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【医師監修】無痛分娩を希望した場合、病院を決めてから出産・退院するまでの流れを解説

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妊娠と出産
※写真はイメージです。
blueshot/gettyimages

無痛分娩を行うことにした場合、妊婦さんはどのように行動し、どのようにサポートを受けて、出産できるのか。そして入院中はどのように過ごすのかまで詳しく紹介します。

無痛分娩、病院を決めてから出産を迎えるまで

まずは自分が希望するタイプの無痛分娩が可能な医療施設を探すところから始まります。なるべく早く希望する施設に健診の申し込みをして、定期的に妊婦健診を受けます。そして施設によって多少違いはありますが、無痛分娩が可能かどうかのチェックを受けてから、無痛分娩の申し込みをするのが一般的です。

無痛分娩をする妊婦さんの妊娠中の過ごし方

どんな出産方法を選ぶ場合でも、妊娠中の過ごし方に変わりはありません。ただ、無痛分娩を希望する場合は、無痛分娩についての知識を自分から積極的に得て、理解しておくことは必要でしょう。医療施設の中には、無痛分娩の講習会を開いているところもあるので、ぜひ参加しましょう(参加が必須のところもあります)。

「無痛分娩は産科の先生や助産師さんがいろいろしてくれるから」と受け身な状態でいるのは問題です。お産の進み方、赤ちゃんがどのように生まれ、お産の時にはお母さんがどのような姿勢でどのようにいきむといいのかなど、知っておくことはどんな分娩方法であっても重要なのです。
また、お産のときに正しい呼吸法を行うことやリラックスすることには、陣痛の痛みをやわらげてくれる効果があります。無痛分娩をする人でも、呼吸法やリラックス法が併用できれば、さらに安心してお産に臨むことができます。ぜひ学んでおくことをおすすめします。

「無痛or和痛」の相談も…麻酔科外来の診察とは?

無痛分娩を希望する人は、麻酔科外来の診察(麻酔科医による診察)を受けるのが一般的です。その際に行われるのは、だいたい以下のようになります。

硬膜外鎮痛や無痛分娩について、副作用などについての説明

麻酔科医が麻酔について説明します。施設によって、個別に行われる場合や、講習会という形で行われる場合もあります。不安や疑問があれば、このときに聞いておくといいでしょう。

硬膜外鎮痛(硬膜外麻酔)が可能かどうかの確認

麻酔薬を使うことに問題がないかどうか、既往歴やアレルギーの有無を確認します。また、背骨の触診をするなどで麻酔の処置を行えるかどうか、行う際の難易度を確認します。

ちなみに、以下のような場合は硬膜外鎮痛<こうまくがいちんつう>を受けられません。

・出血しやすく血が止まりにくい
・腰痛の手術で人工物が挿入されている
・針を刺す場所に感染がある

以下の場合も無痛分娩を受けられないことが多いですが、状況によっては可能なこともあります。

・病的な肥満
・腰椎の手術をしたことがある
・側弯症<そくわんしょう>など脊椎<せきつい>の変形がある
・脊髄>神経疾患がある
・局所麻酔アレルギー

無痛分娩を希望する人のお産入院日の決め方は?

入院日の決定は、医療施設の方針によって異なりますが、だいたい以下のような3つのタイプに分かれるでしょう。

妊娠8カ月ごろに出産予定日付近に決定

完全に日にちを決めて分娩に臨むタイプの計画無痛分娩では、事前に無痛分娩が可能かどうかのチェックを受け、OKであれば妊婦さんの希望も取り入れて入院日が決まることが多いでしょう。

妊娠37週以降に健診を受けた様子で決定

計画無痛分娩でも、自然な陣痛が起こりやすいタイミングを見計らうタイプでは、37週以降の健診で子宮口の開き具合や赤ちゃんの下がり具合などを確認し、最終的にOKと判断した時点で基本、医師が入院日を決めることになります。

お産が始まったところで入院

自然に陣痛が始まってから硬膜外鎮痛を行うタイプの無痛分娩の場合は、当然ですが事前に入院日は決めません。自然分娩と同様、陣痛が10分間隔(経産婦では15分ぐらい)、または破水した時点で入院します。

無痛分娩開始からの流れ

計画無痛分娩か、自然な陣痛を待つタイプかによって開始時の様子は多少違ってきますが、麻酔薬投入後の流れについてはだいたい同じです。どのタイミングでどんなことが行われるのかを紹介します。

入院から子宮口全開大になるまでの様子

入院

計画無痛分娩の場合は、分娩日の前日に入院するのが一般的です。入院し着替えを済ませたら、手に点滴の針を刺す痛みを取るシールを貼ります。その後、水分補給などのための点滴を始め、赤ちゃんの心音確認を行います。

カテーテルの挿入

その後、硬膜外にカテーテルを挿入するために、針を刺す背中の消毒を行います。その後、腰の真ん中に局所麻酔の注射を行います。
局所麻酔の注射には少し痛みがありますが、予防接種や歯科治療の局所麻酔と同程度で、我慢できないほどではないと思います。痛いのはここだけで、あとは痛みはなく、カテーテルの挿入は10分ほどで終了します。カテーテルを挿入したあとはテープで固定するので、あお向けで寝ることもできます。

子宮口を広げる処置

産科の診察を行い、子宮口の開き具合を確認します。その結果に応じて、子宮口を広げるためのバルーンという器具を入れたり、ラミナリアという管を入れたりします。その後は夕食をとり、就寝となります。

