「ママの気持ちは赤ちゃんに伝わるから笑顔でいなきゃダメ」説が、実はママを追い詰めている『ふうふう子育て #26』


よく励ましとして使われる「お母さんは笑顔でいないと」「ママの気持ちは子供に伝わるから」という言葉は、母親にとってプレッシャーになることも。青鹿さんが子育てをしんどいと思うことに罪悪感を感じるのは、子供に伝わると思ったからでした。
「ママの笑顔が大事」と言われても……
母の内心が子にすべて伝わるわけがない
子育てをしんどく感じることが多くて落ち込んでいた私に、夫は「しんどいのなら、しんどいでいいんじゃない?」と言いました。私も産前はそう思っていたのですが、あまりそう思えなくなっていたんです。
私には、子育てを「しんどい」と思うことに罪悪感を抱く理由がありました。それは健診や育児相談で「お母さんのしんどい気持ちが赤ちゃんに伝わる」「お母さんがニコニコで育児をしていれば夜泣きしづらいし、離乳食を拒否することも減るのでは」「パパが子育てに参加してくれるのなら、ママはラクだよね!(しんどいと言いづらい空気)」とアドバイスされていたから。どんな相談をしても、最後に言われるのは「ママの気持ちが赤ちゃんに伝わっちゃうから笑顔よ! ママ! 育児を楽しんで!」ということだったのです。
だからこそ、私が心から子育てを楽しんでいないから、ワンオペでもなくツーオペなのに私がしんどいと思ってしまうことがあるから、それが娘のふーみんに伝わってしまい、夜泣きをしたり離乳食をボイコットするんじゃないのかなと思うようになりました。だからしんどいと思いたくないし、娘にも夫にも申し訳ない……そう思って夫に話すと、心底ビックリした顔で「え? うちの子はエスパーなの?」と言ったんです。
夫いわく、親が大声で怒鳴ったり手を出したりしていれば、赤ちゃんも不安になって泣くという理屈ならわからなくもないけど、母親が思ったことが赤ちゃんにすべて伝わるなんてことはないし、それは見方を変えれば赤ちゃんの人間性を無視して母子を同一化するよくない考え方でもあるということでした。
言われてみれば、その通り。確かに、お母さんがニコニコしていれば子供もニコニコしているとは限らないし、思ったことが伝わるなんて言い過ぎだと思いました。
続けて夫は「しんどいはしんどいでいいと僕は思うけど、ユウが何をしんどいと感じるのかを僕は知りたい」と言ってくれたんです。私は「しんどいと思ってはいけない」「しんどいのを隠さなきゃ」と思っていたのですが、「しんどいと思っていい」「カバーし合うために何がしんどいか教えてほしい」と言ってくれた夫に救われました。
常に楽しく子育てできたら一番だけど、親もしんどいと思っていい、自分のしんどさを認めていいと思えるようになった出来事でした。
(編集協力:大西まお)
漫画家 青鹿ユウさんのプロフィール
漫画家。夫と娘と猫と暮らしている。自分の経験、専門家から学んだことを「気軽に楽しく読めて、ちょっとためになる」漫画にしたいと思っている。著書に『今日から第二の患者さん』(小学館)、共著書に『子どものアトピー性皮膚炎のケア』、『ほむほむ先生のアレルギー教室』がある。
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http://aoshikayu.com/
※この記事は、過去に「マイナビ子育て」に掲載されたものです。