SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 妊娠・出産
  3. ママとおなかの赤ちゃんの血液型が異なると、赤ちゃんに悪影響を与えることも…。「血液型不適合妊娠」を解説

ママとおなかの赤ちゃんの血液型が異なると、赤ちゃんに悪影響を与えることも…。「血液型不適合妊娠」を解説

更新

一般的な血液型といえば、「A、B、O、AB」ですが、医学上の血液型の分類は、実は60種類以上もあります。比較的知られている「Rhプラス、Rhマイナス」もその1つです。

そして、お母さんとおなかの赤ちゃんの血液型が適合しない妊娠を「血液型不適合妊娠」と呼びます。血液型不適合妊娠の場合、ときにはおなかの赤ちゃんの血液が破壊されてしまう「胎児新生児溶血性疾患」を発症することもあります。最新の治療事情も含めて、松田秀雄先生に伺いました。


★アンケートご協力で抽選で賞品プレゼントも! ぜひ最後までお読みください


血液型の不適合はだれにでも起こり得る。では問題になるのは何?

※上記イラストは一例です。実際にはO型以外の方でも起こり得ます。

お母さんとおなかの赤ちゃんの血液型が違うとき、母体は赤ちゃんの血液を「異物」とみなして、赤ちゃんの赤血球に対する抗体を産み出します。その抗体が赤ちゃんの健康に悪影響を及ぼす状態を「血液型不適合妊娠」といいます。

血液型には60種類以上もの分類があるのですから、血液型の不適合はだれにでも起こり得ることだといえます。ただし、血液型不適合妊娠のすべてのケースが深刻な状態になるわけではありません。赤ちゃんの健康にどれだけの影響を与えるかは、抗体の量と質によって異なります。


重症のリスクが高いのは「不規則抗体」

抗体には、生まれつき持っている「規則抗体」と、輸血や妊娠などで刺激されたことによって新たにつくられる「不規則抗体」があります。

重症のリスクが高いのは「不規則抗体」

抗体には、生まれつき持っている「規則抗体」と、輸血や妊娠などで刺激されたことによって新たにつくられる「不規則抗体」があります。

ABO式血液型にある「規則抗体」
ABO式血液型では、「A型の人は抗B」「B型の人は抗A」「O型の人は抗Aと抗B」というように、生まれつき持っている抗体があります。これが「規則抗体」です。ただし、O型以外は抗体の量が少ないので、注意すべきは抗体量が多いO型です。

「母親がO型で、おなかの赤ちゃんがA型またはB型」の場合、抗体の影響で赤ちゃんに黄疸症状が出ることがありますが、重症化することはまれです。

Rh式血液型などで起こる「不規則抗体」
不規則抗体は、輸血や妊娠などがきっかけで新たにつくられる抗体で、おなかの赤ちゃんに深刻な影響を与えることがあります。不規則抗体による血液型不適合妊娠で代表的なものが、「母親がRhマイナスで、おなかの赤ちゃんがRhプラス」の「Rh(D)不適合妊娠」です。一般的に「Rhプラス」と呼ばれるのは「Rh式のD抗原を持っている人」、「Rhマイナス」と呼ばれるのは「Rh式のD抗原を持っていない人」です。ちなみに、現在の日本では、Rhマイナスの人は約200人に1人程度の割合です。

不規則抗体が原因の血液型不適合妊娠には、ほかにも、Rh式のE抗原の有無で起こる不適合妊娠、Rh式のC抗原の有無で起こる不適合妊娠など、何通りもあります。


血液型不適合妊娠が判明するのは妊娠初期

血液型不適合妊娠が判明するきっかけとなるのは、妊娠10週前後の妊婦健診で行う血液検査です。血液検査の1項目である「不規則抗体価検査」でお母さんの抗体価が高いと、血液型不適合妊娠が疑われます。そして次に、超音波検査で赤ちゃんの脳内の血管血流速度を測り、赤ちゃんが貧血になっていないかを調べます。

母体の抗体価が高く、胎児貧血があれば、ほぼ血液型不適合妊娠だろうと診断されます。


「胎児新生児溶血性疾患」とは?

