元テレビ朝日アナウンサー 竹内由恵 妊活体験談 「結婚、退職、そして妊活。」
「仕事」と「妊活」の両立は難しく、仕事は妊活を進める上で大きな壁として立ちはだかることがあります。
テレビ局勤務のアナウンサーとして活躍していた竹内由恵さんはどのように考え、どんな選択をしたのでしょうか。
竹内由恵さんの妊活振り返りインタビュー<前編>は、「結婚、退職、そして妊活。」について当時どのように向き合ったのか、妊活たまごクラブがお聞きしました。
テレビ朝日のニュース番組『報道ステーション』のキャスターなどを務めていた竹内由恵さんが結婚したのは2019年3月、33歳のとき。
同年12月にテレビ朝日を退社し、静岡県に生活の拠点を移しました。
「子どもについてどう思う?」結婚前から話し合いました
●竹内由恵さん(以下竹内由恵)「交際を始めて数ヶ月のころ、彼の静岡転勤が決まったんです。すでに2人とも結婚しようという雰囲気にはなっていたのですが、まだ具体的な話は進んでいなくて。あるとき、2人で『子どもについてどう思うか』という話をしました。お互いに『子どもは欲しい』。だったら一緒に静岡に移り住んだほうがいいんじゃないかということになりました」
静岡への移住は、実は妊活のためでもありました。ただし迷わず決めたわけではなく、竹内さんにはさまざまな葛藤があったといいます。
●竹内由恵「当時、私は『報道ステーション』を任されて1年もたっていないころ。周りに対して『ここで辞めるのは申し訳ないな』という気持ちがありました。なんとか東京で仕事を継続しながら、結婚生活を送ることはできないか…たとえば週末婚とか。私は会社を辞めずに済む方法を提案しようとしました。でも『夫婦が別々に暮らして、週末だけ会うというのは難しいんじゃないか』とも思えて…。私としては、そこで大きな選択を迫られたような感じでした」
さらに夫が話した言葉に、竹内さんは気づかされたことがありました。
●竹内由恵「『妊娠にはタイムリミットがあるよね』と言われたんです。私はそれまで周りから妊活を急かされたことはないし、周囲にはバリバリ働いているキャリアウーマンが多かったので、私自身もまだまだ大丈夫だろうと思っていました。ただ、30歳を過ぎてから『子どもが欲しい』という気持ちは強くなっていました。あせっているわけではないものの、30代が1年1年過ぎていき、よくよく考えたら『そろそろ結婚して子どもを持つことを真剣に考えなきゃいけないな』という年齢に。夫から『タイムリミットがある』と言われたことが、あらためて自分の年齢と向き合うきっかけになりました」
仕事に恵まれ、充実した日々を送っていた竹内さんですが、仕事を続けるか、結婚生活と妊活を優先するかの二択を迫られることに。
●竹内由恵「そこで私は『まずは家庭を築くことを優先しよう』と考えました。家庭を築く作業においては初心者ですし、私は一つのことに集中するタイプなので、一度仕事をお休みしてみるのもいいのではないかと思ったんです。そうしないと結果としてどちらかが中途半端になってしまいそうだな、と。まずは一つに絞る姿勢でスタートしたほうがきっとうまくいく、と考えました」
結婚前から将来の子どもについて話し合いをしていた竹内さんご夫婦。時にはこんなやり取りも。
●竹内由恵「夫は『仕事を優先して妊活を先延ばしにしてしまったら、もし授かれなかったときに後悔するかもしれない。でも今、妊活を優先して、それでも授かれなかったら、最善を尽くしたということで納得はできる』と言いました。あとは『高齢出産は出産や子どものリスクも高くなる』とも。正論すぎて何も言えなかったけれど、私も『そうだよね』と納得。このとき何度も話し合ったからこそ、最終的に足並みをそろえて妊活に臨むことができました」
もちろんそうでない選択もあるだろうし、仕事を辞めない人の考え方も尊重している、けれど自分としてはと真摯に話してくれました。
早くから婦人科に通い自分の体の状態をチェック
こうして結婚した竹内さん。静岡に移り住み、妊活を始めるにあたっては、それまでの健康管理が役立ったといいます。
