【医師監修】赤ちゃんが出てこられないとき/出産の基礎知識
Sorajack/gettyimages
子宮口が全開大になり、いよいよ生まれる、というときになってトラブルが発生することもあります。
赤ちゃんの頭が見えているのに、そこから先にお産が進まない状態が続くと、赤ちゃんの心拍低下や酸素不足が心配されます。そんなときに早く赤ちゃんを出したほうがいいと判断されると、吸引器や鉗子(かんし)を使ってお産を手助けします。吸引、鉗子のどちらになるかは、産院や医師の方針によって違います。
吸引分娩
カップを頭にあてて誘導します
子宮口が全開大になったにもかかわらず、それ以上にお産が進まず、赤ちゃんを早めに出したほうがいいと判断された場合に、お産を助ける処置として吸引分娩を行います。
吸引分娩は、金属製またはシリコーン製の丸いカップを赤ちゃんの頭に密着させて、赤ちゃんを引き出す方法です。吸引するときは、ママは医師の合図に合わせて力いっぱいいきむことが大切です。
吸引分娩は赤ちゃんを引っ張る力は鉗子より弱いものの、比較的簡単にでき、赤ちゃんへの影響も少ない方法です。カップで吸引された頭の部分に、一時的にあとが残ったり、頭が細長くなったりすることがありますが、徐々に目立たなくなります。
鉗子分娩
金属製の器具で赤ちゃんの頭を挟みます
鉗子分娩も吸引分娩と同様に、子宮口が全開大になってから行います。
鉗子は、金属製の2枚のへらを合わせた、サーバーのような形の器具です。その器具で赤ちゃんのあごから頭にかけての部分を挟み、産道を押し広げるようにしながら、ママのいきみに合わせて赤ちゃんを下方に誘導します。
帝王切開分娩が間に合わない場合には、鉗子分娩は強力な助けとなります。吸引よりも強い力で赤ちゃんを誘導できますが、鉗子を使うにはテクニックが必要なため、熟練した医師の手により、赤ちゃんを傷つけないように行うことが大切です。引き出したあと、赤ちゃんの頭にうっすらと傷が残ることがありますが、時間がたてばきれいになくなります。
会陰切開
裂傷を防ぐために行います
会陰とは、腟の入り口から肛門までと、その周囲のこと。必要と判断されたときに、会陰を数cmほど切る医療処置を会陰切開といいます。
赤ちゃんの頭が見えているのに、会陰が伸びずに頭が出てこないときに、頭が出やすいように会陰切開します。
会陰切開は赤ちゃんの健康状態に異常がなく、会陰の伸びがよい場合は不要です。
ママ側の要因で行うとき
お産のとき、会陰は赤ちゃんの頭に押し広げられて伸びていきますが、個人差が大きく、会陰の伸びが悪い人もいます。会陰の伸びが悪いと、赤ちゃんを娩出するときに会陰が肛門まで裂けたり、腟の内側にも裂傷ができたりするので、それを防ぐために行います。
赤ちゃん側の要因で行うとき
娩出間近な段階で、赤ちゃんの心拍低下が見られた場合など、一刻も早く赤ちゃんを取り出さなければならないので、会陰切開を行うことがあります。
とくに赤ちゃんの首に臍帯(さいたい)が巻きついているときなどは、陣痛とともに臍帯が引っ張られて締まり、赤ちゃんに酸素がいかなくなる心配などがあります。そんなとき、赤ちゃんのストレスを軽減してあげるために会陰切開が行われます。
会陰切開 Q&A
Q.産後はどうなるの?
A.1~2週間で痛みも徐々に緩和します
抜糸するまでは若干の引きつれや痛みを感じることもあります。でも抜糸するころには傷もくっつき、痛みも引いていきます。もし痛みを我慢できないときは、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。
Q.会陰裂傷したらどうなるの?
A.傷が深いと外科的処置が必要に
自然に会陰が裂けてしまうと、その傷の深さや長さによっては肛門や腟、直腸にまで傷が達することも。ひどい場合は外科的処置を受けることになります。
初回公開日 2017/8/1
妊娠中におススメのアプリ
アプリ「まいにちのたまひよ」
妊娠日数・生後日数に合わせて専門家のアドバイスを毎日お届け。同じ出産月のママ同士で情報交換したり、励ましあったりできる「ルーム」や、写真だけでは伝わらない”できごと”を簡単に記録できる「成長きろく」も大人気!
ダウンロード(無料)妊娠中におススメの本
最新! 妊娠・出産新百科 (ベネッセ・ムック たまひよブックス たまひよ新百科シリーズ)
つわりで胃のムカムカに悩まされたり、体重管理に苦労したり、妊娠生活は初めての体験の連続ですね。この本は、そんなあなたの10ヶ月間を応援するために、各妊娠月数ごとに「今すること」と「注意すること」を徹底解説!陣痛の乗りきり方や、産後1ヶ月の赤ちゃんのお世話も写真&イラストでわかりやすく紹介します。