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3歳で低身長症と診断された、双子の男の子。おしりに成長ホルモンの注射を打つ治療をスタート【SGA性低身長症】

更新

1歳1カ月ごろ。身長は2人とも68cmぐらい。低身長の治療を開始するまでは、身長は常に身体発育曲線の標準の範囲からはずれていました。

南 直貴さん(40歳)・絵美さん(38歳)夫妻には、5歳になった一卵性の双子の男の子がいます。長男・蓮翔(れんと)くん、二男・結翔(ゆいと)くんです。
蓮翔くんは1831g、結翔くんが1797gの低出生体重児で誕生しましたが、元気で発達は順調。しかし3歳になる少し前に、「身長が小さい」ということから低身長外来の受診をすすめられます。
毎年9月20日は「子どもの成長啓発デー」です。南 直貴さん・絵美さんに、SGA性低身長症と診断されときのことや治療について聞きました。全2回インタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

小さく生まれた2人。兄弟で偏食が多くて食べる量も少ない

2歳のころ。写真右が結翔くん、左が蓮翔くん。このころは、二男の結翔くんがおもちゃを取ったりして、長男の蓮翔くんがよく泣いていたそう。

双子を授かった絵美さんは、妊娠8カ月の後半に切迫早産と診断されて、管理入院しましたが子宮口が開いてしまい、妊娠36週に緊急帝王切開で、双子の男の子を出産。出生体重は蓮翔くんが1831g、結翔くんが1797gでした。

――蓮翔くん、 結翔くんの3歳ごろまでの成長の様子について教えてください。

絵美さん(以下敬称略) 低出生体重児で生まれたので、約3カ月に1回、出産した総合病院の小児科で発育・発達の様子を診てもらっていました。

2人とも生後3カ月ごろに首がすわり、生後6カ月ごろにはおすわりを始めるなど、発達は順調。小児科でも乳幼児健診でもとくに気になることは言われなかったのですが、身長の伸びはゆるやかでした。生後10カ月の身長は、2人とも約67cmで、生後6~7カ月ぐらいの赤ちゃんと同じぐらい。その後もずっと小さめでしたが、小さく生まれたから・・・と思って見守っていました。

直貴さん(以下敬称略) 蓮翔も結翔も、離乳の後期食に入ったころから急に食べなくなってしまって・・・。当時、食べていたのはパンケーキ、スティックパンなど4~5品ぐらい。離乳食を食べさせようとしても、お皿をひっくり返したりして受けつけないんです。ミルクは飲んでいましたが、「大丈夫かな?」と心配しました。小さめなのは偏食で少食なこともあるのかな、と考えていました。

――言葉の発達などは、どうでしたか。

直貴 2人とも言葉の発達はゆっくりめでした。5歳になった今でもゆっくりで、発音も不明瞭です。保健師さんから療育をすすめられて、今は2週間に1回、療育に通っています。
でも2人の間では、言葉が通じ合うみたいで、仲よく会話をしています。1人が「〇〇だよ~」と言うと、もう1人もまねをして同じ口調で「〇〇だよ~」と言うんです。そうした姿が、とてもかわいいです。

低身長外来を受診。3歳でSGA性低身長症と診断

2人の身長・体重を記した母子健康手帳の身体発育曲線のページ。計測した数字の点が記されています。写真右が蓮翔くん、左が結翔くん。

蓮翔くんと結翔くんは、3歳でSGA性低身長症と診断されました。
SGA性低身長症は、低身長症の1種で、妊娠週数に相当する身長・体重よりかなり小さく生まれた子どもが、3歳になっても身長の伸びが追い付かず、-2.5SD(※1)というかなり小さい身長のままのことを言います。

――低身長外来を受診して、SGA性低身長症と診断されたときのことを教えてください。

直貴 胎児期の身長・体重の増加が少なく、標準的な身長・体重より小さく生まれた子どもを、SGA児(small for gestational age)と言うそうです。ほとんどのSGA児は3歳までに身長が標準範囲に追いつくそうなのですが、なかには低身長にとどまる子どももいて、そういう子たちをSGA性低身長症というそうです。

低身長外来を受診したとき、最初に医師から「検査をして、成長ホルモンの分泌不足などの原因がわかり、諸条件を満たせば『成長ホルモン分泌不全性低身長症(※2)』なので、成長ホルモン治療が可能。その条件を満たさない場合は、お子さんたちの場合『SGA性低身長症』として成長ホルモン治療が受けられる」などの説明がありました。

絵美 低身長外来を受診して検査をしたのは、2人が3歳になってからです。採血検査や手のX線は、骨年齢を診て、実際の暦年齢と比べて、骨の年齢がどの程度かを判断するためだそうです。
検査の結果、蓮翔も結翔も「SGA性低身長症」と診断、治療をすることになりました。

直貴 SGA性低身長症と診断されたときは、「背が低いのは治療ができるんだ・・・」と思いました。

――治療について教えてください。

絵美 診断後、自宅で成長ホルモンを補う注射を1日1回打つ治療を始めました。注射はおふろ上りに打つことにして、わが家ではおしりに打っています。

1日1回、今日は右のおしり→明日は左のおしりと交互に打ちます。夫が子どもたちをおふろに入れて、私が湯上がりに体をふいて、おしりに注射を打つ流れです。また、私がおふろに入れたときは、夫が注射を打ちます。

