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「おなかの赤ちゃんが病的に小さい」と、突然言われて入院。妊娠28週で生まれた長女の体重は595g。なかなか会えない日々に涙した【低出生体重児】

更新

生後まもない、のこちゃん。

イラストレーター・漫画家で5歳の女の子・のこちゃんを育てるささむらもえるさん。妊娠7カ月のときにおなかの赤ちゃんが胎児発育不全と診断され、その後妊娠28週で595gの長女・のこちゃんを出産しました。妊娠中から出産までのことについて、もえるさんに話を聞きました。全2回のインタビューの前編です。

順調だったはずなのに「赤ちゃんが病的に小さい」と言われ・・・

夫のなおさんが撮影した、のこちゃんのNICUでの様子。

もえるさんは、姉の誘いで参加した食事会で夫・なおさんと出会いました。お互いゲーム好きという趣味が同じで意気投合し、2年ほどの交際を経て2017年に結婚。その1年後ぐらいに妊娠がわかります。

「夫とは『子どもがいたら楽しくなりそうだね』と話して、タイミングをはかって妊活をしていました。あるとき体調の変化を感じて『もしかして・・・』と妊娠検査薬でチェックしたら陽性反応が出て、妊娠がわかりました。すぐに地元のクリニックを受診すると、エコーの画像には小さな赤ちゃんの形が。心臓も動いているのを見て、とてもうれしかったのを覚えています。

私はフリーランスのイラストレーターなので、妊娠中もイラストや4コマの仕事を継続していました。妊娠初期には少し食べづわりはあったものの、体調も比較的安定して妊娠経過も順調でした」(もえるさん)

ところがもえるさんは、妊娠24週の妊婦健診で医師から衝撃的な事実を告げられます。

「妊婦健診に通っていたクリニックで、『赤ちゃんが小さいかもしれない。大きな病院で検査してください』とかなり深刻な口調で言われ、すぐに大きな病院へ行くようにと紹介されました。それまでの妊婦健診では『順調です』と言われていたのに・・・、いったい何があったのか不安でたまりませんでした」(もえるさん)

もえるさんはその日の予定を全部キャンセルし、義父母に車の運転を頼んですぐに紹介先の総合病院へ向かいました。

「総合病院の医師には『赤ちゃんが病的に小さい。なんらかの原因で、胎盤に栄養が届かなくなっていて、胎児発育不全の状態です。今すぐ入院したほうがいい』と説明されました。
医師は、“こんなに小さいのにどうして今まで気づかれなかったんだ”という雰囲気で、かなりシビアな状況なのだとわかりました。それまで問題ないと言われていた私にとっては、まさに青天のへきれきで頭が真っ白になりました。

安定期に入り、きっとこのまま順調に出産できると思っていたから、本当に悲しい気持ちでいっぱいでした。性別も女の子とわかっていたので、義母と一緒にベビー服を見に行ったりいろいろと準備をしていたんです。『もうすぐ会えるな〜』『赤ちゃんの服どうしようかな』って楽しみにしていたのに、まさか赤ちゃんが育っていないなんて。診察室を出て、待合室にいてくれた義父母のもとで、思わず泣いてしまいました。

原因不明と言われたけれど、3週間前に旅行に行ったのがよくなかったのかな、部屋の片づけをしたからかな、などとぐるぐる考え、自己嫌悪に陥っていました」(もえるさん)

妊娠25週を過ぎた夜中に、突然の破水

保育器に手を入れ、そっとホールディングでのスキンシップをします。

総合病院を受診した翌週から、もえるさんは管理入院をして赤ちゃんの経過を見ることになりました。

「妊娠25週の検査でも、赤ちゃんの状態はあまりよくなっていなかったので管理入院することになりました。出産予定日まで3カ月もの長期間入院するのかと思うと少し不安でしたが、自分で作るよりも病院の食事のほうがバランスが取れているし、看護師さんが毎日赤ちゃんの心音を確認しに来てくれるので、逆に安心できると感じながら過ごしていました。

ところが入院5日目の夜中、おなかに『ドッ』という衝撃を感じて目が覚めました。同時に水のようなものが流れてくる感覚もあります。トイレに行ってみると、下着がびちゃびちゃに。看護師さんに伝えると、すぐに医師による診察となり『破水しています、危険な状態です』と。その病院のNICU(新生児集中治療室)は満床だったため、赤ちゃんが生まれる可能性に備え、空きのあるほかの病院へ転院することになりました」(もえるさん)

妊娠26週3日目の明け方、もえるさんは救急車でNICUのあるほかの病院へ転院します。

「転院先の医師によると『検査したところ羊水が少し残っているので、すぐに産む必要はないでしょう。しばらく様子を見ましょう』とのことでした。破水して羊水は減ってしまったけれど、残った羊水でなんとかおなかにとどまっている状態だったそうです。赤ちゃんがおなかの外で生きていくための臓器の機能が整うのは妊娠28週目ごろが目安になるとのことで、『28週まで気をつけて1日1日を大事に過ごしてください』と言われました。

