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ヨシタケシンスケさん「普通の子が普通のことをする」絵本、だらしない自分に重ねて

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どこにでもいる子どものイマジネーションの世界を楽しく描く、絵本作家・ヨシタケシンスケさん。2人の男の子の親であるヨシタケさんに、新作『わたしのわごむはわたさない』が生まれたきっかけや、絵本を通じて子どもに、社会に伝えたいことについて聞きました。

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誰もが主人公になれる絵本を描きたい

――新作『わたしのわごむはわたさない』を描かれたきっかけは?

ヨシタケさん: 僕は、今、中1と小2になる子どもがいるんですけど、2年ぐらい前に下の子がゴミ箱の中から輪ゴムを見つけてきて「これ、もらっていい?」って聞くんです。捨てるものだったので「ああ、いいよ」って言ったら、すっごく喜んで。それがすごく面白くて、かわいかったんです。

それぐらいの年齢の子って、自分のものを持つことがすごくうれしいんですよね。とくに下の子は、お兄ちゃんのお下がりを使うことが多かったので。大人でも自分だけのものを手にしたときの喜びはすごく大きい。そこで、“所有権”をテーマに1冊作れたら…と思ったんです。どんなちっぽけなものでも、「自分だけのものは宝物だよね」という感覚に、共感してもらえればいいなと思いました。

――この絵本で、子どもにどんなことを感じてほしいですか?

ヨシタケさん: 読み終わったあとに、輪ゴムをほしくなってもらえたら勝ちですね(笑)。どこにでもあるもので楽しむという物語ですから、どんな子でも主人公になれるんです。僕の絵本は全部そうなんですけど、普通の子が普通のことをしていたり、普通の失敗をして、反省をしなかったりする。それを楽しんでもらえるお話を描きたいなと思っています。

自分を支える松葉杖をみんなが使ってくれた

――ヨシタケさんは、普段から面白いと感じたことをイラストで描き残しているそうですが、そもそもどうして絵を描き始めたんですか?

ヨシタケさん: 僕、もともとネガティブな性格で。でも、大学で絵を描く技術を学んでいく中で、絵に描いて記録することの面白さを感じるようになったんです。自分を楽しませてくれるものを記録する方法は、文章とか写真とかいろいろあると思うんですけど、僕にとってはそれがスケッチだったんです。

――その習慣がイラストや絵本のアイデアにつながって、今では多くの読者を楽しませているって、すごいことですよね。

ヨシタケさん: 僕にとって、生きづらさや歩きづらさを支える自分用の松葉杖が“スケッチ”や“絵”だったんです。「もしあなたに合うようなら、その杖をどうぞお使いください」っていうスタンスだったんですけど、僕が思っている以上に、その杖を必要としてくれる方が多かった。これはもう、運がよかったとしか言いようがないですね。

――ヨシタケさんの絵本は、絶対に子どもを否定しないですよね。お説教をすることもないし、子どもが楽しんでいる姿をただ描いているだけ、という印象です。

ヨシタケさん: 絵本の中で大人も子どもも否定されないのは、僕が否定されたくないからなんです(笑)。ずるずる仕事を先延ばしにするだらしない自分を、どうすれば「なんとかやってるんだから、そのままでいいじゃないか」と許してあげられるのか。その言葉を日々探しているんですよ。自分がダメだから、人のことも怒れないんですよね。みんなを許すから、俺のことを許してくれって考えです(笑)。

絵本も「言うのは簡単だけど、実際はなかなかできないよね」という視点で描いてて。でも世の中を見ていると、僕と同じような人のほうが多い(笑)。だからたくさんの人に「だよね」って言ってもらえるのかもしれないです。

大人も完璧じゃないと伝えればラクになる

――子どもが生まれると、さらにできない自分に向き合わされますよね。

ヨシタケさん: 親になると、自分ができていないことを子どもにやらせないといけない場面が出てくるじゃないですか。だから、頭ごなしに「ダメなものはダメ」と言うのではなく、「大人って結構いい加減で、言うことがコロコロ変わるんだよ」ということを伝えておけば、子どもも許してくれるんじゃないかなと思うんです。大人も完璧じゃないし、お互いそこそこのところで手を打とうっていう、落としどころを提案できるはずで。

――ヨシタケさんの絵本に出てくる大人も、みんな完璧ではないですよね。

ヨシタケさん: 僕は、絵本の中でひとつの理想の形を提案したいなと思っているんです。「この絵本のお母さんのように、子どもの話を最後まで聞いてあげたいな~。とはいえ、毎回はできないよね」という部分まで提案できれば、僕自身も救われるかな、と。「10回のうち、1回ぐらいはあの絵本のお母さんのように子どもの話を最後まで聞こう」って思えたら、争いが1回減るじゃないですか。5年、10年という親子の長い関係性の中で、その1割の変化が違う着地点に導いてくれたらいいなと思っています。

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絵本と同じように、ユーモアあふれる言葉で語ってくれたヨシタケさん。後半では、自身の実体験を交えて子どもや育児について語っていただきます。
(取材・文/川辺美希、ひよこクラブ編集部 写真/ひよこクラブ編集部)

■Profile/ヨシタケシンスケ
1973年、神奈川県生まれ。2013年発売の『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。
最新作『わたしのわごむはわたさない』が現在発売中。

『わたしのごむはわたさない』

作:ヨシタケシンスケ 発売:PHP研究所

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