【産婦人科医監修】妊娠週数&心と体の症状別・妊婦のためのアロマセラピー講座
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妊娠中は、体のいろいろな部分に小さなトラブルが出やすくなります。精神的に不安定になりやすいこの時期に、植物の香りで心と体をケアするアロマセラピーを始めてみませんか? 妊娠中のアロマセラピーで知っておきたいことを、産婦人科医の小川隆吉先生に教えていただきました。
妊娠中の不快症状に役立てることができる
ホルモンの影響を受けて体がどんどん変化する妊娠中は、むくみや便秘、イライラ、不安など、心と体のプチ不調を抱える人が多いもの。そんなときは、アロマセラピーで自分自身を癒やしてあげましょう。香りの成分が、マイナートラブルにじわっと効いてくれます。
アロマセラピーは、植物の香り成分で心と体を癒やす自然療法
アロマセラピーとは、植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を健康に役立てる、自然療法のこと。香りの成分を鼻から吸入して脳神経に働きかける芳香浴や、マッサージで皮膚から取り入れる方法などがあります。
精油は必ず専門店で購入を
ホルモン作用のある精油は妊娠時期によっては使用できないため、購入時は妊娠中に使えるかどうかを専門家に相談し、用法、用量を守って使いましょう。
★下記の項目に当てはまっているか、精油のパッケージをチェック!
☑ 遮光性のあるガラスびん入り
☑ 原材料の正式名称、原産国、抽出部位が明記されている
☑ 蒸留方法が明記されている
妊娠中に使える精油
【妊娠初期から使えるもの】
・グレープフルーツ
・真正ラベンダー
・スイートオレンジ
・ティートリー
・ネロリ
・パルマローザ
・ビターオレンジ
・フランキンセンス
・ベルガモット
・マンダリン
・レモン
・ローズウッド
【妊娠6カ月から使えるもの】
・クラリセージ
・サイプレス
・サンダルウッド
・ジャーマンカモミール
・ジュニパー
・ゼラニウム
・タイム・ツヤノール
・ニアウリ
・パイン
・パチュリー
・ヘリクリサム
・マージョラム
・ユーカリ・グロブルス
・ユーカリ・ラジアータ
・ラベンサラ・アロマティカ
・ローズ
・ローズマリー・カンファー
・ローマンカモミール
※ホルモン作用、子宮収縮作用などの理由で、上の一覧にある精油を妊婦にすすめていないメーカーや専門店もあります。
妊娠中のアロマは「芳香浴」をメインに
妊娠5カ月までは、心身への作用が穏やかな芳香浴にしましょう。芳香浴には、アロマポットのキャンドルやライトの熱で香りを漂わせたり、ディフューザーで香りを拡散させる方法があります。好きな香りに包まれるとリラックスできます。精油は100%ピュアな製品を選びましょう。
アロマポットやディフューザーを使って
アロマポットを持っていない場合は、お湯を入れたマグカップやボウルに精油を落とすのが手軽な方法。芳香浴を楽しんだ後は、使用後のマグカップやボウルをよく洗ってください。
ハンカチやコットンにしみ込ませて
ハンカチやコットンにリラックスする香りを1滴落として就寝時の枕元に置いたり、外出時に持ち歩くと、手軽に香りを楽しめます。眠れないときや、つわりの時期におすすめ。
心地いい香りが効く香り
心地よく感じる香りは、体調によって変化します。落ち込んでいるときは元気が出る香り、イライラするときにはリラックスする香りという具合に、インスピレーションを大切に選びましょう。
おふろやマッサージでリラックス
芳香浴以外にも、手軽にリラックスできる方法があります。体調に合わせてトライしてみてください。
おふろに
好きな香りでリラクセーション&血行促進効果が得られるアロマバスは、妊娠中期以降におすすめ。バスタブのお湯に精油3~5滴が適量です。精油は100%ピュアな製品を選びましょう。
マッサージ
精油を加えたオイルでマッサージすると、血液やリンパの流れがよくなります。基本的には、妊婦さん対応の専門施設で施術を受けたほうが安心です。妊娠20週以降からOK。
6つの症状別おすすめアロマ
【イライラに】
神経の緊張をほぐしイライラを鎮める、フローラル系が最適。ローズは女性ホルモンに作用するので、6カ月以降の芳香浴のみの使用に。
・真正ラベンダー
・フランキンセンス
・ネロリ
・ベルガモット
・ローズ※
【ポジティブになれる】
気分が高揚する柑橘系、やさしい気持ちで明るくなれるパルマローザなどがおすすめ。
・グレープフルーツ
・スイートオレンジ
・パルマローザ
・ローマンカモミール※
【むくみに】
グレープフルーツやレモンなどの柑橘系は代謝力を高めます。6カ月以降はアロマバスにもおすすめ。
・グレープフルーツ
・レモン
・真正ラベンダー
【冷え予防に】
6カ月以降なら、造血作用を促すレモン、体のバランスを整えるゼラニウムなどをアロマバスに。
・レモン
・マージョラム※
・ゼラニウム※
【便秘に】
胃腸の働きを活性化する下記のオイルで、6カ月以降にアロマバスで体を温めてリラックスしましょう。
・スイートオレンジ
・フランキンセンス
・真正ラベンダー
・マンダリン
【お産促進に】
お産が停滞したときは、リラックス作用のあるアロマで仙骨のあたりをマッサージするのが◎。芳香浴は好きな香りでOK。
・クラリセ̶ジ※
・ローズ※
・ゼラニウム※
※のアロマの使用は、妊娠6カ月以降にしてください。
アロマの精油は作用が強いので、妊娠中の使用には注意が必要です。とくに5カ月までは、いずれのアロマも芳香浴程度の使用にとどめましょう。上記で※のついた精油は、軽い通経(月経を誘発する作用)、ホルモン作用があるものです。芳香浴程度の使用は問題ありませんが、使用量を抑えるようにしましょう。また、セージ、フェンネル、ヒソップ、バジルなど、通経作用が強い精油は、妊娠全期間を通じて使用はNGです。
アロマセラピーには心と体を癒す効果があります。入浴時や就寝時、リラックスタイムに取り入れたり、つわり対策として使ってみるのもおすすめです。アロマにはそれぞれ妊娠期に適した期間があるので、助産師さんや店員に確認してから使用しましょう(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
1975年日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)