【乳幼児期】絶対忘れちゃいけないママパパの役割とは?
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乳幼児期の子どもへのママパパの関わり方、そして、パパの育児参加の大切さなどについて、お茶の水女子大学 基幹研究院人間科学系心理学領域 人間発達教育科学研究所 菅原ますみ先生にお話を伺いました。
子どものこころの“安全基地”になることが学びも広げる
「毎日赤ちゃんが泣いて、困っている……そんなママパパもいるかもしれませんね。赤ちゃんが泣いて保護者を呼ぶのには大きなワケがあるんです。『お腹すいた!』『おむつが気持ち悪い!』など、赤ちゃんにとっての課題があります。そして、泣き声を聞き、ママパパが登場、世話をしてくれる。赤ちゃんは自分のトラブルを解決してくれるママパパに対して、『この人がいれば大丈夫!』という愛着と信頼を寄せるようになります。また、自分が問題を解決したいと思えば解決できるんだという自信、つまり『自己肯定感』を高めていくことができるのです。
反対に、泣いても泣いても誰も来てくれなかったら、誰に対しても愛着や信頼を持てず、自己肯定感を育むことはできないでしょう。
こうしたママパパへの愛着は、子どもの“こころの安全基地”となっていきます。どういうことかというと、見守ってもらえる、一緒に楽しんだり喜んだりしてもらえる、慰めてもらえる、大好きだと受け止めてもらえる、と家庭がこころを許せる居場所になっていくということです。
こんなママパパのもとでは、テレビなどの映像メディアも学習効果の高いものになります。3歳頃になると、子ども一人で画像を見せておくよりも、一緒に見て、大事な場面ではちょっと映像を止めたりして、ママパパが『(主人公の)〇〇ちゃん、どうして泣いちゃったのかな?』『うさちゃん、どこに行っちゃったんだろう?』などオープンクエッションで内容について尋ねると物語の理解が深まるという研究結果が報告されています。
子どもとママパパの信頼関係を築いて、遊びながら、学びも深めていけるご家庭になっていけるとよいですね。」
「ほめる」「叱る」のバランスを会得して権威ある親になろう!
「幼児期は社会のルールなどを伝えていく時期です。子ども仲間の中で学んでいくことも大切ですが、保護者としては発達段階にあったしつけが必要になります。
ここで重要なのは、“ほめる”“と“叱る”のバランスです。ほめるだけ、叱るだけでは、子どもにとっては不十分。目指すべき姿は、愛情や温かさがあり、子どもとのよい関係性のもとで、一貫した監督やしつけができる『権威ある親』です。
その中で特に難しいのが、叱り方です。そこで、子どもを上手に叱る4つのテクニックを紹介しましょう。」
【テクニック1】子どものした行動を叱る
『悪い子だ!』などと人格を否定する言葉は使わずに、何がダメだったのか、どうして叱るのかを伝えましょう。
【テクニック2】その場で、短い言葉で叱る
ダラダラと長く叱るのではなく、何がよくなかったのかを短い言葉で叱りましょう。
【テクニック3】他の子と比較して叱らない
『○○ちゃんはできているのに』『お兄ちゃんはそんなことしなかった』などと他の子やきょうだいとの比較は避けましょう。余分な劣等感につながってしまいます。
【テクニック4】次はどうしてほしいかを伝え、改善を見届ける
叱ったことに対して子どもの行動が少しでも改善していれば、『よくできたね』とほめてあげましょう。
パパの育児参加がママの愛情クライシス対策に!
「パパにも育児は自分の役割だと認識してほしいと考えています。というのも、それがパパのためでもあるからです。『産後クライシス』という言葉を聞いたことはありますか? 【図1】の通り妊娠中は70%以上の妻が『夫を愛している』の項目に『あてはまる』答えているのに対して、子どもが2歳になる頃には『あてはまる』と答えている割合は22%にまで減少します。」
【図1】
出典:ベネッセ教育総合研究所「第1回 妊娠出産子育て基本調査(横断調査) 報告書」(2006年)
「そして、この妻の夫に対する愛情度合いは、子どもの乳幼児期にいかに夫が家事育児を分担したかに関連することがわかっています。
これは、子どもに対しても同様で、0歳台でのパパと赤ちゃんとの関わりが1歳時点での子のパパに対する愛着を深めることがわかっています。つまり、子どもも0歳の時点から、パパがどれだけ自分に関わってくれたかをよくわかっているのです。パパは、ぜひ十分な時間を取って育児に関わってくださいね。
そして、ママもパパも楽しく育児をするために、お互いのプライベートな時間を尊重したり、具体的な役割分担をしたりすることがオススメです。」