妊婦健診で貧血だと注意され…赤ちゃんに影響は?気になるギモンを産婦人科医が解決
妊娠すると、食事の栄養バランスに気をつけているつもりでも、鉄分不足になってしまうことがあります。これは、おなかの中で赤ちゃんを育てるために、ママの血液の水分量が増えることが原因です。そのため、妊娠中は健診で「貧血ですね」と注意される人が多いのです。今回は、妊娠中にありがちな貧血に関するQ&Aを産婦人科医の小川隆吉先生に答えていただきました。先輩ママの貧血対策・鉄分のかしこいとり方も紹介します。
妊娠中の「貧血」ココが気になるQ&A
妊娠中は鉄分が不足しがちになります。なぜかというと、妊娠中は循環血液量が増えて、血液が水っぽく薄くなっている状態。赤ちゃんが成長するために、ママの血液から優先的に栄養と酸素を送っているので、母体の血液は鉄分不足になりがちなのです。貧血を予防するためにも、鉄分が豊富な食事を心がけましょう。
Q 貧血だと、赤ちゃんも貧血になってしまうの?
A 妊娠中期以降は、母体が鉄分不足になりがちですが、赤ちゃんが貧血になったり、発育に影響する心配はありません。ママ自身が疲れやすくなるので、重症化しないように気をつけて。
Q 鉄剤を服用しても貧血が続いています。注意すべきことはある?
A 薬の服用前後にお茶や紅茶を飲むと、茶葉に含まれるタンニンが鉄分と結合し、体内で吸収されずに排せつされてしまいます。お茶を飲む時間帯に注意しましょう。最近はお茶と一緒に飲める鉄剤もあるので、医師に確認を。
Q 赤血球の数値が低いといわれました。赤ちゃんや出産にどんな影響が?
A 妊娠すると血液量が増えて赤血球の製造が追いつかず、鉄欠乏性貧血になる人が増えます。軽い貧血は問題ありませんが、重症だと分娩時に出血が多くなり、産後の回復が遅れる心配も。
Q 貧血で処方された鉄剤を飲むと便秘になります
A 鉄剤を飲んで便秘や下痢、胃のムカムカなどの症状が起きる場合、軽度の貧血であれば食事療法が指導されます。ビタミンCと一緒にとると、鉄の吸収率がアップします。
先輩ママの貧血対策
先輩ママはどうやって貧血を乗り切ったのでしょうか? リアルな体験談から対処法を紹介します。
対策1:鉄分強化の乳製品+鉄剤で改善
妊娠前から貧血ぎみ。海藻や鉄分を強化した乳製品を毎日食べて、それとともに鉄剤を1カ月飲んだら正常値に。(産後6カ月)
対策2:小松菜+鉄剤で改善
中期から後期にかけて貧血になりましたが、小松菜などを毎日食べて鉄剤を飲んだら、臨月までに改善。(産後8カ月)
対策3:毎日納豆1パック!
22週に貧血ぎみと診断。納豆を1日1パック食べることにしたら、次の健診日には平均の数値に戻りました。(産後6カ月)
産婦人科医直伝!鉄分のかしこいとり方
貧血予防のために、毎日の食事で鉄分を効果的にとる方法を小川先生に伺いました。
1.たんぱく質やビタミンCと一緒にとる
植物性の食品に含まれる鉄分は消化吸収されにくい構造ですが、動物性のたんぱく質やビタミンCと一緒にとると吸収率がアップします。
2.まとめてとらずに少しずつとる
1日に吸収できる鉄分は決まっていて、一定量以上は体外に排出されてしまいます。毎日継続して鉄分の多い食事をとることが大切です。
妊娠中はママの血液から赤ちゃんに優先的に栄養と酸素が使われるため、ママは鉄分不足になりがちに。重症の貧血は、出産時に出血量が多くなるので、できるだけ出産までに症状を改善させたいですね。一日に吸収できる鉄分は決まっているので、毎日継続して鉄分を摂るよう心掛けましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)