【医師監修】妊娠初期(妊娠2・3・4カ月)に気をつけることは? やっていいこと・ダメなことQ&A【日常生活の気がかり・動作】
妊娠初期ママは、日常生活のいろいろなシーンで「おなかに赤ちゃんがいるのに、これってやっていいのかな? ダメなのかな?」「これって妊娠中どうなの?」と気になることがあるはず。そんな疑問の数々を帝京大学医学部附属病院、総合周産期母子医療センター長、笹森幸文先生に聞きました。今回は、日常生活の気がかり「動作」に関するQ&Aです。
【Q1】信号でダッシュしたり、 階段を駆け下りたり するのは、赤ちゃんによくない?
【A】少し息ぎれする程度の小走りなら問題はなく、直接赤ちゃんに影響することはないでしょう。ただし、急な動きは、思わぬ転倒を招くことも。妊娠中はゆっくり行動するようにしてください。
【Q2】息ぎれするくらいの階段の上り下りは?
【A】日常生活の中での階段の上り下りで、多少息ぎれする程度なら問題なく、おなかの赤ちゃんに影響することはありません。
【Q3】おふろ掃除など、 腰をかがめる姿勢を 長く続けるのはよくない?
【A】長時間にわたって、腰に負担をかけるような動作は腰痛の原因になるので、短めに済ませましょう。また、しゃがんだり立ったりも、スクワットのようにトレーニングになるほど続けるのは避けて。体の負担を感じたらやめるようにしましょう。
【Q4】正座はしてもいい?
【A】正座することで、おなかが張りやすくなったり、赤ちゃんに影響したりすることはありません。ただ、妊娠初期はそれほどでもありませんが、おなかが大きくなってくると、正座はつらくなってくると思います。自分がラクに感じる姿勢をとるようにしましょう。
【Q5】あぐらはかいてもいいですか?
あぐらは股こ関かん節せつをやわらかくして、開脚のトレーニングにもなるので、妊娠中はおすすめの姿勢です。
分ぶん娩べんのときは想像以上に脚を開く必要がありますから、今から日々の生活の中であぐら座りをしておくといいかもしれません。
【Q6】横座りは 骨盤に悪いでしょうか?
【A】妊娠中は骨盤がゆるむので、左右のバランスを考えると、いつもどちらか一方だけに体重をかけて座るのは、ゆがみの原因になるかもしれません。ですが、そのことでおなかの赤ちゃんに影響を及ぼすことはないですし、お産に影響することもまずないでしょう。なるべく左右が同じになるように座ることを心がけてみて。
【Q7】脚を組むのは やめたほうがいい?
【A】横座りと同様、どちらかの脚だけを組むというのはゆがみのもとになる可能性が。また、妊娠中は脚のつけ根に違和感を感じやすくなったり、おなかが大きくなると痛みを感じたりする場合も出てきます。組まなくても済むのならば、脚を組まずにできるラクな姿勢で過ごしましょう。
【Q8】骨盤のゆがみを取ると いわれる動き(回すなど)は しないほうがいい?
その動きをすることで、本当に骨盤のゆがみが取れるのかどうかわかりませんし、どのような動きなのかもはっきりしませんが、腰をゆっくり回す程度の動きならば、おなかの赤ちゃんに影響することはないと思います。体を大きくねじったり、勢いよくひねったりする動きは、おなかに負担がかかりすぎるのでなるべく避けましょう。
【Q9】妊娠中は重いものを 持ってはいけないの?
【A】おなかに強く力を入れ、腹圧をかけると子宮が収縮するので、重いものを持たないように心がけましょう。また、腰に負担がかかり、腰痛が起こりやすくなります。普段の生活の中で、おなかに力を入れないと持ち上げられないようなものは、なるべく持たないようにしましょう。
【Q10】布団の上げ下ろしは やめたほうがいい?
【A】基本的におなかが張らなければ問題ありませんが、おなかに力が入るような動きはなるべく避けたほうが無難です。自分の無理のない範囲で行い、おなかが張ったり、つわりでつらかったりするときは、パパに代わってもらいましょう。
【Q11】妊娠中に引っ越しの 予定があり、不安…
【A】無理して引っ越しの作業はせず、荷造りや荷物の運び込みは業者の人に任せましょう。引っ越してからの荷ほどきも、少しずつにして。
【Q12】背伸びをしちゃダメ?
【A】動作自体に問題はありませんが、不安定な場所での動作や姿勢は転倒が心配ですから、注意が必要です。また、妊娠初期は子宮が急速に大きくなる時期。このような動作をすると、子宮を支える靭じん帯たいが引っ張られ、張っ
たような感じがすることも。
【Q13】うつぶせ寝はしちゃダメ?
【A】ママ自身がラクなら問題ありませんが、おなかが大きくなるにつれ、うつぶせ寝をするのがつらくなってくると思います。抱き枕などで体を支えながら、横向きで寝るといいでしょう。
【Q14】便秘で踏ん張ったとき、 赤ちゃんが流れないか不安…
【A】トイレで力むことが、直接流産につながることはありません。妊娠中は便秘になりがち。あまりにつらい場合は、産院で便秘薬を処方してもらえるので、相談してみましょう。
【Q15】便秘解消におなかをもむ、 さするなどするのは やめたほうがいい?
妊娠中は腸のぜんどう運動が鈍くなるため、便秘になりがちです。ぜんどう運動を促す目的で、おなかをもんだり、さすったりするのでしょうが、効果のほどはわかりません。便秘で悩んでいるのならば、妊娠中に飲んでも問題のない薬を処方してもらえるので、自己流の便秘解消法をするのではなく、産院に相談してください
【Q16】上の子の抱っこはOK? 流産の原因になることは?
【A】抱っこが流産の直接の原因にはなりませんが、おなかが張りやすくなる場合も。おなかが張るときや安静中は、ほかの方法でスキンシップをとるようにしましょう。
【Q17】上の子への授乳は、 流産の原因になる?
【A】授乳で子宮を収縮させるホルモンが分泌されるといわれていますが、妊娠初期の子宮はその作用を受けにくい状態です。徐々に減らしていき、妊娠6 カ月以降は卒乳できるように努めましょう。
参考/『初めてのたまごクラブ』2023年春号「妻の妊娠がわかったら最初に読む本」
●記事の内容は2023年5月の情報で、現在と異なる場合があります。