分娩開始

翌日、診察を行った後、心電図や胎児心拍監視装置などを取り付けて分娩開始の用意をします。この時点から指定の水分を飲むことはできますが、絶食になります。
陣痛促進剤は、赤ちゃんの状態を観察しながら、点滴で少しずつ必要最低限の量を注入します。陣痛促進剤を使い始めると、徐々に陣痛を感じるようになります。陣痛がある程度強まってきたところで麻酔薬の使用を開始します。

自然な陣痛を待って無痛分娩を開始するタイプでは、ここからの入院になります。自然分娩と同様、まず産科の診察を行い、分娩開始と判断したところで点滴の準備や心電図や胎児心拍監視装置などを取り付けて分娩開始の用意を行います。その後、硬膜外にカテーテルを挿入します。

無痛分娩開始

麻酔薬を使い始めるタイミングは、施設によって異なり、産婦さんの希望ですぐに開始するところから、陣痛が強まるまで待つところまでさまざまです。
麻酔薬は、事故を防ぐため、テスト注入を行ったあと注入量を確認しながら2~3回にわけて注入します。また、効き具合を確認するために保冷剤などを産婦さんの体に当てて感覚を確認したり、定期的に血圧を測るなどしながら進めていきます。
麻酔が開始されると、20~30分で痛みはほぼ感じなくなります。30分~1時間で効果が薄れるため、薄れた時点で麻酔薬を追加します。持続的に薬を少量ずつ適宜追加していく場合もあります。
施設によっては、PCAポンプという注入器具を導入しているところもあります。これは、産婦さんが自分の判断で麻酔薬を注入できる器具で、安全な量しか注入できないように設定されています。安全にかつ産婦さんが満足できるタイミングで注入できるというメリットがありますが、麻酔効果の調節が難しいことも。また日本ではまだ導入されている施設は少ないのが現状です。

無痛分娩が始まったら、自力での歩行はできません。けれども痛みがなくリラックスして過ごせるので、子宮口が全開大になるまでの間、音楽を聴いたり本を読んだり、家族と話したりと自由に過ごすことができます。またベッドの上であれば体を動かすことはできるので、できるだけ足を動かしたり姿勢を変えて血栓予防をしつつ、分娩が進むのを待ちます。

出産直前

子宮口が全開大になったら、分娩室が別にある場合は、ストレッチャーで分娩室に移動します。赤ちゃんの様子を観察しながら過ごし、赤ちゃんが子宮口付近まで下りてきたら、助産師のアドバイスにあわせていきみ始めます。

出産

産道の出口で赤ちゃんがなかなか出てこられない場合は、赤ちゃんを早く出すために鉗子や吸引カップを使って、器械分娩を行うこともあります。また、会陰部の裂傷を防ぐために会陰切開を行う場合もあります。この時点でも麻酔が効いているので、痛みを感じることはありません。赤ちゃんが生まれ、会陰の切開部の縫合が終わったら、麻酔は終了となります。

出産後

赤ちゃんが生まれたあとは、自然分娩と同様、母体と赤ちゃんの状態を確認し、問題がなければ赤ちゃんとスキンシップ(母子早期接触)を行うことができます。2時間ほど分娩室で経過観察を行ったあと、カテーテルを抜いて、入院室に移動します。万が一、麻酔薬の副作用が続いている場合は、症状を抑える治療を行うこともあります。後陣痛の痛みがつらい場合は、内服の痛み止めを服用します。

その後は普通分娩(自然分娩)と全く同じです。母乳に麻酔薬が影響することもないので、自然分娩と同じタイミングで授乳を始めます。翌日、分娩時の傷や子宮の回復を診察し、問題がなければ、シャワー浴を開始します。3日後に退院診察を行い、順調であれば、4日後に退院となります。

無痛分娩の場合は体力の消耗が少なく、産後の回復が早いので、出産当日から元気で穏やかに過ごしている人が多いです。また出産後の達成感・満足感、赤ちゃんに対する愛情は、痛みの有無とは関係ありません。分娩方法について学び、理解し、納得して分娩に臨んだ人たちは、どんな方法でも十分な達成感や愛情を感じているものです。

また、産後うつを発症する割合が10人に1人という昨今ですが、海外の研究では、無痛分娩で出産した人のほうが、産後うつになりにくいというデータもあります。その理由はまだ定かではないですが、出産した当日から体調がよく、心に余裕があることは、少なくとも育児開始の時点では、前向きに取り組む気持ちになりやすいとはいえるでしょう。

近年、無痛分娩の認知度が高くなり、関心も増えてきています。その分、情報が増えて妊婦さんや家族が知識を得やすくなっていることはとてもいいことだと思います。半面、インターネットの時代の中、情報が氾濫し正しい情報を得るのが難しくなっているところもあります。そこでぜひ、みなさんには自分から能動的に情報を処理し理解し、自分にあった分娩方法や分娩施設を選んでほしいと願っています。


取材・文/笹川千絵、ひよこクラブ編集部

無痛分娩の大まかな流れがわかって、「ぜひ無痛分娩にしたい」と思った人も少なくないのでは? どんなお産でも避けて通れないリスクはありますが、「妊婦さんの能動的な行動で少なくすることは可能」と先生は言います。ぜひ、いろいろな知識を取り込んで、希望をかなえてくださいね。

監修/【産婦人科医】林 聡先生(はやし さとし)

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