2021年夏を過ごす妊婦必見!夏のトラブルwithコロナ時代の注意点
熱中症や冷房での冷え、食欲の低下など、夏に起こりやすいトラブルや不調は、妊娠中はさらなる注意が必要です。今は新型コロナウイルス感染症にも気をつけなければなりません。おなかの赤ちゃんを守りながら、ママ自身も快適に過ごすためのコツや注意点をママ産婦人科医とベテラン助産師さんに教えてもらいました!
過酷な夏を乗りきるために、妊娠中の注意点を知っておこう!
毎年、全国的に猛暑日が多く、外出していなくても熱中症を起こしやすくなっています。妊娠中期までは体温が平熱よりも0.5度くらい高く。妊娠後期には平熱に戻りますが、新陳代謝が活発になるため、普通に歩いていても早歩きをしているような暑さに。さらに血液量の増加により、多くの水分が必要になるので、脱水傾向が。夏はとくに注意が必要です。
夏のいちばんの問題… 暑さ対策の正解は?
――Q. 暑さをガマンすると熱中症になりそう。だからといって、冷房は体が冷えてよくない!?
A. エアコンの設定温度は25度前後に
上手に使って、冷やしすぎに注意!
外の気温に関係なく、赤ちゃんを包む羊水の温度は一定に保たれます。ママが暑いのを我慢して、真夏に冷房なしでは、熱中症や脱水、体力低下などの恐れも。設定温度は25度前後を目安に、冷風を体に直接あてたり、冷やしすぎたりしないようにして、上手にエアコンを使いましょう。
――Q. 体が冷えると赤ちゃんや妊娠経過に影響しますか?
A. 赤ちゃんに影響はないけれど、ママの体調不良が心配…。
ママの体の冷えが、直接おなかの赤ちゃんに影響することはありません。ただ、ママの体が極端に冷えると血流が悪くなり、脚がむくんだり、おなかが張りやすくなったりします。室内で寒さを感じたら、設定温度を上げたり、外出先なら上着やストールをはおるなどの工夫を。
――Q. 新型コロナ対策で、暑くても室内の換気をしたほうがいいの?
A. 夏でもこまめに換気を。できれば窓とドア、2カ所開けて
気温が高くても、新型コロナ感染予防の面から換気をしたほうがいいでしょう。その場合は、エアコンを使い、窓とドアなど2カ所開けて、風が通るようにすることをおすすめします。換気で室温が高くなった場合は、エアコンの温度を再設定して調節しましょう。
妊娠中の熱中症対策は、ここに気をつけよう!
●10~15時の時間帯、外にずっといるのは避ける
●毎日の気温をチェック。30度以上の日は要注意
●のどが渇く前に小まめに水分補給をする
●換気をした上で、エアコンや扇風機で部屋を25度前後に保つ
●部屋の湿度を60%以下に保つ
●日ごろから睡眠をとり、体調に気をつける
●塩分摂取は普段どおりの食事からでOK
●通気性、吸湿性のいい下着や衣類を身に着ける
●汗をかいて失われがちなミネラルを緑黄色野菜や海藻類などをとって、補給する
夏はとくに気をつけたい! 妊娠中の感染症・食中毒対策
夏は細菌、真菌などが増殖しやすい環境。また暑さで食べ物の鮮度が落ちるスピードも速まります。妊娠すると、免疫機能が低下するため食品から感染を起こしやすくなります。また、夏に流行する感染症や年間を通して注意したい感染症もあります。
――Q. 妊娠中は生ものを食べないほうがいいの?
A. 胎児に影響を及ぼす場合も。妊娠中はできるだけ避けて
モッツアレラチーズやカマンベールチーズ、スモークサーモンなど非加熱で減菌消毒されていない乳製品や食肉加工品、魚介類加工品にはリステリア菌が存在する可能性が。妊娠中は感染しやすく、流・早産の原因になった例も。十分に加熱して食べるようにして。また、トキソプラズマは、加熱が不十分な肉、ネコのふんや土などに寄生する原虫。妊娠中に初感染した場合、胎児にも感染が心配されるので注意が必要です。食べたら必ず感染するわけではありませんが、生肉(非加熱食肉・乾燥食肉のもの)は避けましょう。
そのほか、連休などの帰省や普段の食べ物・生活で気をつけること
――Q. 自家用車で帰省を検討中。注意したほうがよいことは?
A. 小まめに休憩をとり、水分補給を。車内でも手足を動かして
公共交通機関よりも、自家用車のほうが感染症のリスクは減ると思われます。ただし、長時間同じ姿勢でいると、血栓症のリスクが高くなるのと、気温が高いなかでの移動のため、長距離の場合は、こまめに広い空間で休憩をとり、水分をとるようにしましょう。また、張り止めや血圧の薬などを服用しているなどの場合は、帰省しても問題ないか主治医に確認を。
――Q. アイスや冷凍フルーツがやめられません…
A. 毎日は控えて。フルーツは片手のひらにおさまる量で
アイスを習慣にしていると中性脂肪を蓄えることになるので、毎日ではなく2~3日に1個、たまのごほうびにしましょう。どうしても冷たい甘いものがやめられない場合は、冷凍フルーツのほうがベター。それでも、片手のひらにおさまる量にとどめましょう。
――Q. 毎晩寝苦しくて寝不足ぎみ。ぐっすり眠りたい…
A. ぬるめのお湯にきちんとつかって。抱き枕などのアイテムを試しても
暑さ、胎動、頻尿などで眠りが浅くなる人は多いでしょう。快適な睡眠環境になるように冷房を上手に使いましょう。また快適な睡眠には入浴も大切。38~39度程度のお湯に5~10分つかったほうがリラックスできます。抱き枕などのアイテムを使うのもいいでしょう。
監修/土屋裕子先生、岡本登美子先生 撮影/井手孝高 取材・文/茂木奈穂子、たまごクラブ編集部
2度目のコロナ禍の夏…。しかも今年はオリンピックなどで、人の移動が多くなると予想されています。妊娠中のママたちも、心配事が尽きないでしょうが、感染症に気をつけながら、ママの体や赤ちゃんにストレスのないように、過ごしてくださいね。この暑い夏を乗りきりましょう!
参考/『たまごクラブ』2021年7月号「暑さ・夏バテ・冷房での冷え…withコロナ時代の新常識をチェック! この夏、妊婦が気をつけるべきことすべて」