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家族を守るためゴミ清掃員に!芸人マシンガンズ滝沢さんが見たゴミ出しの品格

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大ヒットエッセイ本「このゴミは収集できません」の著者であり、パパ芸人のマシンガンズの滝沢秀一さん。最近は、小泉進次郎環境大臣や小池都知事と対談するなどひっぱりだこです。ゴミ清掃員と芸人の二束のわらじをはくことになったきっかけや、著書でも紹介している清掃員生活で発見した「ゴミ出し」の極意の一部をご紹介します。2020年11月22日、たまひよ ファミリーパーク2020オンラインにも出演決定!

「出産費用に40万円必要」。妻のそのひとことでゴミ清掃員に

「マシンガンズ」というお笑いコンビ芸人の僕が、ゴミ清掃員の仕事をするようになったのは、2012年に生まれた最初の子どもの出産がきっかけです。ある日、出産を控えた妻から、「出産費用に40万円必要だから、用意してね」と言われて……。「そんな大金!」と体が震えましたね(笑)。

「びた一文、まけられません」という妻の真剣な表情に、あわてて職探しをすることに。元芸人仲間からの紹介でようやく見つけたのがゴミ清掃員でした。早朝から夕方までの仕事で、休みの融通もきく。お笑いの仕事と両立するには、ぴったりでした。

出産費用のメドがついてホッとする反面、当時の僕は、芸人とゴミ清掃人を掛け持ちしつつ、これからの仕事をどうしていくかという不安や、父親になるプレッシャーに押しつぶされそうでした。今、思うと、「家族を守る」「親として責任を持って子どもを育てる」という現実を受け入れるのが怖かったんでしょうね。

仮死状態で生まれた息子。定収入があってこそ家族を守れる

でも、息子の誕生は、そんな僕の中途半端な気持ちを打ち砕きました。60時間の難産で生まれた長男は、仮死状態だったんです。僕はオロオロするばかりでしたが、妻の「息子の生きるチカラを信じよう」という一言には、母親としての強さを感じました。保育器の中で一生懸命手足をばたつかせている長男を見ていると、「この子が生きていてくれるだけでいい」そう強く思いました。

それまでの僕は「芸人として成功しなきゃ、人生終わりだ」と強く思い込んでいました。その夢が長男の誕生で、「この子が元気に成長する姿を見守りたい」「大きくなったら一緒にキャッチボールをしたい」と変わったんです。ゴミ清掃会社に就職して家族の生活を守ることが最優先になりました。今は、お笑いの仕事は副業と割り切って、両立しています。

想像以上の過酷な肉体労働。一方で、妻は「産後うつ」に

@白夜書房

ゴミ清掃員の仕事は、想像以上に過酷なものでした。真夏の炎天下や冬の寒い朝、雨の日も雪の日も、早朝からひたすらゴミを収集します。重いゴミ袋を何個も持って、収集車まで何度も走って往復します。夕方、ゴミ収集の仕事が終わると、今度はお笑いライブの舞台に出演するなど、スケジュール的にもかなりハードな日々を過ごしていました。

そんな毎日を急変させたのが、妻の「産後うつ」の発症です。ある朝、妻が泣きながら「子どもを抱っこできない。今日は仕事を休んでほしい」と。僕自身体力的・精神的に余裕がなかったせいか、二人目の出産後の妻の様子が少しおかしいのに薄々気づきながら、「そんなものかな」とやり過ごしてしまった。あわてて妻を病院につれていくと、「奥さんは産後うつです。すぐに入院してください」と。目の前が真っ暗になりましたね。

生まれたばかりの娘は乳児院、上の息子は実家に預けて、妻は入院。僕は、朝5時にごみ清掃の仕事に向かい、仕事が終わった後は乳児院の娘の面会と妻のお見舞いをしてから、実家で息子と夕食を食べてひとり自宅へ戻る生活を1〜2カ月続けました。もちろん、一番つらいのは妻でしたが、この先どうなるんだろうと不安ばかりでしたね。

退院してからは、最初は夫婦ふたりの生活からスタート。順番に長男、長女が戻ってきて、半年後にようやく家族4人で暮らせるようになったときは、本当にうれしかったです。妻の負担を減らそうと、僕も家事や育児に積極的にやるようになりました。特に料理なんかは頭を空っぽにして集中できるので、楽しみながらやっています。本にもありますが、弁当は自分でつくっています。

ゴミ出しには、その人の人格が出るもの

@白夜書房

ゴミ清掃員になって、驚かされることがたくさんありました。そのひとつが、ゴミには人格があらわれるということ。いつも集積所が汚れていたり、ゴミ出しのルールが守られていない地域は、やっぱりそこに住む人たちの気持ちがすさんでいる気がします。誰かひとりが「自分だけならいいや」と思うと、それが連鎖してみんながルールを守らなくなるんです。一方で、いつもゴミがきれいに出ている場所は、地域で声を掛け合ったり、お互いさまの気持ちがあります。尖った竹串を箱に入れてケガをしないように捨ててくれるなど、僕たちゴミ清掃員への思いやりを感じますね。

面白いのは、高級住宅街になるほどゴミが少ないということ。安いものをたくさん買って、すぐに捨てればいいという感覚がないんだと思うんです。これからは、そういうふうにみんなが生活スタイルそのものを見直すべきでしょうね。日本のゴミの最終処分場は、平均してあと20年でいっぱいになってしまいます。その先の具体的なことは何も決まっていません。ゴミ処理が有料になったり、ゴミ袋が値上がりする可能性もあります。子どもたちが将来安心して暮らせるように、今からゴミの問題に真剣に取り組むことが、僕たち親世代の責任だと思います。

滝沢秀一
Profile
1976年生まれ。1998年に西堀亮と「マシンガンズ」結成。「M-1グランプリ」準決勝進出を果たすが、2012年ごみ収集会社に正社員として就職。2014年小説家デビュー。2018年に出版したエッセイ「このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景」(白夜書房)がベストセラーとなる。最新刊はコミックエッセイ「ゴミ清掃員の日常 ミライ編」(講談社)。20年10月環境省の「サステナビリティ広報大使」に就任

著書
やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと(白夜書房)
緊急事態宣言で大きく変化したゴミ収集の現場を清掃員の目から生々しく伝えた最新刊!


「ゴミ清掃員の日常」「ゴミ清掃員の日常 ミライ編」(講談社)
読むと分別したくなる!と、大ヒットしたコミックエッセイ。ゴミ清掃員の滝沢さんから見たゴミだしのマナーやコロナ禍における新しいゴミの出し方などがつづられている。漫画を描いているのは、素人の滝沢さんの奥さんというのも注目。


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取材・文/工藤千秋 写真/久富健太郎

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