逆子体操やヨガにはげむも、そのまま臨月に。【逆子の普通分娩体験記】
3人の子を育てるママライターの“こぢんまり子”です。私がはじめて妊娠したのは、29歳のとき。経過は順調で、赤ちゃんはおなかのなかですくすくと大きくなっていきました。
妊娠8ヶ月まで働きながら、はじめての妊娠
妊娠5ヶ月の健診で、逆子だといわれ、逆子体操をするよう指導されました。翌月の健診では、正常な位置に戻っていたのでホッとしたのも束の間、妊娠7ヶ月の健診で、また逆子になってしまいました。
妊娠8ヶ月ごろから、逆子をなおすためにいろいろなことに挑戦しました。毎日逆子体操にはげむ、マタニティヨガがいいと聞けば参加するなど。さらに岩盤浴で体をあたためると赤ちゃんが動きやすいと聞き、助産院の岩盤浴を2度試しました。
しかし、逆子がなおることはなく、そのまま臨月に突入したのです。
医師のことばを信じて「逆子でも普通分娩」を選択
かかりつけの産婦人科の医師は、70歳のベテラン先生でした。「大丈夫?」という感じがしますが、その先生は70歳には見えない元気の良さで、おおがらな体格で革パンをはきこなす若々しさ。
先生いわく「うちは逆子でも普通分娩可能だよ」とのこと。何度も経験があると聞き、「逆子でも普通分娩」という選択をすることにしました。
出産予定日を5日過ぎた日、夜中に破水。急いで病院に向かいます。先生に何度も経験があるとはいえ、逆子の普通分娩に通常より危険が伴うということに変わりはありません。協力している大きな病院と連携をとって、いつでも緊急帝王切開ができる環境を整えたうえで、出産に臨みました。
丸2日間、苦しい陣痛に耐えての出産
破水はしたものの、上の方の卵膜が少し破れただけで、陣痛は弱い状態でした。抗生剤と陣痛促進剤の点滴をしながら、陣痛が強まるのを待ちます。子宮口の開きが悪かったので、バルーンを入るだけつめこまれました。結局、冷房の効きが悪い陣痛室で2晩も泊まりこむことに。
分娩台にあがってからも12時間近くうなっていました。通常はある程度、子宮口が開いたところでいきみ、頭で押し広げながら出産するそうですが、逆子の場合は、違います。子宮口が開ききって、赤ちゃんがスルリと通れる状態になるまで、いきむのを我慢しつづけなければいけません。
陣痛が強くなるたびに、年配の助産師さんが、赤ちゃんのおしりを押しておさえます。いつ終わるのかわからず、とても苦しい時間でした。それを乗り越え、やっと出産。破水から実に3日間、60時間以上たっていました。
母子ともに健康!だが、退院時の予定外の出費に驚く
長く苦しい出産でしたが、生まれた赤ちゃんも私も健康で安心しました。ただ、赤ちゃんの右足が曲がったまま、おしりと一緒に産道を通っていたようで、長い時間その状態だったために右足がはれていました。
足に障害が残るのではと本当に心配しましたが、先生は「すぐに治るよ」とあっさり言います。その言葉のとおり、1週間ほどではれがひきました。今もまったく正常です。
退院のときは、費用の精算でびっくり。120万円近く請求されたのです。緊急帝王切開の準備があったり、助産師2名がずっとついていたり、特別な管理が必要になったため高額になったとのことでした。貯金があったので払うことはできましたが、予定外の出費でした。
もう9年前になりますが、今は対応している病院が少ない逆子での普通分娩でした。逆子での普通分娩は通常よりリスクが伴います。私の場合は、分娩時間が長く、出産費用の精算も大変でしたが、貴重な経験をすることができたのかなと思っています。
[こぢんまり子* プロフィール]
実家から遠くに引っ越し、在宅ワークでライティングのお仕事をしながら、3人(8歳、6歳、2歳)の子どもを子育て中です。下の子は現在トイレトレーニング中。私の出産・子育ての経験が、「悩むママさんたちのお役にたてれば」と思います。