血液型不適合妊娠で生じた母体の抗体が、赤ちゃんの赤血球を攻撃して、貧血や全身のむくみなどを引き起こす病気を「胎児新生児溶血性疾患(たいじしんせいじようけつせいしっかん)」といいます。

胎児新生児溶血性疾患は以下のプロセスで発症します。
①血液型の異なるお母さんとおなかの赤ちゃん、出産、流産、輸血、事故などが原因でそれぞれの血液が交じり合い、母体に抗体ができる。
②次回の妊娠時などに母体が持つ抗体が赤ちゃんの血液に侵入し、赤ちゃんの赤血球を攻撃する。
つまり、プロセス①で母体に抗体ができても、プロセス②がなければ、赤ちゃんは病気を発症することはありません。

初めてつくられた抗体は抗体量が少ないので、1人目の赤ちゃんは発症しなかったけれど、2人目の赤ちゃんが発症するという事態が起こります。また、2人目でなくても、お母さんに輸血や流産などの経験があり、すでに抗体を持っていた場合は、1人目の赤ちゃんでも発症することがあります。胎児新生児溶血性疾患は、出産を重ねることでリスクが上がる病気です。


胎児新生児溶血性疾患の症状

おなかの中で赤ちゃんが貧血を起こす「胎児貧血」や、全身にむくみを起こす「胎児水腫(たいじすいしゅ)」などの症状があります。重症化すると赤ちゃんの生死にかかわるので、早期診断と適切な管理が必要になります。

●妊娠中の胎児の主な症状
・胎児貧血
・胎児水腫

●出産後の新生児の主な症状
・重度の黄疸(生後2~3日の生理的黄疸を除く、病的な黄疸)
・貧血
・中枢神経障害


胎児新生児溶血性疾患の予防と治療

血液型不適合妊娠のリスクがあるけれど、まだ母体に抗体がつくられていない場合は予防を、すでに抗体がある場合は治療を行うことになります。

胎児新生児溶血性疾患の予防
Rh(D)不適合妊娠であれば、妊娠28週前後と分娩後72時間以内に、お母さんに免疫グロブリンを投与します。そうすることで、母体に抗体がつくられるのを防ぐことが期待できます。

胎児新生児溶血性疾患の治療
妊娠中に胎児新生児溶血性疾患を発症し、胎児貧血が重度の場合は、赤ちゃんに輸血治療を行うことがあります。また、母親が出産まで透析を受ける治療法もあります。しかし、これらの治療法は副作用の不安も大きく、透析にいたっては母親の心身に与える負担がかなり大きくなります。さらに、実施できる施設も限られるうえ、治療費は保険の適用外なので、高額な医療費がかかってしまいます。
誕生後の赤ちゃんに対する治療法としては、黄疸に対する光線療法、母体由来の抗体を除去するための交換輸血などがあります。


期待される「胎児新生児溶血性疾患」治療薬

現在は、「胎児新生児溶血性疾患の予防」に記載したように、Rh(D)不適合妊娠であれば、適切な予防措置を取ることで、2人目、3人目のお子さんを産み育てることが可能になっています。しかし、診断が遅れるなどの理由で赤ちゃんが重症化し、流産や死産といったつらい経験をされたお母さん・お父さんがいることも事実です。

また、あまり知られていないRh式のEなど、そのほかの不規則抗体による血液型不適合妊娠に関しては、Rh(D)不適合妊娠のような予防法はいまだ確立されていません。そのために、救うことのできなかった命がいくつもあるのです。

そんな血液型不適合妊娠にも、今、希望の光が見え始めました。それが、母体が有する抗体から胎児を守ってくれる新薬の開発です。現在開発中の薬の1つは、妊娠初期に投与することで、胎児新生児溶血性疾患のリスクを軽減しようというものです。これは日本を含め、世界で治験(臨床試験)が始まっています。

近い将来、これまではなすすべもなく失われていた命が救えるようになるだろうと、産科医も小児科医も大きな期待を寄せています。




\図書カードが当たるアンケート実施中/
アンケートに回答された方の中から抽選で20名様に図書カード(図書カードネットギフト)500円分をプレゼント! ぜひ、あなたの声をお聞かせください。

アンケートはこちら


提供/

新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。