それからは、トイレやシャワーのために歩くことはできましたが、できるだけ安静に過ごしました。そして、28週を迎えてから予定帝王切開で出産することが決まりました。帝王切開前、医師からは『赤ちゃんの状態によってはすぐにNICUに運ばれるので、対面はできないかもしれません』と説明がありました」(もえるさん)

595gで生まれた娘。産後しばらく会えず、つらかった日々

夫のなおさんが初めてカンガルーケアをしたときの様子。

妊娠28週1日目。もえるさんは下半身麻酔をし、帝王切開手術での出産に臨みました。

「生まれたのは、体重595g、身長30.5cmの女の子でした。対面できないかも、と言われていましたが、看護師さんが配慮してくださって、ほんの数秒、私の顔に赤ちゃんを近づけて見せてくれました。

娘は本当にかわいくて、これまでのいろんな思いが一気にこみ上げてきました。涙を流しながら『よく頑張ったね・・・』と声をかけるので精いっぱいでした。ほんの一瞬でしたが、このときのことはしっかり覚えています。その後、娘はすぐにNICUヘ運ばれました」(もえるさん)

帝王切開手術の翌日からリハビリのために歩行練習を始めたもえるさん。ですが、もえるさんの体には、点滴の影響なのか出産直前から原因不明の発疹が出てしまったため、NICUにいる赤ちゃんに会えない時間が続いたと言います。

「『早く赤ちゃんに会いたい!』という一心で、術後の痛みに耐えながらリハビリを頑張っていたんですが・・・発疹がなかなか治まらなかったんです。万が一、発疹に感染リスクがある場合、NICUに入室できない、とのことで、皮膚科の検査を受けることになりました。

発疹の原因についてすぐに結果が出ると思っていましたが、3日〜4日たっても結果が出ず、赤ちゃんには会えないまま。日を追うごとに『まだ会えないの?』といういらだちが募ってきてしまいました。大部屋や廊下で出会うほかの親子に嫉妬してしまい、わが子に会えない悲しみと怒りが混ざり合い、大部屋なのにベッドで声を上げて泣きました。普段なら人前で泣くことなんて絶対にしないんですけど・・・、自分が自分じゃなくなったような感覚でした」(もえるさん)

夫のなおさんは毎日仕事のあとに面会に来てくれ、NICUにいる赤ちゃんの様子を撮影してもえるさんに見せてくれました。

「夫が毎日見せてくれる娘の動画のおかげで、少し心を落ち着かせることができました。生後2日目に、娘が初めて『ふぁー』と小さく泣いた声を聞くことができ、録画だったけれどとっても感動しました」(もえるさん)

『小さく産んでごめんね』涙が止まらなかった

生後45日ごろ、保育器から出たのこちゃんを抱っこするもえるさん。

そして、産後6日目。ついに発疹の検査結果が「問題ない」とされ、NICUにいる赤ちゃんに面会することができました。

「あのときのことを思い出すと今も泣きそうなくらいです。NICUにある保育器の中にいた娘は、小さな体にたくさんのコードがつけられ、顔には酸素のマスクがつけられていました。『小さく産んでごめんね』『すぐに会ってあげられなくてごめんね』と、いろんな思いがこみ上げて涙が止まりませんでした。

胎児発育不全と診断され、破水して危険な状態のなか、頑張って生きてくれた娘は本当に強い子だと思います。生まれてきてくれたことに感謝でいっぱいで、母としてしっかり育てていこう、と強く決意しました」(もえるさん)

小さく生まれた赤ちゃんの健康状態について、当時は夫のなおさんが医師から説明を受けていました。

「夫は、私が出産する前に、担当医から赤ちゃんが小さく生まれた場合の健康面のことなどについて書かれた書類をもらい、説明を受けたそうです。生まれてすぐに心配される症状や、それに対しての医療処置のこと、障害が残る可能性について、などの話があったようでしたが、夫は産後すぐの私にはそのことは言わずにいてくれました。

私が娘に面会できたときには担当医から『娘さんは峠を越えて元気ですよ』と話がありましたが、夫はそのころも『娘はちゃんと生きていけるだろうか、何か障害が残るんだろうか』と不安でたまらなかったそうです」(もえるさん)

お話・写真提供/ささむらもえるさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

現在5歳になり保育園に通っているもえるさんの娘、のこちゃん。「出産当時心配してたことがうそのように、とてもひょうきんで明るい、優しい子に成長している」ともえるさんは言います。もえるさんは、自身の妊娠・出産の経験やのこちゃんの成長の様子を漫画にしました。後編では、退院後ののこちゃんの成長の様子について聞きます。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

ささむらもえるさん

PROFILE
2007年漫画家デビュー。漫画アシスタントのほか、イラストレーターとして児童書や小説のさし絵、イラスト、4コマ漫画などを制作。pixivやInstagramでは育児漫画を投稿している。

ささむらもえるさんの育児・エッセイのX

ささむらもえるさんのイラスト・漫画のX

ささむらもえるさんのInstagram

『産まれてきた赤ちゃんは両手サイズ595gでした①』

イラストレーターのささむらもえるさんが、胎児発育不全と診断された妊娠中から、28週で出産したころまでの体験を描いた漫画。ささむらもえる著/260円(Kindle版)

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