――注射は嫌がりませんでしたか。

直貴 小児科で予防接種を打つとシールをもらえたりするので、2人とも注射にはマイナスのイメージを持っていなかったようです。そのため嫌がることがなくて助かりました。

絵美 医師からは、蚊に刺される程度のチクッとした感じと聞きました。また、おしりだと肉がついているし、子どもが注射を直視することもないから怖がりにくいそうです。

――治療費について教えてください。

絵美 SGA性低身長症は、成長ホルモン治療の適応となり、健康保険が適用されます。小児の医療費助成も受けられます。

3歳から1日1回、注射を打つ治療をスタートしましたが、数カ月前に医師から「週1回の注射で済む成長ホルモン製剤が処方できるようになった」と説明を受けて、お薬を変更しました。今は週1回、自宅で注射をしています。

――週1回の注射に代わって、楽になりましたか?

直貴 親の負担は減りました。でもお薬が変わったからか、注射の痛みは毎日の注射のときより、1週間に1回のほうが感じるようなんです。単に毎日のルーティンではなくなったから、そう感じているのかもしれませんが…。子どもたちにとっては、毎日ではなくなった分、「注射の日」が強調されてしまい、ちょっと嫌な気分になるのかもしれませんね。
でも機嫌が悪かったり、親が忙しくても1日1回必ず打たなくてはいけないよりは、週に1回の注射で済むのは格段に楽です。

※1 SDは標準偏差という統計上のものさしで、「0SD」が平均身長。「-2.5SD」は、同年齢・同性の平均よりかなり低いということ
※2 成長ホルモン分泌不全性低身長症(GDH)とは、体の中で作られる成長ホルモンがたりないために身長が伸びにくい状態

3歳から治療を開始。1年たたずに身体発育曲線の標準範囲に

3歳から低身長の治療を開始して、1年経たずに、身体発育曲線の標準範囲に入りました。

SGA性低身長症の治療開始から2年。直貴さんも絵美さんも、2人の成長を感じています。

――治療を始めてから、2人にどんな変化がありましたか。

直貴 治療を始めてから、2人とも食欲がアップして、偏食が減りました。野菜も食べられるようになりました。今では「2人が食べられないものは?」と言われても思い浮かばないぐらいです。

今は保育園の年中クラスですが、ラーメンは大人と同じ1人前を完食します。身長も少しずつ伸びて、洗面台で手を洗うとき踏み台を使わなくなりました。

絵美 年少クラスのときは、背の順に並ぶと前から2~3番目でしたが、年中クラスになって真ん中ぐらいになりました。
2026年の初めは、洋服は110cmサイズでしたが、半年で120cmサイズになりました。

――身長が伸びたことで、子どもたちの様子に変化はありましたか。

絵美 保育園の先生に「大きくなったね!」と言われるのがうれしいようです。
また、大きくなったことで「僕はお兄ちゃん!」という意識が芽生えたようで、お皿洗いや料理を作る手伝いなどを積極的にしてくれるようになりました。体だけでなく、心の成長も実感しています。

直貴 実は僕自身、小学生のころに「背が小さい」ことをからかわれたことがあります。そのときはクラスで「言って嫌な気持ちになることは言わないようにしよう」と話し合いの場が持たれて解決しましたが、苦い思い出があります。

治療を受けることで、息子たちの可能性が広がっているかもしれないことはうれしく感じています。

【吉田さやか先生より】成長ホルモンの注射回数が減る薬も使えるように

注射を頑張って、身長が伸びた結翔くん(手前)と蓮翔くん(奥)。

これまで成長ホルモン治療は、基本的に毎日自宅で注射をする必要がありましたが、最近では週に1回の注射で治療できる薬も使えるようになりました。注射の回数が大幅に減るため、お子さんだけでなく、注射をするご家族の負担も軽くなることが期待されています。
成長ホルモン治療は「何歳まで」と一律に決まっているわけではありません。身長の伸びや骨の成熟度などを確認しながら治療を続けます。一般的には、思春期を経て骨の成長がほぼ終了し、身長が伸びなくなる時期が小児の低身長に対する治療終了の目安になります。治療を始める時期や終了する時期は、人それぞれ異なるため、定期的に成長を確認しながら主治医と相談しましょう。

お話・写真提供/南 直貴さん・絵美さん 医療監修/吉田さやか先生 取材・文/麻生珠恵 編集・構成/仲村教子(entente)、たまひよONLINE編集部

直貴さん、絵美さんは「医師に低身長外来の受診をすすめられなければ、蓮翔も結翔も小さく生まれたから、小柄なのはしかたないとあきらめていたと思う」と言います。今では、「2人とも将来は170cmぐらいにはなるかな~」とワクワクした気持ちで成長を見守っているそうです。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

吉田さやか(よしださやか)

PROFILE
奈良県総合医療センター 小児センター長、小児科部長。専門分野は小児科一般、小児内分泌(低身長外来)、神経発達症、小児血液。日本小児科学会責任指導医、日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本血液学会血液専門医、奈良県立医科大学小児科臨床教授。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2026年9月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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