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全国初、目黒区「園庭のない保育園」から公園までの送迎バス

更新

都市部では園庭のない保育園(※)も多く、子どもたちが十分に外遊びを楽しめない状況になっています。東京都目黒区では、園庭のない保育園を対象に、子どもたちと保育士を小さなバス(幼児専用車)に乗せて、広い公園へ送迎する事業を実施しています。スタートしたのは2018年の11月。全国で初めての試みだといいます。その小さなバスの名前は『ヒーローバス』。保育園の子どもたちに親しまれるこのバスが運行に至るまでの経緯、実際の送迎の様子を取材しました。

※園庭のない保育園とは…
保育園の認可基準を満たす園庭を確保できないとき、近くの公園などを「代替屋外遊戯場」に指定して認可されている保育園のこと。目黒区では、令和元年10月現在、54カ所ある私立認可保育所のうち、46カ所が「代替屋外遊戯場」を指定。このほか、認証保育所・認可外保育所も十分な広さの園庭を持っていない。

関連:認証と認可の違いは?保育園の種類について

「広い遊び場」+「バス」= 『ヒーローバス』

全国の中でも待機児童数が多かった東京都目黒区。待機児童対策として保育所の整備を進めていく中で、保育施設の増設以外の課題が出てきたといいます。
十分な園庭のない私立認可保育園では、近くの公園に行って外遊びをしているのですが、保育園が増えたことにより、「ほかの保育園と利用が重なってしまってのびのび遊べない」「一般の利用者が使いづらい」といった声が区に届くようになったのです。また、認証保育所や認可外保育所も十分な広さの園庭を持っていないところが多く存在しているとのこと。その現状を実感し、「戸外で走り回り、自然を感じて育つ子どもたちの姿を都市部の保育園でも実現したい」「大きな公園にバスで子どもたちを送迎することができないか?」という思いから、小さなバス『ヒーローバス』のプロジェクトが始まりました。

クラウドファンディングで寄付を募ったのは、都市部の保育所の課題と状況を知ってもらいたかったから

『ヒーローバス』の運行プロジェクトでは、国の補助金(保育対策総合支援事業費補助金)を利用するほか、クラウドファンディング型ふるさと納税による寄付も募りました。そこには「寄付を募ることで、都市部の保育所の課題でもある十分な広さの園庭が取れない状況を知ってもらいたい」「地域で子育てを、との機運を少しでも盛り上げたい」という目黒区の思いがあったそうです。
寄付は61名の人から約250万円集まり、2018年11月に1台目の『ヒーローバス』運行が実現しました。バスの名前の由来は「広い遊び場」+「バス」=『ヒーローバス』。子どもにとってヒーローのような存在にとの思いが込められています。
『ヒーローバス』は道幅の狭い目黒区内に合わせたワゴン車タイプの幼児専用車。子ども18人、大人4人(運転手含む)が乗車できます。3才児クラス以上の子どもが利用でき、現在は2台体制で午前と午後に運行。園庭のない私立認可保育園のほか、目黒区内の東京都認証保育所、認可外保育施設も利用が可能です。今後も利用対象の保育園が増加するため、2020年の4月に3台目の導入を予定しているそうです。

『ヒーローバス』に乗れば、10分くらいで大きな公園に行ける!

保育園に迎えに来た『ヒーローバス』に乗り、大きな公園へ出発!

到着!思いっきり遊べる

自然豊かな公園でのびのび、思う存分体を動かして遊びます。

『ヒーローバス』は目黒区総合庁舎から保育園に出発します。外遊びしやすい時季はたくさんの利用申請があるとのこと。
今回は午後の便に同行させてもらいました。「にじいろ保育園 自由が丘目黒通り」に行って4才児・5才児クラスの園児を乗せ、広大な都立公園「林試の森公園」へ行くものでした。
お昼寝が終わって元気をチャージした子どもたちは、とてもうれしそうにバスに乗り込んできました。「ヒーローバスっていうんだよ」と名前を教えてくれたりして、子どもたちが「ヒーローバス」で公園に行くことをとても楽しみにしているのがわかります。林試の森公園は、にじいろ保育園から徒歩ではとても行けない距離にありますが、バスだったら10分ほどで到着。公園では落ち葉を拾ったり、思いっきり走り回ったり…子どもたちが実にのびのびと自然の中で思い思いの遊びを楽しんでいました。
「保育園の近くは遊べる公園が少ないため、ヒーローバスの運行が始まり、外遊びの機会を増やすことができました。思い切り体を動かす子どもたちの姿を見ていると本当によかったなと思います」と保育士さん。
「ヒーローバスで出かける日は、朝から子どもたちがとーっても楽しみにしています。下のクラスの子どもたちのあこがれでもあるんですよ」とも。
子どもたちが思いっきり戸外で遊べるように…。子どもたちを元気に育てる小さな翼となって今日も『ヒーローバス』は走ります。

関連:おたくマンガ家・御手洗直子「保母さんに萌える、複雑な母心。」

園庭のない保育園の子どもたちを公園に連れて行ってくれる『ヒーローバス』。その取り組みはほかの自治体からの関心も高く、問い合わせもあるそうです。保育園の子どもたちが外で遊べる機会が増やせる取り組みが、ほかの自治体にも広がっていくといいですね。(取材・文・写真/本間勇気、ひよこクラブ編集部)

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