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「まだ小さいのに保育園、かわいそう?」毎日泣いていた0歳児に起きた“ある変化”

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めぐみこども園

「まだ小さいのに保育園に預けて大丈夫かな?」
子どもの入園前や通園中に、そんな不安を抱くママ・パパもいるかもしれません。

今回取材したのは、福井県のめぐみこども園の0・1歳児クラス。
園が子どもの遊びや生活の様子を写真や言葉で記録する保育ドキュメンテーションから、0歳で入園したRちゃんの園生活をのぞかせてもらいました。

Eテレ「すくすく子育て」でおなじみの、玉川大学教育学部教授・大豆生田先生と、
ママライター田中が一緒に見ていきます。

生後11か月で入園。泣いたり抱っこで過ごすことが多かったRちゃん

めぐみこども園の写真付き保育記録(ドキュメンテーション)より。この頃のRちゃんは、保育者のそばから離れると泣いてしまうことが多くありました

田中:早い時間から仕事が始まるママ・パパも多いため、めぐみこども園は朝7時から開園しているそうです。今回訪問してみて、先生たちは子どもたちの園生活が楽しくなるよう、たくさんの工夫をしている印象でした。

そんななかで、Rちゃんは生後11か月で入園。入園当初はママ・パパと離れると泣いてしまい、
保育者の抱っこで過ごす時間が長かったと聞きました。
泣いている日が続くこともあり、Rちゃんのママは「これから大丈夫かな・・・」と不安と心配で胸が苦しくなることもあったようです。

豆先生:はじめて園に子どもを預けるママ・パパにとって、こうした状況は親自身も不安を感じると思います。

子どもたちは、新しい環境への不安を、泣くことで表しているのだと思います。

大切なのは、ママ・パパ以外にも安心できる人との関係をつくれること。
ママ・パパと園の先生が連携し、「ここは安心できる場所だよ」という態度を見せながら、
子どもの気持ちを受け止めて待つことが大切だと思います。

先生の歌がきっかけで「好き」が見えてきた

保育者の歌を聞き、立ち上がって踊りだすRちゃん
保育者の歌を聞き、立ち上がって踊りだすRちゃん

田中:入園して1か月ほどたったころ、保育者がそばにいると
興味をもったおもちゃに手を伸ばす姿が少しずつ増えました。
あるとき、Rちゃんのママから歌が好きだと聞き、保育者が口ずさんでみると、
なんと保育者の膝から立ち上がり、手足を動かして楽しそうに踊りだしました。

Rちゃんの好きな遊びが見つかり、ワクワクした担任の先生は、
職員同士のミーティングで写真やドキュメンテーションを共有しました。
「ほかのクラスのイベントでコンサートをするから、見に行くといいかもね」という話し合いをしたそうです。

豆先生:めぐみこども園は、保育者同士の対話が盛んです。
ほかのクラスの先生も含め「どうしたら Rちゃんが 安心して過ごせるだろう」と考え、相談していたんですね。

写真に残った何気ない姿から、子どもが何にワクワクしているのかを見つけることが、
その子の興味や関心を理解する手がかりになります。
ママ・パパと園が情報共有すれば、一緒に見つけやすくなりますね。
                                   

年上の子どもたちのダンスを見て世界が広がる

年上の子の舞台をじっと見つめ、やがて自らステージへ
年上の子の舞台をじっと見つめ、やがて自らステージへ

田中:その後、Rちゃんは年少児が遊戯室で行うコンサートに招待されました。
舞台で踊る年上の子どもたちをじっと見つめその後
自分からステージに上がり、一緒に踊り始めたといいます。すごい変化ですよね。

年上の子にほめられて、ニコニコしていたそうです。
保育者でなく年上の子に褒められたことが自信につながったようだと担任の先生が言われていました。

「もしかしたら人見知りなのかな」と先生は当初感じていたそうですが、
そうではなく、ママやパパと離れる寂しさだったのだと改めて感じたそうです。

豆先生:とても象徴的な場面ですね。0歳でも、人とのつながりや憧れから、好きなことを見つける力があります。

Rちゃんは「ダンスを教えてもらった」わけではありません。他の子たちを見て、
自分から「やってみたい」と感じたのですね。
そして、まねをしながら自分なりに楽しさを見つけていきました。
Rちゃんの世界が広がったんですね。

いろんな子を見て、道具を使うダンスに発展

ぽんぽんを使うほかの子を見て、ピンときたRちゃん。鈴やおもちゃなど音の出るものを探します
ぽんぽんを使うほかの子を見て、ピンときたRちゃん。鈴やおもちゃなど音の出るものを探します

田中:Rちゃんのダンスへの関心は、さらに広がっていきました。

園庭で年上の子たちがぽんぽんを持って踊る姿を見ると、何かがひらめいたように
お部屋に戻って鈴やおもちゃを持ち、踊り始めたといいます。

「音が出る楽器や、きれいに見せる小道具があるともっと楽しい!」

Rちゃんがそんなことに気づいた瞬間だったのかもしれません。
先生たちはその姿を見て話し合い、マラカスを作ることにしたそうです。

豆先生:Rちゃんが、道具を使う別の子を見て、自分で考え、
お部屋で同じように使えそうなものを探す姿が印象的です。
「これ使えそう、こっちかな」と、自分なりに試しているのですね。

0・1歳児だから大人がお世話をするだけ、と思われがちですが、
子どもは自分で見て、考えて、行動する力を持っています。

園の先生は「教える人」ではなく「支える人」として、
子どもが見つけた「好き」を応援し、その楽しさが続く環境をつくっていますね。

クラスでブームに。ダンスへのワクワクが周囲にも広がる

Rちゃんを見て、クラスの子どもたちが一緒に踊るように。園庭のデッキが、みんなのダンスステージに!
Rちゃんを見て、クラスの子どもたちが一緒に踊るように。園庭のデッキが、みんなのダンスステージに!

