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産婦人科医のリレートーク「命の生まれる現場から」 土屋清志先生(府中の森 土屋産婦人科)【たまごクラブ】

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産婦人科医のリレートーク「命の生まれる現場から」 土屋清志先生(府中の森 土屋産婦人科)【たまごクラブ】

"新しいことへの挑戦"が産婦人科医としてのエネルギー源

 開業医である明治生まれの祖父母の姿を見て育ちました。地域医療の医師として、患者さんがいる限り、とくに産婦人科医は24時間365日 "医師である"ということを、幼いときから感覚的に学んだと思います。
 自然な流れで、医師をめざし医学部に入学。大学では、優秀な友人たちに囲まれ、学業や部活動を通して、精神的にも体力的にもかなり鍛えられました。卒業後は体外受精・胚移植(女性の体から取り出した卵子と精子を培養液の中で受精させ、分裂した受精卵を子宮の中に戻すという不妊治療の一つ)をやりたくて、迷わず産科婦人科教室に入局。今でこそ一般的な不妊治療の一つですが、当時は、東北大学で成功の1例目が出たばかりの新しい研究分野だったんです。

助産師の妻と出会い4人の子どもの父親に 

 9年間の研究生活の間に、助産師の妻と出会い、4人の子どもに恵まれました。妻が子育てに専念してくれたので、安心して仕事に打ち込めました。そして何より、妊娠中の母親の変化や産後の生活などを間近に見ることができました。
 たとえば、おなかがよく張るという現象一つとっても、だから即、切迫早産というわけではなく、生活ぶりを見て経産婦だったらこれも正常の範囲の張りとか、妊娠中の過ごし方や出産が、その後の育児にも大きくかかわるということを、身をもって知ることになったんです。男である私に、妻と同じことはできないということとともに、ですね(笑)。これは、産婦人科医としても貴重な経験でした。

東京で初めての周産期センター開設に従事

 その後、縁あって群馬から東京・杏林大学の総合周産期母子医療センターの開設に携わることになりました。東京では初めての開設だったので、それはもう大変でしたが、新しいことへの挑戦はやりがいがあるものです。周産期センターという施設柄、扱うのは極めて重篤なケースが多く、医療処置に追われる日々でしたが、搬送元である地域の個人産院の医師や開業助産師との出会いを通して大きな気づきがありました。それが、 "正常な経過であれば医師がいなくても分娩はできる。でも、助産師がいなければ、医師だけで分娩はできない" ということだったんです。

祖父母の後ろ姿を追って50才で開業

不妊治療の最前線で研究を重ね、高度医療施設での経験を経て、満を持して50才で開業。今年で6年目になります。助産師として復帰した妻とともに、総勢19人の助産師と妊娠・出産・育児というお母さんたちの "挑戦" を見守り、支える毎日。今では、年間600件あまりの分娩を扱うまでになりました。
 これまでも "新しいこと" に導かれまい進してきましたが、開業にあたっても新しいことに挑戦することが原動力になっています。それが "お母さんのための周産期医療" 。なんとなく妊娠生活を送り、出産が終わったら、ハイ、さようならではなくて、出産にいたる妊娠期も産後もとことん寄り添い、共感することが本当の周産期医療ではないかと思います。それには、助産師がいなければ。医師は、助産師が妊産婦さんに寄り添い、お母さんたちが安心して子どもを産み育てられるように、 "正常" から逸脱したときの受け皿となり、 "安全" を支える立場。だから、当院では自然な妊娠経過である限り、助産師外来がメイン。医師健診は必要に応じて、最小限です。
 最近は、とかく "安全な分娩" ばかりに意識が集中しているように感じます。大事なのは、共感と寄り添い。助産師がいればお産はできる。逆に助産師がいないとお産ができない。そのための "安全" を医師が守る...そういう周産期医療をめざしています。

今月の先生/府中の森 土屋産婦人科 理事長 土屋清志先生
1984年、群馬大学医学部卒業。同年、群馬大学産科婦人科教室に入局。杏林大学医学部附属病院産婦人科教室講師、ファウンズ産婦人科病院院長などを経て、2010年に府中の森 土屋産婦人科を開業。総勢19人の助産師さんとともに、妊婦さんの意思を最大限尊重し、産む力を引き出す"お母さんのための周産期医療"に挑戦していらっしゃいます。

イラスト/にしださとこ

【お知らせ】
「命の生まれる現場から」は、たまごクラブにて好評連載中!
新しい命をはぐくむ医療の現場で、産婦人科医の先生方が感じていることをお伝えする新連載がスタート!最新号では、国立成育医療研究センター 周産期・母子診療センター 谷垣伸治先生にインタビューします!ぜひご覧ください。

【たまごクラブ最新号はこちら】

※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。

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