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妊婦の5人に1人は帝王切開。コロナ禍、緊急帝王切開の可能性について事前に知ろう【専門家】

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産科医出産フラットイラスト
※写真はイメージです
UnitoneVector/gettyimages

近年、日本全体の平均では約5人に1人の妊婦さんが帝王切開で出産をしています。この5人に1人というのは予定帝王切開と緊急帝王切開の両方を合わせた数字ですが、コロナ禍で両親学級などが中止となり、正しい情報を得られず不安に思う人も多いようです。また「緊急」の場合は、「まさか私が」と思う妊婦さんがほとんどです。その状況になった時にあわてたり、後悔したりしないように、帝王切開について知っておきたいことを、中部大学准教授で助産師の横手直美先生に聞きました。

妊婦ならだれもが帝王切開になる可能性が

帝王切開には、計画的に行われる「予定帝王切開」と、経腟(けいちつ)分娩を予定していたものの、妊娠中やお産の進行中に何らかのトラブルで急きょ行われる「緊急帝王切開」があります。

「日本では帝王切開出産となるうちの、約半数は緊急帝王切開です。だれもが帝王切開となる可能性があるにもかかわらず、なかなか正しい情報を得て、心の準備をする機会がないのが現状です。さらにコロナ禍で、両親学級も中止、立ち会い出産や面会も控える産院が多い中、妊婦さんやママたちは情報不足で、さらに不安になりやすい状況に置かれています」(横手先生)

どんな時に緊急帝王切開となるの?

では、どのような状況で緊急帝王切開が行われるのか横手先生に教えてもらいました。

「お母さん側に理由があって緊急帝王切開になるケースは、赤ちゃんが生まれる前に胎盤がはがれ、子宮内の出血が多くなってしまう『常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)』、何らかの理由により分娩が長引いたり、分娩が進行しなくなったりしてしまう『遷延(せんえん)分娩・分娩停止』、妊娠がきっかけで重度の高血圧になってしまう『重症妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)』などがあります。

赤ちゃん側の理由としては、『胎児機能不全(胎児心拍異常)』といって、赤ちゃんの健康状態に問題がある、胎児の心音に異常なパターンがみられることが多いです」(横手先生)

緊急帝王切開手術はどのように進むの?

基本的には予定帝王切開と同じように、術前処置があります。手術開始からおよそ5~10分で赤ちゃんが誕生します。手術時間の目安はだいたい30〜60分で、主な流れは以下のとおりです。

・術前処置/点滴、導尿、剃毛、術前検査(心電図、採血、胸部レントゲン)
・麻酔/多くは局所麻酔、まれに全身麻酔の場合も
・切開/おなかを切開する(切開の方法は医師の判断による)
・誕生/赤ちゃんを取り出す
・縫合/子宮を縫い、皮膚は医療用ホチキスや医療用テープ、とける糸などで閉じる
・術後/回復室へ戻り、経過をチェック

横手先生によると「緊急帝王切開の特徴は、手術決定から赤ちゃん誕生までのスピード。一刻を争うこともあるため、術前処置については緊急度によって変わり、同時進行することもある」とのことです。

緊急帝王切開手術後のママは「もやもや」を抱えやすい

経腟分娩を予定していたものの、急きょ緊急帝王切開になったママたちは、産後に「もやもや」を抱えてしまうことが多いそうです。

「いきなり緊急帝王切開になると、手術自体の必要性は納得できたとしても、心は準備不足です。赤ちゃんが無事に生まれても、たとえば『体重が増えすぎたからかな』と自責の念に駆られたり、『下から産めなかった』と喪失感を抱いたりしてしまうことも。予定していたバースプランがかなえられない結果となり、ひどく落胆するママもいます。

出産に限らずどんなことでも、正しい情報を得て、自分で選んで決めたことは後悔が少なく済みます。出産について、経腟分娩だけでなく緊急帝王切開の知識を持っておくことは、手術への恐怖や不安、産後の『もやもや』を防ぐことにつながります。

私たち研究チームが行ったローリスク妊婦さんへの介入研究では、緊急帝王切開の教育プログラムを受けた人たちのほうが受けていない人たちよりも、産後うつのリスクが低かったということもわかっています」(横手先生)

情報不足に加えて、日本ではいまもなお自然分娩志向が強い面があり、古いイデオロギーが偏見を生んでいることも。

「ママ自身が帝王切開に納得していたとしても、周囲の人から心ない言葉をかけられ、落ち込んでしまうこともあります。ママ友との会話でも、自分から『帝王切開で産んだ』と言えない人も多いのです。

産後のママの心の健康のためにも、子育てを楽しむためにも、すべてのママやパパ、祖父母にも、『もしもの時は帝王切開という出産方法もある』ということを頭の隅に入れておいてほしいです」(横手先生)

お産の振り返りをすることで育児に前向きになれる

お産の経験や不安な気持ちを誰かに聞いてもらうことも、前向きに育児を楽しんでいくために必要なことだそうです。

「できるだけ産褥(さんじょく)入院中に、助産師や看護師に、出産の体験や産後の気持ちなどを積極的に話して、聞いてもらうことはとても大事です。施設によってはバースレビューというお産の振り返りをするところもあります。
自分の思いを言葉にすることで、自分の本音に気づき、心の整理ができることもあります。『手術は想定外だったけれど、頑張ったからこそ赤ちゃんが元気なんだ』とママ自身が納得することが大事です。

産後すぐは気づかなくても、退院後にネガティブな気持ちが出てきた時は、産院、新生児訪問の助産師や保健師、保健所の子育て相談などで相談してみましょう。つらい気持ちを1人で抱え込まず、ぜひいろんな人を頼ってほしいと思います」(横手先生)

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

お話・監修/横手直美(よこてなおみ)先生

妊娠・出産は何が起こるかわからないもの。経腟分娩だけでなく、帝王切開について知っておくことも、産後うつや心のもやもやを回避するためのリスクマネジメントの一つとも言えます。ママとパパ、一緒に正しい知識を持って赤ちゃんを迎える準備をしましょう。

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