●竹内由恵「局アナ時代に婦人科健診を受けたとき、『多嚢胞性卵巣症候群(※排卵に障害を来し、不妊の原因にもなりうる病気)の可能性がある』という診断を受けたことがありました。不規則な生活を送っていたこともあり、自分の体への不安を抱えていたので、その後は毎月婦人科に通って体の状態をチェックしてもらうように。普段から基礎体温を測ったり、生理のときに自分の体はどうなっているのかをチェックしてもらったりすることで、自分の体や将来のことへの意識が高まりました。おかげで妊活を始める際も、スムーズにスタートできたと思います。『今すぐ妊活』という人じゃなくても、女性は早めに婦人科に足を運んで、自分の体の状態をチェックしておくことをおすすめします」
本格的に妊活を始めるに当たり、まずは静岡でのクリニック探しからスタート。
●竹内由恵「それまでは東京の婦人科クリニックに通っていましたが、やっぱり通いやすいほうがいいと思い、静岡で探すことに。新しい土地での病院探しに戸惑いましたが、幸い夫の兄夫婦に子どもが2人いたので、近場でおすすめの病院をいくつか教えてもらい、私は不妊治療も行っているところに通うことにしました。自分の体に不安があったし、年齢も若くはない。もし、なかなか授かれなかったらスムーズに次のステップに移れるように、と考えてのことです」
東京ほどクリニックがたくさんあるわけではないので、選択肢は多くはありませんでした。それでも自宅から通いやすく、親身になってくれる医師のいるクリニックが見つかってひと安心。
●竹内由恵「クリニック選びでは医師との相性も大事だと思います。私が通ったクリニックの先生は丁寧に説明してくださるかただったので、安心できました。何か不安に思うことがあれば、先生にすぐ相談。とことん聞いて、納得できるようにしました。医師との相性をはかるためにも、最初はいくつかのクリニックに足を運んでみるのもいいと思いますよ」
本腰を入れて妊活に臨んだ竹内さん。医師の指導の下、まずはタイミング法にトライ!
●竹内由恵「夫と相談して、『夏までにタイミング法で授かれなかったらステップアップしよう』と期限を設けました。私はできれば2人くらい欲しいという思いがあり、それを考えれば早く進めたほうがいいな、と」
でも、すぐには授かることができませんでした。
●竹内由恵「実際に妊活を始めてみると、月に一度しかないタイミングを合わせるのって意外と難しいんですよね。毎月毎月タイミングが来るのが長く感じられて……。毎回『できなかった』と落ち込んでいました」
心が折れそうになることもしばしば。そんなとき心の支えになったのは、ご主人の存在でした。
●竹内由恵「妊活に関して相談できるのは夫だけ。『今回もできなかった』『今後もできないかもしれない』とウジウジする私に、夫は『そんなことないよ』『みんな、そんな簡単に授かっているわけじゃないから、まだまだ大丈夫だよ』と、いつも励ましてくれました。そのおかげで気持ちを落ち着けることができました。あとは、『夏まで』とタイムリミットを決めたことも私にとってはよかったかも。『ここまでやってダメだったら次のステップに移るから、それまでは頑張ろう』と、気持ちを奮い立たせることができました」
妊活エッセイ漫画「人生の選択」
竹内由恵さんインタビュー<後編>では、不妊治療の経過や、静岡での新生活のことなどをお聞きしました。ぜひご覧ください!
竹内由恵さんの妊活STORY
●2019年3月:結婚
●2019年12月:テレビ朝日を退社
一般男性と結婚し、退社。結婚を決める前に子どもについてしっかり話し合った!
●2019年12月:静岡県へ移住・妊活スタート!
クリニックに通い、タイミング法からトライ。すぐには授からず、落ち込むことも……。
●2020年9月:妊娠を発表
体調が安定したところで公表。
●2021年1月:第1子を出産
第1子となる男の子を出産!
●竹内由恵 Profile
1986年生まれ、東京都出身。2008年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとしてニュース報道、スポーツ、音楽、バラエティー番組などで活躍。2019年に退社し、静岡県へ移住。現在はフリーとして幅広い分野で活動中。インスタグラムでは仕事や静岡での暮らしぶりのほか、マタニティライフを描いたマンガも公開。
●取材・文/本木頼子
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