抱っこしていないと泣く・夕方グズグズ…その理由を発達脳科学の専門家に聞く
「言葉が話せない赤ちゃんにとって、泣くことはコミュニケーションの一つ。要求や気持ちを泣いて伝えようとしています」と、発達脳科学の専門家である成田奈緒子先生は話します。赤ちゃんが泣くのは当たり前とわかっていても、泣き続けたり、タイミングが悪いとどうしたらいいかわからなくなるママ・パパも多いのではないでしょうか。0~8カ月の泣きやませの気がかりを成田先生に聞きました。
生まれたばかりの赤ちゃんは不快が原因で泣くことがほとんど。成長とともに泣く理由が複雑に
1カ月ごろまでは、空腹や眠け、暑い、寒いなどの不快をママ・パパに伝えるために泣くことが多く、不快を取り除かれると泣きやみます。2カ月以降は、不快を伝える泣き方と、甘えたいときの泣き方に違いが出てきます。成長とともに感情表現が少しずつ豊かになり、甘えて泣く以外にも「鼻掃除はイヤ」「うつぶせに疲れたから戻してほしい」など、怒りや要求で泣くことが出てきます。まずは「泣きたいんだね」と気持ちに共感しながら、「どうしたの?」と泣く理由を探って対応して。不快の原因を取り除いても泣きやまないときは、「歌を歌う」「窓の外を見せる」など、好奇心を刺激して気分転換をさせてあげるといいでしょう。
Q 抱っこしていないとずっと泣いています(1カ月)
A
抱っこのどの要素が泣きやませに効果的なのか探ってみましょう。肌の触れ合いに安心するのか、適度な揺れが気持ちいいのか、赤ちゃんによってさまざま。効果のある要素がわかったら、「体をなでなでする」「バウンサーに座らせてゆらゆらする」など、抱っこ以外の方法を試して、気持ちを満たしてあげましょう。
Q 泣きやまないとイライラ。泣きやませることのできない自分が悲しくなります。(1カ月)
A
産後はホルモンバランスの乱れと、疲労も重なり余裕が持てない時期。イライラしたときは深呼吸して気持ちを切り替えてみて。親しい人に電話をするのも気分転換におすすめ。イライラや悲しい気持ちが続くようなら、健診などのタイミングで、助産師やかかりつけ医に相談しても。なかなか泣きやまなくても落ち込まず、「赤ちゃんは泣くもの」と割りきって対応することも大切です。泣くたびに対応することで、赤ちゃんが何を伝えたいのかわかるようになってきます。また、その繰り返しで親子の絆(きずな)が深まり、豊かな人間性もはぐくまれていきます。
Q 夕方になるといつもグズグズ…(4カ月)
A
夕方になると機嫌が悪くなって泣き始め、不快なことを取り除いても泣きやまない状態は「たそがれ泣き」といわれています。個人差はあるものの、3カ月ごろに始まり、6カ月ごろに自然と治まる子が多いようで、しない子もいます。「たそがれ泣き」のはっきりした原因はわかっていません。対応するママ・パパは大変ですが、期間限定と思って、「大丈夫だよ」などと語りかけながら泣きたい気持ちに共感してあげてください。
Q 眠いと泣くのはどうして?(6カ月)
A
赤ちゃんは睡眠サイクルが未発達でスムーズに寝つけない子が多いです。赤ちゃんにとって眠けは心地のいいものではないので、眠くなるとグズグズと寝ぐずり泣きをすることがほとんど。泣きやませよりも、室温・湿度を調節する、照明を暗くするなど、眠りやすい環境づくりを大切にして。昼夜の区別がつき始めたら、毎日早起き・早寝を心がけるとしだいに治まっていくでしょう。
Q 泣きやませにスマホを使うのはよくないの?(8カ月)
A
泣きやませのアプリなどで、音を使ってあやすのは問題ないでしょう。動画は、スマホのブルーライトが視力や体内時計に影響する心配があります。泣きやませるためにスマホの動画を見せるのは、公共の場で泣いたときなど一時的に使う程度にとどめ、長時間の使用は控えましょう。
(撮影/もろだこずえ 取材・文/ひよこクラブ編集部)
赤ちゃんは成長とともに泣く理由が複雑化していき、ママ・パパの対応も変化していくもの。今回は0~8カ月ごろの悩みを取り上げました。赤ちゃんが泣くと対応するママ・パパは大変ですが、泣くという赤ちゃんのサインに対し、こたえてあげることで、親子の絆を深めていきたいですね。
■監修/成田奈緒子先生
(医学博士・小児科専門医)
「子育て科学アクシス」代表・文教大学教育学部教授。発達脳科学の専門家でもあります。
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