「つわりは重いの?」「発育差は大丈夫?」双子妊娠ならではの不安・気がかりQ&A【専門医】
双胎妊娠ならではの妊娠経過や生活の注意点など、単胎ママとは違うことがいろいろあります。多くの多胎ママたちを診てきた東京かつしか赤十字母子医療センターの林 瑞成先生(第一産科部長)と鈴木佳恵さん(助産師)に、アドバイスをいただきました。
体調・生活の気がかり
多胎妊娠は、単胎よりもリスクが高いので、妊婦健診の回数も多くなります。妊娠6カ月からは、一絨毛膜性双胎(いちじゅうもうまくせいそうたい)は毎週、二絨毛膜性双胎(にじゅうもうまくせいそうたい)は隔週になる病院が多いでしょう。健診は必ず受けることが大切です。
また、多胎妊娠は切迫早産などで入院になる率が高いので、いつ入院しても大丈夫なように心構えをしておきましょう。
Q. 多胎だと、つわりは重くなる?
A. 重くなりやすいという報告も
もちろん個人差もありますが、多胎の人は、つわりの症状が重くなりやすいという報告があります。不安など精神的なものも影響すると考えられています。
ただし単胎・多胎にかかわらず、ほとんどの人が妊娠15週ごろまでには症状が落ち着きます。それまでは、病院に相談しながら乗りきって。
Q. リスクが高いから、あまり動かないほうがいい?
A. 妊娠経過が順調なら、日常の家事程度はOK
妊娠経過が順調で、医師から安静の指示が出ていなければ、日常の家事程度は問題ありません。産後の育児に必要な筋力の低下を防ぐために、ストレッチ程度はしたほうがいいでしょう。
ただし、単胎の場合と違い、切迫早産のリスクがあるので、「安産のために、運動を」と、考える必要はありません。
赤ちゃんの気がかり
双子それぞれに胎盤がある二絨毛膜性双胎(にじゅうもうまくせいそうたい)よりも、1つの胎盤を共有する一絨毛膜性双胎(いちじゅうもうまくせいそうたい)のほうが、リスクが高くなります。一絨毛膜性双胎の場合は、「双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)」のリスクも考慮しながら、医師は妊娠経過を見守っています。
Q. 双胎間輸血症候群ってなに?
A. 1人の赤ちゃんに血液量が偏る状態です
一絨毛膜性双胎(いちじゅうもうまくせいそうたい)の場合、双子の臍帯の血管は胎盤の中でつながっています。どちらかの赤ちゃんに血液量が偏ると、成長や羊水量にアンバランスが生じ、その結果、重い合併症を発症するリスクがあります。双胎間輸血症候群と診断された場合は、管理と治療が必要になります。
Q. 双子の発育差があっても大丈夫?
A. 危険な発育差は医師が注視しています
赤ちゃんの発育差は、「大きい胎児の体重」から「小さい胎児の体重」を引いて、「大きい胎児の体重」で割った数式で計算します。計算の結果、発育差が15〜25%の場合は、注意が必要です。そして、赤ちゃんの発育がかなり心配される場合は、管理入院になります。
一絨毛膜性双胎の場合は、双子の発育差や羊水量の差が、双胎間輸血症候群の前兆となります。
(大きい胎児の体重-小さい胎児の体重)÷大きい胎児の体重=発育差
Q. 1人が、さかご。どうしたらいい?
A. 妊娠経過に影響はないので、心配しなくて大丈夫
さかごが妊娠経過に影響することはないので、心配しなくても大丈夫です。
ただし、出産が帝王切開になる可能性は高いでしょう。一般的には、妊娠32週以降で赤ちゃんが2人とも推定体重1800g以上の場合、上にいるほうの赤ちゃんだけがさかごなら、経腟分娩になるケースもあります。しかし、それ以外は帝王切開出産になるでしょう。
監修/林 瑞成先生、鈴木佳恵さん 取材・文/栗本和佳子、たまごクラブ編集部
双子を妊娠しているママは、心身への負担が大きいので、仕事も家事も無理をしないことが大切です。双子と判明したら、早めに家事や産後育児のサポーターを探し始めましょう。
参考/『たまごクラブ』2022年4月号「ふたごCLUB」
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
鈴木佳恵さん
PROFILE
東京かつしか赤十字母子医療センター助産師。助産師になり、14年目。うち、ツインクラスの担当は9年目に突入。多胎妊娠&育児に精通した助産師さん。