(KADOKAWA)を発売。
●記事の内容は2025年7月の情報で、現在と異なる場合があります。
『親子漫才!』
シングルファザーとしての奮闘と、娘とお笑いコンビを結成してからの活躍が漫画でまとめられている。父と娘の強い絆が感じられる1冊。池田57CRAZY著・ぽぽこ漫画/1320円(KADOKAWA)


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