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人込みもスーパーもムリ!つわりで、いろんなにおいがダメになるのはなぜ?

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ごはんが炊けるにおい、スーパーの食品売り場のにおい、通勤電車の人込みのにおい、果ては夫のにおいまで...。妊娠してつわりの症状が出始めると、とたんに今まで何とも感じなかったにおいが「ムリ!」になることが多いもの。これって、どんな原因によるのでしょうか。つわりの原因と対策について詳しい「つわり博士」こと、産婦人科医・恩田威一先生にお聞きしました。

「気持ち悪いにおい」の元は、普段は感じない“あのにおい”だった!

妊娠する前でも、女性は排卵前にはにおいの感受性が最も高くなり、次いで月経時に高く、排卵後は低下します。
これは、エストロゲンという女性ホルモンににおいの感受性を高める作用があるため。エストロゲンが増えて、脳のセロトニンが増えることにより、においの感受性が高まります。においの感受性は、排卵前に高く、その次に高いのは月経中で、排卵後は低いことが知られています。

妊娠すると、女性ホルモンの影響で嗅覚が敏感に

エストロゲンはいわば排卵と妊娠を助ける役割をするホルモンで、月経周期の中で排卵前に分泌量が最も増え、排卵直前に一時低くなり排卵後にプロゲステロンとともに増加しますが、月経時には低くなります。
エストロゲン量が同程度の時期でも排卵前の方が排卵後に比べて臭いの感受性が高いことから、エストロゲン量とプロゲステロン量と、これら二種類のホルモンバランスが臭いの感受性に影響があると推測されます。

妊娠すると月経が止まり、エストロゲンの分泌量が高い状態が続きます。そこで、妊娠すると嗅覚が敏感になり、妊娠前には気にならなかったにおいにも敏感に反応して、気分が不快に。妊娠がわかって間もないころは、とくにエストロゲンが高い状態に体が慣れていないので、気持ち悪さがひどく感じられるでしょう。

一方、妊娠しても、つわりが軽く、とくににおいが気にならないという人もいます。こうした人は、エストロゲンの値がつわりの強い人に比べて低く、妊娠を維持する女性ホルモンのプロゲステロンの値とのバランスがつわりに関して適度と考えられます。つまり、ホルモンバランスの違いがつわりの重さの違いに関係しているのです。
ちなみにイスラム教の妊婦さんのエストロゲンの値は、ラマダン(断食)中に増加しラマダンが終了すると低下することが知られており、食事の摂取量が妊婦さんのエストロゲンの値に影響することも考えられます。

ほとんどの食品に含まれる“アレ”が、気持ち悪いにおいの元だった!

つわりの妊婦さんが気持ち悪く感じる、ごはんが炊けるにおいや、さまざまな食べ物のにおい、人込みのにおい…。そのにおいの元とは、ズバリ「アンモニア」なのです。

アンモニアというと、多くの人がトイレのにおいを連想し、食べ物とはなかなか結びつかないのではないでしょうか。でも、実はほとんどの食べ物には、量の多少はあれ、アンモニアが含まれています。人込みのにおいの元も、汗から発散されるアンモニア臭。妊娠してから、急にタバコやビールを受けつけなくなったという人は、それらが発するアンモニア臭がダメになるのです。

これらのアンモニアのにおいは、トイレのにおいとは違って低濃度なので、ふだんはほとんど気になりません。しかし、においへの感受性が高まっている妊婦さんにとっては、わずかなアンモニア臭でも「耐えられない悪臭」に感じられてしまいます。

私たちの身のまわりに、これほどアンモニア臭があふれているとは!では、アンモニアへの感受性は、私たち人間にとって、どんな意味があるのでしょうか?

アンモニアへの感受性が人類の存続に欠かせない理由とは

それは、人類の祖先が海にいたころにさかのぼります。海で生き抜くためには、大海で餌を見つけることができなければ、命の流れを繋ぐことができません。その餌を探すときに目印になるのが、アンモニアとアミノ酸です。魚は自分で餌を見つけられなければ、その時点で生命が途絶えてしまいます。低濃度のアンモニアを快適に感じ、食べることができた生き物だけが、次の世代に命を繋ぐことができたのです。

また、海で産卵のための相手を探す目的でオスがメスに近づくための手がかりも、アンモニアとアミノ酸が手がかりでした。

一方、夜店で買ってきた金魚を同じ水槽に入れたままにしておいたら、やがて死んでしまったという経験はありませんか? これは、水槽の中のアンモニアの濃度が高まったから。大量のアンモニアは、金魚にとって毒だからです。

つまり、大量のアンモニアを不快に感じ、低濃度のアンモニアを快適に感じることで、ヒトは46億年の地球の歴史の中で初めて誕生した生命を、今まで一度も絶やすことなく、繋ぎ続けることができたのです。

こうして考えると、つわりによって妊婦さんは、人類の歴史をさかのぼるような貴重な体験をしている、といえるのかもしれませんね。

「においで気持ち悪くなる」対策の決定版BEST3はコレ!

では、においで気持ち悪くなってしまうのを少しでも軽減するには、どうすればいいのでしょう? マスクをしたり、口呼吸でしのぐ、という妊婦さんが多いですが、つわり博士・恩田先生おすすめの方法は以下の3つ!

1 酸っぱい食品でにおいを解消

梅干しやレモン、酢などに含まれるクエン酸には、アンモニア臭を中和する作用が。つわりのとき、酸っぱいものを好むようになる人がいるのも、そのせいかもしれませんね。

2 「クエン酸マスク」で不快な臭いを撃退

通常のマスクではアンモニア臭を防ぐことは出来ません。
薬局で売っているクエン酸を1%に希釈した溶液を吹きつけたガーゼをマスクに挟めば、即席の“アンモニア消臭マスク”に。これをかけると「気になっていたマスクのにおいも消えた!」という妊婦さんの声も。

3 冷まして常温で食べる

温かい食べ物だと、アンモニア臭を感じ取りやすくなることがあります。においで気持ち悪くなる場合は、常温に冷ましてから食べるか、冷蔵庫で冷やすと食べやすくなるでしょう。
ただし、ラップで食品を包んだだけでは、冷蔵庫内のアンモニア臭が食品に移り、不快になります。コンビニやスーパーのポリエチレン袋で包んだ方が、アンモニアを通しづらいので不快なにおいを減らせると考えられます。

妊娠とにおいに、こんなに奥深い関係があったとは! つわりでにおいがダメになったときは、ぜひ上記の対策を試してみてくださいね。(文・たまごクラブ編集部)


監修/恩田威一先生
東京慈恵会医科大学 元教授

参考文献:「悪阻(ツワリ)なんてこわくない」恩田威一著(同成社)

※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。

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