田中:担任の先生によると、Rちゃんは人前で踊る経験に楽しさを感じ、ほめられたことで自信をつけて、行動範囲が広がりました。

クラスのほかの子たちも、Rちゃんの様子を見て一緒に追いかけて行くようになり、
今では、みんなでダンスを踊っているそうです。
そして、小さな子たちが集まっていると、年上の子たちも近くに来て、
お互いに声をかけ合うようになりました。

また、おうちの中でもママとパパが一緒に踊って楽しんでいて、
Rちゃんのママは、毎日楽しそうに過ごすRちゃんの姿を、園から送られてくる写真や記録で見るたびにうれしくなるそうです。(この園では、その日の活動を写真とコメントで記録したドキュメンテーションを、ICTアプリを通じて毎日保護者に配信しています)

豆先生:子どものワクワクが、園の仲間やママ・パパにも広がっていく。そんな連鎖が生まれていますね。

この記録を見て感じるのは、Rちゃんが自分の力で育っているということです。
大人が誘導したのではなく、見て、憧れて、まねをして、少しずつ挑戦する。
その繰り返しのなかで、自分なりの楽しさを発見していったのだと思います。

とてもいいなと思うのは、ママ・パパと保育者がRちゃんを真ん中にして、状況を共有しながら、どんなふうにしたらRちゃんがもっと楽しくなるかを協力して考えていることです。だからこそ、Rちゃんの興味がさらに深まっていますね。

「まだ小さいのに保育園、大丈夫?」園で見えてきたこと

田中:この記録を見ていると、「まだ小さいのに保育園、大丈夫?」という見方も少し変わりそうです。

豆先生:もちろん、おうちだからこそ得られる安心感があります。
でも園には、家庭だけでは出会えない人や環境があります。異年齢の子ども、複数の保育者、さまざまな活動との出会いが、子どもの世界を広げていきます。

乳幼児の育ちには、「安心と挑戦の循環」が大切です。身近な大人に不安を受け止めてもらい、「ここなら大丈夫」と感じられる安心を土台に、子どもはさまざまな人や環境と出会い、遊びや体験へと踏み出していきます。そして、挑戦のなかで不安を感じたときには、また安心できる大人のもとに戻る。こうした循環を重ねながら、子どもの世界は少しずつ広がっていきま す。

Rちゃんも、入園当初は泣いて過ごす時間が多くありました。けれど先生たちは、その不安に寄り添いながら抱っこをしたり、ご家庭での様子を聞いたりして、Rちゃんが安心できる関係を丁寧につくっていました。

好きな歌を一緒に歌ってくれる、楽しんでくれる。そうした先生のかかわりのなかで、Rちゃんは「この人なら大丈夫かも」という安心できる時間を少しずつ増やしていったのだと思います。その安心感があったからこそ、年上の子どもたちの楽しそうな様子に興味をもち、自分から踊ってみる一歩につながったのではないでしょうか。

周りの子どもたちにも変化がありました。年上の子は小さい子に教えたり、まねされたりする喜びを感じ、同じクラスの子たちもRちゃんの姿に影響を受けて、一緒に踊る楽しさを味わうようになっています。

こうした姿を見ると、保育園での時間は、ただ「親と離れている時間」ではなく、子どもが人とのかかわりのなかで育っていく時間でもあることがわかります。

連絡帳や写真付きの保育記録(ドキュメンテーション)を手がかりに、保育園での時間を、子どもの育ちを園と一緒に見守る時間として受け止められると、ママ・パパの安心にもつながっていくと思います。


取材・文/田中あすか、たまひよONLINE編集部

●記事の内容は2026年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。

<次回のテーマ>
今、園の運動会が変化している?子ども主体の行事とは?

保育ドキュメンテーションとは?

保育ドキュメンテーションとは、子どもの遊びや生活の様子を、写真や言葉で記録し、その過程にある育ちや学びを伝える取り組みです。単なる活動報告ではなく、「子どもが何に興味をもち、どう成長しているのか」を保護者と共有するための保育の記録です。

「見えない時間」を、安心に変える写真付きの保育記録(ドキュメンテーション)とは

<取材先>めぐみこども園(福井県)

遠方からも入園希望者が集まる人気の保育園。子ども主体の保育、子どものやりたいを形にすることに力を入れている。毎日の連絡帳はアプリで写真付きの保育記録(ドキュメンテーション)を配信。

めぐみこども園ホームページ

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